【更新日:2021年6月18日 by 佐野 太一】
提供:メルカリ広報グループ
メルカリとSHIBUYA109 lab.は4月19日、「Z世代と企業のサステナ提案」ワークショップをSHIBUYA109渋谷店で開催した。
地球環境について考える日として4月22日に制定されている「アースデイ」の考えを日本にも広めることが、今回のイベントを開催した目的だ。50年以上の歴史があるアースデイは、すでに欧米諸国では高い認知度を得ている。
当日は持続可能な社会に向けたライフスタイルを発信しているモデルの長谷川ミラさんがゲストとして登場し、Z世代の参加者たちとともにディスカッションを通して学びを深めた。その様子をレポートする。
見出し
登壇者
- SHIBUYA109エンタテイメント エキスパート SHIBUYA109 lab. 所長 長田麻衣さん
- メルカリ ブランディングチームマネージャー 上村一斗さん
- モデル 長谷川ミラさん
トークセッション「アースデーに考えるZ世代の価値観とあなたの⾝近なエコとは」
トークセッションを始めるにあたり、メルカリの上村一斗さんがイベントの企画趣旨を説明した。日本で「アースデー」の認知を高め、身近にできるエコな活動や地球にやさしくできることを考えることが、今回のワークショップの目的だ。
ー上村さん「サステナブルやエコというと、意識の高い人たちが取り組んでいるイメージがあるかもしれませんが、今回はみなさんが気軽にできるエコについて考えていきたいです。ぜひ、Z世代の皆さんのアイディアをお聞かせいただいて、身近なエコだったり、企業に対する提案などを考えていきたいと思っています」
4月22日のアースデイは、地球のことを考え、美しい自然環境に感謝する1日だ。実は50年以上の歴史を持つイベントで、今では多くの企業が環境活動を行っている。特に今年はアメリカのバイデン大統領がパリ協定に復帰を表明したこともあって、注目が集まった。
上村さんが「もともとアースデイを知っていましたか?」と問いかけると、Z世代の参加者7人のうち5人が手を挙げた。ゲストの長谷川ミラさんは、インスタグラムでアースデイの投稿を始めたのはここ1〜2年のことだったという。
上村さんは続けて、SHIBUYA109 lab.との協業理由について説明した。
ー上村さん「Z世代の約7割がエコフレンドリーな商品に対して、高価でも金額を支払う傾向にあるという調査結果も出ています。多様な価値観の人たちが集まって取引をするマーケットプレイスだからこそ、メルカリは時代の変化をしっかりと捉えていくことが大事だと考えています。」
新時代のトレンドを把握するために、Z世代をメインの顧客層としているSHIBUYA109に、若い世代の声を聞く環境を提供してもらう運びになったという。SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣さんは、日常から若者との対話を繰り返す活動内容について語った。
ー長田さん「SHIBUYA109 lab.は、2018年からSHIBUYA109を拠点にaround20(15-24歳)の男女のトレンドや価値観をさまざまな観点から調査しています。毎月200人のaround20の人たちと直接対話を続けていて、同世代の人よりもZ世代の子たちと話すことが多いですね。常にZ世代と同じ目線でいることを忘れずに活動しています」
情報収集を徹底して、長く使えるものを買う|Z世代共通の価値観
トークセッション1つ目のテーマは「Z世代の買い物の仕方とは?データで見るZ世代の購買行動変化」だ。「モノを選ぶときにどんなことを大事にしていますか?」という長田さんの問いかけに対し、Z世代の参加者が回答した。
参加者たちは、大事にしている価値観を「他の価値と交換になること」や「値段・品質・評価(レビュー)の優先順位」とし、自分にとって価値があるものをお金で変換する行為として購買行動をとらえたり、いくら安くても品質が悪ければ買わないといった価値観について語った。
ー長田さん「お金を限られた中で使わなくてはいけないというところと、SNSでいくらでも事前に情報収集をして商品を吟味してから消費するというところは、Z世代特有の価値観なんじゃないかと思います」
長谷川さんは情報の取捨選択について聞かれると、「私はインスタグラムとかTikTokの投稿を参考にしています。TikTokはリアルなレビューが多いんですよ」とコメント。会場にいるZ世代の参加者も大きく頷き、賛同した。また、「商品の生産背景も気にしてほしい」と強調。「素材のサステナブル性はもちろん、労働環境についても各自で調べる必要がある」と呼びかけた。
ー長谷川さん「今日履いているドクターマーチンは最近購入したんですが、10年前にはマーチンの魅力をお母さんにプレゼンして買ってもらいました。レザー製品で長く使えることや、カジュアルな場面にもちょっと良いご飯屋さんにも履いていけることを伝えたんです。そのブーツは、今もきれいに保管してあります」
ー上村さん「コンバースやドクターマーチンは、ちょっと履きつぶしてクタクタになった方が、おしゃれだったりしますよね。今まではその状態の商品が欲しくても、すぐに入手することは難しかった。メルカリのようなマーケットプレイスができたことで、そのような価値観が交換しやすくなったというのは言えるのかなと思います」
メルカリがフリマアプリの利用者に対して行った調査では「新品を購入する際にリセールバリューを考えるようになりましたか?」と投げかけると、約6割の人が「考えるようになった」と答えたという。上村さんは、「どうせ買うのであれば、長く使えるものを買おうというように価値観がシフトしています」と説明した。
ファッション/フリマアプリ業界の課題とは|Z世代が解決策を提案
2つ目のテーマは「Z世代と企業が一緒に考える”わたしたちにできるアクション”」。Z世代の参加者を前に、メルカリとSHIBUYA109は、それぞれが抱えている課題を共有した。
メルカリ
- マーケットプレイスで出品されたすべてのモノが売れるわけではない
- 商品の梱包資材が過剰包装になってしまうケースがある
SHIBUYA109
- 商品販売後のリユース提案などのアクションができていない
- 商品の梱包資材のリサイクルができていない
これに対し、Z世代の参加者は多様で柔軟性のあるアイディアを提案。
「日本で売れ残った衣服をメルカリで海外に寄付できないか」という提案に、上村さんは「全世界で取り引きができるようにするのは、ずっと前から話されていること」とし、物々交換が盛んなフィリピンを例に挙げて、「国ごとに最適な配送網を設置できれば、近い将来実現できると思います」と反応した。
ー長谷川さん「売る側としてはお金になった方がうれしいと思うんですけど、それよりも売れ残った商品をゴミにしたくないという思いがあると思います。メルカリさんに寄付するルートを作ってもらえば、行動を起こしやすいのではないでしょうか」
「シーズンやトレンドが過ぎてしまった衣料品をメルカリで『109アウトレット』という枠組みを作り、再び販売してみてはいかがでしょうか。SHIBUYA109の名前を使えば、ブランディングも上手くいくと思います。もう一つ考えたのが、『古着回収BOX』です。『109ヴィンテージ』のようなキャッチーなブランド名で販売すれば、興味を持つ人が出てくると思います」という意見も。
ー長田さん「古着回収BOXを設置するだけではなくて、それをヴィンテージとして販売するというのが新しいアイディア。とても素敵です。ぜひ会社に持ち帰りたいです」
ー長谷川さん「『109チャンネル』みたいに、商業施設がメルカリのアカウントを作っていけば実現できそう。新たなタグ付けの方法なんかがあると面白いと思います」
上村さんは、「ユニークなアイディアがたくさん出てきて、もっとお話ししたかったです。SHIBUYA109 lab.さんと一緒に今回出たアイディアをもっとブラッシュアップして、実現できるものは実現していきたいと思っています」とトークセッションを締めくくった。
まとめ
2030年代以降の社会で主役となるZ世代。近い将来に直面することになる気候変動への危機感が、彼ら一人ひとりの購買行動や価値観に表れている。
今年1月に電通が行った調査によると、生活者全体のSDGs認知率は54%だったのに対し、10代男女の認知率は7割を超えた。若年代の気候変動対策への関心の高さは、ここでも明らかになっている。
SDGsゴール13「気候変動に具体的な対策を」に直結する「アースデイ」の取り組みは、コロナ禍の今年も全国各地で展開された。若者もビジネスパーソンも各世代の考えに耳を傾け、誰かと協力してできることを探してみるのはいかがだろうか。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。