《徹底解説》LGBTQとは|SDGsとの関係から、現状や課題まで徹底網羅

#SDGs目標1#SDGs目標10#SDGs目標16#SDGs目標5#SDGs目標8#ジェンダー 2021.04.06

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【更新日:2021年9月17日 by 森あゆみ

男性は女性を好きになり、女性は男性を好きになる。今までの当たり前が見直されるようになっています。

性の多様性は「LGBTQ」としても多くのメディアで取り上げられるようになりました。あわせて、LGBTQの割合が社会の約1割を占めるという事実も明らかになり、多様的な性のあり方が認められるようになってきています。

一方で差別や偏見を恐れて、LGBTQであることを公表できない人々、追いつかない制度改正など多くの課題が山積しているのが現状です。

この記事では、LGBTQに関する基礎知識や現状、課題、各国の取り組みをまとめた上でSDGsとの関連性についても解説していきます。

ジェンダーとセクシャリティーの違い

LGBTQについて知る前に、ジェンダーとセクシャリティの違いを理解しましょう。

ジェンダーとは

まずはジェンダーについて解説していきます。

ジェンダーとは、生物学的な性別であるセックス(sex)と区別して、社会的な性別を意味します。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことです。

例えば家庭における男性と女性の役割を考えた時「外で働きに出るのは男、家事や育児は女が行うもの」というイメージはありませんか?

このように社会によって作り上げられた「男性像」「女性像」の男女の別を示す概念がジェンダーです。

近年注目が高まるSDGsにおいても目標5で「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられ、ジェンダーによる男女の差別を解消し、個々の能力が活かされ、安全で安心して暮らせる社会を作っていくことが世界共通の課題となっています。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関する記事はこちら▼


参照:「社会的性別」(ジェンダー)の視点」について

セクシャリティー

ジェンダーが社会的に形作られた男性像、女性像である一方で、「自分がどう自分の性を認識しているか」を包括的に捉えた言葉がセクシャリティーです。

セクシャリティーには以下の4つの要素が含まれているとされています。

  • 身体性(生物学的要素)
  • 性自認(自らをどのような性を考えているか)
  • 性的指向(どういった性に対して恋愛感情や性的感情を感じるか)
  • 性表現(自分がどのような性として見せたいか)

実はLGBTQとはこれらセクシャリティーを決める要素によって定義付けられているものなのです。

参照:セクシュアリティとは?意味や診断項目、種類について。ジェンダーとの違いも解説。 | 自分らしく生きるプロジェクト

LGBTとは

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、性的少数者の方を表す総称のひとつです。

2018年に行われた電通ダイバーシティラボの調査によると、日本人の11人中1人がLGBTだと言われています。

LGBTの割合は世界中で年々増え続けており、従来の固定的な性別における役割分担にとらわれず、1人ひとりが自由かつ平等に行動、選択をできるジェンダーフリーな社会が求められています。

参照:電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2018」を実施

LGBTとLGBTQの違い

実はLGBTだけが、セクシュアルマイノリティではありません。

LGBTQは、LGBTに「Q」がプラスされた言葉ですが、これはLGBT以外のセクシュアリティがあることを意味しています。

他にもLGBTQAやLGBTQ+があるなど、幅広いセクシュアリティを意味する言葉が存在しています。

参照:「LGBTQ」の「Q」とは? 

レズビアン(Lesbian)

レズビアンとは、自身を女性と認識したうえで、女性に恋愛感情や性的欲求を抱く性のあり方(セクシュアリティ)です。

「LGBTQ」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「L」に当たります。

欧米では同性愛者をまとめて「Gay」と表現することがあるため、レズビアンの女性でも「Gay」と名乗る方もいます。

日本で有名な「レズ」という呼び方には、ネガティブな意味合いが含まれることもあるため、「レズビアン」や「ビアン」と呼ぶことが主流です。

ゲイ(Gay)

ゲイとは、自身を男性と自認した上で、男性に恋愛感情や性的魅力を抱くセクシュアリティです。

「LGBTQ」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「G」に当たります。

上記でも示した通り海外では、男女関係なく「同性愛」のことを「ゲイ」と表現することもあります。

バイセクシャル(Bisexual)

「バイセクシュアル」とは、「男女どちらにも性愛感情が向くセクシュアリティのことです。日本語では「両性愛者」と表記します。

「LGBTQ」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「B」に当たります。

「ゲイ」や「レズビアン」の場合は「男性に性愛感情が向く『男性』」「女性に性愛感情が向く『女性』」を意味しますが、バイセクシュアルの場合は「男性と女性に性愛感情が向く人/性のあり方」を意味するため、本人の性別は問いません。

そのため、本人の性別を特定して記述したいときは、「バイセクシュアル男性」「バイセクシュアル女性」などと表記します。

トランスジェンダー(Transgender)

トランスジェンダーとは一般的に性自認と身体的性が一致していない方全般を表す言葉です。

「LGBTQ」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「T」に当たります。

例えば、生まれた時の性は男性ですが、自身のことを女性と認識している方などを指します。

クエスチョニング(Questioning)

クエスチョニングとは、自身の性自認(自分の性を何と考えるか)や性的指向(どんな性を好きになるか)が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシュアリティを指します。

「LGBTQ」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「Q」に当たります。

名前の付いた性に自分を当てはめることで生きやすくなる人もいれば、当てはめない方が心地よいと感じる人もいます。そのためにあるのが「クエスチョニング」です。

また、セクシュアリティの転換期もまた、「クエスチョニング」と呼ぶことが出来ます。セクシュアリティは流動的で、変化することもあります。レズビアンからバイセクシャルに転換するなど、自らのセクシュアリティが変化している段階も「クエスチョニング」といえます。

参照:LGBTとは?【5分で読める基礎知識】 | LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」

LGBTQとSDGsの関係性

近年注目が高まるSDGs(持続可能な開発目標)ではジェンダー平等の達成は目標5で掲げられています。

しかし、この目標の項目には女性の人権に関する言及はされていますが、LGBTQに関する言及はありません。

LGBTQに言及されていない理由の一つとしてあげられるのが、LGBTQであることが違法になる国が存在するからです。

国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)の調査によると、国連加盟国の約37%の73ヶ国もの国が違法と定め、同性間の性行為に死刑を科す国まで存在します。

SDGsは国際的なものであるため、法律が絡むLGBTQについては世界各国の共通項目に記載出来ないのです。SDGsの観点からLGBTQに関する各国の情勢を見てみると、社会によってはまだまだ LGBTQの方々が受け入れられにくいということがわかります。

しかし、元国連事務総長のパン・ギムン氏はSDGsの中に明確な表記はされていなくとも、誰一人置き去りにしないというSDGsの理念は変わらず、どんなセクシュアリティーを持つ人も差別されてはならないと意思を表明しています。以下、パン・ギムン氏の発言を引用します。

(「性的多様性やLGBTQの権利が特定の目標として含まれなかったことを残念に思うか」という問いに対して)

「この問題は、新たな開発アジェンダのすべての項目を「分野横断的に」貫いている問題であり、『誰も置き去りにしない』というSDGsのモットーに既に含まれています。誰もが参加すべきであり、民族や性的指向、性別、出生、貧しいか金持ちかは関係ないのです。新しいアジェンダには差別などなく、人間を中心においたビジョンなのです。」

 

つまりSDGsにおいて、直接的な言及はされていないものの「誰も置き去りにしない」という全体目標の中にLGBTQの人々も含まれてるという事です。

SDGsを達成するためには、LGBTQの人々に対する差別を無くす事が必要不可欠であり、世界各国が積極的に取り組むべき課題なのです。

参照:https://www.international-press-syndicate-japan.net/index.php/news/development-aid/2507-un-secretary-general-explains-significance-of-2030-global-goals-2

数字で見るLGBTQ

LGBTQの“Q(クエスチョニング)”などは数多くのセクシュアル・マイノリティを包括する言葉でもあり、LGBTだけに当てはまらない方々が数多くいることを示唆しています。

しかし、セクシュアル・マイノリティという呼称がつけられているように、LGBTQが少数派の方々であることは間違いありません。

LGBTQへの理解を深めるためには、日本や世界にどれだけLGBTの方がいるのかを理解する必要があるのです。

欧米のLGBTの割合

欧米の調査結果では、LGBT(Qを除く)の割合は次のようになっています。

欧米圏でも地域によってばらつきがあることがわかります。

国・地域名 LGBTの割合(およそのパーセンテージ) LGBTの割合(何人に1人) データの年
アメリカギャラップ(Gallup)の最新調査 17% 6人の1人 2021年
ヨーロッパDalia社調査 10% 16人に1人 2016年
スペイン 6.9% 15人に1人 2016年
イギリス 6.5% 15人に1人 2016年
ドイツ 7.4% 13人に1人 2016年

アメリカではさまざまなLGBTQのパレードやイベントが行われており、LGBTQをカミングアウトしやすい雰囲気であるが故に、その割合も他国に比べ高い結果となっています。

日本のLGBTの割合

日本国内のLGBT(Qを除く)の割合は、いくつかの団体により調査が行われています。

調査団体 LGBTの割合(およそのパーセンテージ) LGBTの割合(何人に1人) データの年
電通ダイバーシティ・ラボ

電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2018」を実施

5.2%→7.6%→8.9% 11人に1人 2012年→2015年→2018年
株式会社 LGBT 総合研究所(博報堂DYグループ)

About LGBT – LGBT総合研究所

8.0%→10.0% 10人に1人 2016年→2019年
「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム(協力:大阪市)

働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム)

8.2% 13人に1人 2019年

電通ダイバーシティ・ラボの調査によるとLGBTとして自認している割合はおよそ8.9%となっています。

あくまで推定ですが、人口に換算すると約550万人いる計算になります。

※人口は2020年11月26日時点

※団体により調査方法の違いなどがある事から、調査によってLGBTの割合に違いが生じています。

世界同時に同じだけの人間を同じ研究機関が調査しない限り、完璧な数値はわからないためあくまで参考として割合を確認しましょう。

日本を取り巻くLGBTQの課題と発生する問題

教育や仕事の制度の必要性

教育の現場ではLGBTQへの対応が特に強く求められます。

これはLGBTQの人々が、自身がそうであると認識するのが思春期に多いことが挙げられます。自分のセクシュアリティを否定する必要がないこと、LGBTQ以外の人も含め、すべての人が多様性が認められた社会について学校教育を通して理解を促進していくことが重要です。

実際に学校でLGBTQであることを打ち明けた生徒が、「男(女)のくせに」、「気持ち悪い」などの差別的あるいは侮辱的な言葉を受け、自尊感情を深く傷つけられることも少なくありません。

また、教員からも不適切な対応をされた事例もあります。 思春期は人格形成に必要な時期であり、そこで精神的な傷を負えば、その子どもの人生に大きな影響を与える可能性は十分にあります。

仕事においても同様に、LGBTQであることを面接中に打ち明けたところ、就活の面接を打ち切られたというケースも報告されています。

また、「オカマっぽい人には営業をやらせられない」、と言われ、ハラスメントをされるだけでなく、希望していた営業職を断念させられるという直接的な制限をされるケースもあります。

このように学校あるいは職場の環境において、LGBTQへの理解が乏しく、また認められていないことによる問題がいくつも発生しているという現状があります。

結婚制度

日本では同性婚やパートナーシップ法などの法整備が行き届いておらず、同性婚および同性パートナーが認められおらず、同性パートナーでは家族を形成できない状態にあります。

これはG8のメンバー国であるフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、ロシアの中でも日本とロシアだけであり、先進国の中でも遅れている状況である事は否めません。

医療制度

医療の場面においてもさまざまな課題があります。

医療機関ではLGBTQへの医療者の無理解を恐れて受診をためらいがちです。具合が悪くても我慢を続けてしまい、重症化するケースは少なくありません。

そのため、医療機関ではLGBTQへの理解が深くなされていなければいけませんが、専門機関も少なく、場合によってはLGBTQを認めてもらえないケースもあります。

例えば一緒に暮らしているパートナーが意識不明に陥り入院した際、同性パートナーであったため、病院や医師から安否情報の提供や治療内容の説明を受けられず、面会も拒否されたケースがあります。

またトランスジェンダーでありながら戸籍上の性別が変更できていない場合、医療機関の受付で戸籍上の名前で呼ばれることから、受診し辛くなったケースもあります。

結婚の問題にも関わりますが、同性パートナーが認められないことや、LGBTQの方々への配慮の欠如が医療関係の場でも起こっています。

公的サービス、社会保障

誰もが享受できる公的サービスや社会保障でもLGBTQの人々は困難に直面することがあります。

高齢者向け施設において、男女別に施設運営がされていることから、性別に違和感を抱えていることを施設に伝えても考慮されず、戸籍上の性別で分類され精神的な負担が大きかったという人がいます。

あるいは同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないとして拒否されたケースもあります。

法整備がなされていないこと、理解がなされず配慮が欠けていることから、このような問題が散見しています。

参照:https://gooddo.jp/magazine/gender_equality/lgbt_gender/6739/

https://jibun-rashiku.jp/column/column-3311

海外の LGBTQに関する世界的な動き

LGBTQを認める世界の動き

LGBTに対する世界的な動きについて、順を追ってご紹介します

1970年代 ゲイパレード「プライド」の開催。法的権利獲得や差別撤廃などを求めました。
2009年 世界最大級のゲイパレード、「サンパウロ・ゲイ・プライドパレード」の参加者が推計320万人を突破しました。
2010年 アイスランドの議会は、同性婚を認める法案を全会一致で可決。首相自身がレズビアンであることを公言しました。
2011年 国連人権理事会が、性的指向や性自認に基づく暴力行為や差別に重大な懸念を示す決議を採択しました。
2014年 インドで「第三の性」(トランスジェンダー)を法的に認める最高裁の判決が出されました。
2015年 アメリカ全州で同性婚が合憲となり、異性カップル同様に法的な保証が認められるようになりました。また、ベトナムでは同性婚を禁止する法律が廃止となり、事実上の同性婚が可能にまりました。
2016年 イタリアで同姓カップルに結婚に準じた権利を認める法律を成立させています。
2017年 台湾でも司法院大法官会議(台湾の憲法裁判所に該当)が同性婚を認めていない現行民法は違憲であるとの判断を示し、ドイツでは同性婚が合法化されています。
2018年 インドで同性同士の性行為を違法としない判決が下されました。
2020年 アメリカで職場におけるLGBTなど性的少数者の権利保護が明確になりました。

このように、少しずつLGBTQを保護する法律が制定されてきています。

例えば、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ共和国を含む24カ国では、国全土で同性婚が合法化され、異性婚と同等、それに近い権利、または部分的な権利を与えるということが認められました。

その他、イスラエルをはじめフィンランド、オーストリア、ドイツ、スイスなど20カ所以上が登録パートナーシップを持っています。

LGBTQへ圧力を強める世界の動き

しかし一方では、LGBTQに対し圧力を強める国もあります。

ロシアでは、2013年6月に同性愛宣伝禁止法が成立し、未成年者に「非伝統的な性的関係」(同性愛)について情報提供することが禁止されました。

このことが理由で、アメリカ・フランスなどの首相がソチオリンピックの開会式をボイコットしたことも記憶に新しいものです。
また、ナイジェリアでは2014年に同性婚禁止法の成立、ウガンダでは2014年に反同性愛法が成立し、同性愛者への罰則を強化しました。

特に、アフリカ地域における圧力は顕著で、54か国中38か国で同性愛行為が禁止されています。

参照:知っておくべきLGBTの基礎知識!日本での現状や海外の制度

LGBTQに関する海外企業の取り組み

Apple

Appleは、多様性を重視した雇用を世界的に展開しており、LGBTQだけでなく障がい者などの採用にも前向きな姿勢を示しています。

Appleの新規採用者の半分がいわゆるマイノリティに属する人たちとも言われており、アメリカ合衆国で最大のLGBT団体 Human Rights Campaignが表彰する「Best Place to Work for LGBTQ Equality (LGBTQの平等において最高の職場)」に2018年時点でなんと15年連続で選出されました。

さらに、Appleはアメリカでは教育関連団体GLSEN(Gay, Lesbian & Straight Education Network)などのLGBT団体とも積極的に協力しています。

Microsoft

Microsoftも、HRCから社内の平等の点で非常に高い評価を得ている国際的なLGBTQフレンドリー企業の一つです。

Microsoftで特徴的なのが、LGBTQの従業員から構成されるGLEAMという社内団体の存在です。GLEAMは社内では討論会やランチ、スポーツ大会などのイベントを実施するほか、社外のLGBTQ団体とも協力して大規模なネットワークを作っています。

Microsoftは1993年にはすでに同性パートナーへの福利厚生を認めており、IBMと並んで性的マイノリティへの対応に歴史がある企業です。

IKEA

スウェーデンで設立され、現在はオランダに本社を置くIKEAは、日本でも「北欧家具」のイメージがすっかり定着している人気店です。

そんなIKEAも世界的にインクルーシブな(多様な人々を包括している)採用を行っており、IKEAグループで働く人々のうち半数近くが社会的にマイノリティとされる人々です。

各国のIKEA所在地に「ダイバーシティ・インクルーシブ大使」を設けるほか、日本では「国際反ホモフォビアの日」と呼ばれるInternational Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobia(毎年5月17日)をIKEAは祝っており、社内外で近年顕著な活動を見せています。

参照:海外の大手LGBTフレンドリー企業を5社紹介!日本との違いは?

日本のLGBTQに関する課題への取り組み

LGBTQをめぐる国内の動き

LGBTQをめぐる国内の動きは以下の表の通りです。

平成14年(2002年) 「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月15日閣議決定)に同性愛者への差別と いった性的指向に係る問題の解決に資する施策の検討を行うことが盛り込まれる
平成16年(2004年) 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成15年法律第111号)施行
平成22年(2010年) 文部科学省が性同一性障害への対応徹底を求める事務連絡19を発出
平成24年(2012年) 内閣府が人権擁護に関する世論調査20を実施 ・「自殺総合対策大綱」(平成24年8月28日閣議決定)で自殺の恐れが高い層として「性的マイ ノリティ」に言及
平成26年(2014年) 文部科学省が学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査を公表
平成27年(2015年) LGBTに関する課題を考える国会議員連盟発足(超党派) ・文部科学省が「性的マイノリティ」の児童生徒全般に配慮を求める通知を発出

東京都渋谷区と世田谷区が同性パートナーの証書の発行を行う制度を開始

「第4次男女共同参画基本計画」(平成27年12月25日閣議決定)において性的指向や性同一性 障害を理由として困難な状況に置かれている場合への対応が盛り込まれる

平成28年(2016年) 自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」設置 ・文部科学省が教職員向け手引を作成・公表
平成29年(2017年) 男女雇用機会均等法(昭和47年法律第113号)に基づく改正セクハラ指針が施行され、被害者の 性的指向・性自認にかかわらず職場におけるセクハラが対象となることが明記された
平成29年(2017年) 性的指向や性自認をからかいやいじめの対象とする言動もセクハラに当たり許されないことを明確化する人事院規則の運用通知の改正

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)に基づく基本方針27が改定され、LGBTQへの対応が盛り込まれる

2020年東京オリンピック・パラリンピック大会において開催に必要な物品・サービスの調達基 準や運用方法などを定めた調達コーに、LGBTQなどを含めた「社会的少数者」の権利尊重 を規定

性的指向と性自認に関する施策を推進するための地方自治体議員連盟が発足

LGBTQに関する地方自治体の動き

渋谷区の例

渋谷区では、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進しています。

2015年4月に同性カップルに対して「結婚に相当する関係」を認めるパートナーシップ証明書を発行する条例を施行しました。

パートナーシップ証明は、法律上の婚姻とは異なるものとして、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するものです。

参照:LGBTに関する取り組み

世田谷区の例

世田谷区は、基本計画において「人権の尊重」を掲げ、その中で「女性や子ども、高齢者、障害者、外国人、性的マイノリティなどを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権への理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進をします。」としています。

2015年11月に世田谷区は行政の判断で策定できる要綱という形で、同性パートナーの宣誓書を渡し、写しを受領しています。

世田谷区パートナーシップ宣誓の取組みは、「人権尊重」の取組みのひとつとして、同性カップルである区民の自由な意思によるパートナーシップの宣誓書を受け取ることにより、同性カップルの方の気持ちを区が受け止めるという取組みです。

参照:性的マイノリティ(性的少数者)の方へ

文京区の例

東京都文京区は2017年4月に性的マイノリティ(LGBTQ)が行政の窓口や学校で差別的な言動を受けないようにするため、区職員や教員向けに対応指針を策定しました。

文京区は2013年11月1日施行の「文京区男女平等参画推進条例」において「何人も、配偶者からの暴力等、セクシュアル・ハラスメント、性別に起因する差別的な取扱い(性的指向又は性的自認に起因する差別的な取扱いを含む。)その他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない。」としており、LGBTQ支援の姿勢を打ち出していました。

その後、全職員にLGBTに関する啓発カードを配布するなどしていましたが、それでも「何が差別になるのかわからない」といった声が寄せられていたそうです。

そこで、LGBT法連合会が監修したガイドラインに基づいて区職員や教員向けの具体的な対応指針(ガイドライン)を作りはじめ、昨年末から区民に説明会を開いたりするなど、文京区からLGBTQの方々に対する配慮や理解を深めようという取り組みがなされています。また、文京区側からのアプローチだけでなく、住民側からもパブリックコメントを募集し、区議会の意見を踏まえガイドラインに盛り込んだりもしています。

この対応指針は区内の幼稚園や小中学校にも配布されています。

参照:性自認および性的指向に関する対応指針 案

LGBTQに関する日本企業の取り組み例

企業例①ライフネット生命

引用:ライフネット公式Twitter

引用:ライフネット公式Twitter

ライフネット生命では2015 年 11 月から死亡保険金の受取人の指定範囲を拡大し、異性間の事実婚に準じて、「同性のパートナー」を受取人に指定することが可能としています。

取り組み開始後、当事者や当社 ご契約者から「サービスを開始したと知って感動した」、「受取人を同性パートナーに変えたい」、「当事者ではないが、ライフネット生命に加入していることを嬉しく思う」という賛同の声が上がっています。

また2016年より東京レインボープライドにフォトブースを出展しました。

参加者が写真を1枚撮影するごとに同社が100円を積み立てる「レインボーフォトプロジェクト」を展開しており、その資金を元に購入したLGBT児童書を全国各地の図書館に寄贈しています。

2017年には「LGBT当事者の意識調査」として、いじめ問題や職場問題について宝塚大学の日高教授に委託したアンケート調査結果を発表しています。

参照:同性パートナーへの生命保険 同性パートナーの保険金受取人指定が可能に

企業例②ソフトバンク

引用:多様な人材が活躍できる社会へ。企業のLGBTへの取り組み評価指標「PRIDE指標」で、ソフトバンクが最高位「ゴールド」を4年連続受賞 – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

ソフトバンクでは自治体などが発行する同性とのパートナーシップを証明する書類により、家族であることを条件とする“ソフトバンク”や“ワイモバイル”の各種サービスを適用しています。

また、社内規程上の配偶者に同性パートナーを含め、配偶者を持つ社員を対象とした結婚休暇や慶弔見舞金などの社内制度を適用、社員がLGBT関連の相談をできる窓口を設置、

社員向けにeラーニングやLGBTQ当事者によるセミナーを実施するなど社内におけるLGBTQへ向けた取り組みが活発に行われています。

参照:LGBTへの偏見解消と多様な個性の尊重を目的に、「東京レインボープライド」に2年連続で協賛 | プレスリリース | ニュース | 企業・IR

<h4>企業例③日本航空</h4>

引用:日本初、「JAL LGBT ALLYチャーター」を運航します|プレスリリース|JAL企業サイト

JALは、社員の配偶者および家族に適用する制度について、会社の定める同性パートナー登録を行った社員(およびそのパートナーと家族)にも同様に適用するという社内環境の整備や、役員から社員を対象とした継続的な研修を行うなど社内の理解促進を図っています。

また、社内だけでなく社会の理解促進も繋げるべく、LGBT関連のイベント・セミナーへの参加や、協賛・出展を行っています。

また、2019年9月に日本で初めて「JAL LGBT ALLYチャーター」を運航しました。

このチャーターは、9月1日に沖縄で開催される「ピンクドット沖縄」に合わせて運航されました。

「ピンクドット沖縄」とは、性的マイノリティが生きやすい社会を目指し、LGBTの方やその友人、家族、趣旨に賛同する方や、ALLY企業の方々が集まり、LGBTの理解促進を図るイベントです。

この「ピンクドット沖縄」にあわせて「JAL LGBT ALLYチャーター」を運航することで、一企業としての取り組みだけでなく、より多くの方にLGBTを支援する運動を認知してもらい、社会全体での理解促進活動を行いました。

参照:日本初、「JAL LGBT ALLYチャーター」を運航します|プレスリリース|JAL企業サイト

さいごに

今回は「LGBTQ」について詳しく学んできました。

LGBTQの方は、世界中に多く存在します。

それに伴い、様々な制度策定などの動きが行われてきました。

しかし、LGBTQを取り巻く課題も未だ、数多く存在するのが現状です。

10人に1人がLGBTQだと言われているこの時代に、様々な差別を受け、多様な性のあり方に声を挙げられずにいる人が多くいるという現状をあなたはどう考えますか?

私達一人一人が多様な性のあり方について理解し、私たちに出来る事を日々積み重ね、誰もが差別を恐れず声を挙げられる環境を形成していく事で多様な性のあり方が認められる世界、「誰1人置き去りにしない」世界を作り上げていきましょう。

 

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