【更新日:2021年10月15日 by 鈴木 智絵】
日本で最初の人材派遣会社であり、世界75カ国・地域に約2,200のオフィスを持つ人材サー ビスのグローバルカンパニーのマンパワーグループ。
マンパワーグループは、SDGsの視点で「はたらく」をサポートするサービスとして教育機関や企業を対象にしたサービスを展開している。
日本を代表とする総合人材サービス会社のマンパワーグループが目指すSDGsはどのようなものなのか。
今回は、マーケティング本部ビジネスソリューション・セールス部 担当課長の時岡あい氏とマーケティング本部デジタル&コミュニケーション部 担当課長の桐生彩乃氏に、マンパワーグループのSDGsに対する考えや必要な視点、今後の展望について詳しく伺った。
見出し
SDGsはビジネスの延長上。マンパワーグループが考えるSDGsとは。
ーーマンパワーグループはSDGsをどのように捉え、どのような取り組みを行っていますか?
桐生:創業当時からマンパワーグループは「働く世界に力を与える」という企業理念、また 「Doing Well by Doing Good(良い行いを積むことが業績を維持する)」という原則の元でビジネスを行っています。
この原則はSDGsの考えにも通ずると考えており、私たちのビジネスそのものがSDGsに繋がっていると考えています。
マンパワーグループがサステナビリティに取り組む上で、3つの柱を大切にしています。 「就業支援」「スキルアップ支援」「多様性の促進」です。
この3つの柱を元に、マンパワーグループではSDGsの中でも目標4「質の高い教育をみんなに」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8 「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等なくそう」の4つの目標を重要視し、取り組みを行っています。
SDGsに取り組む際に必要なのは「多角的な視点」。SDGsサービスに込められた思い。
ーーマンパワーグループでは、企業向けサービスとして「SDGs社員研修」を展開されていますが、「SDGs社員研修」を作成するにあたり工夫された点は何ですか?
桐生:「多角的な視点」の重要性を伝えることを重視しています。
SDGsは目の前の課題のみを見てしまうと、全体の課題に目を向けられなくなります。また、 全体の課題だけを見てしまっても、目の前の課題を見落としてしまいます。
そのため、必要となるのは全体も目の前の課題もしっかりと俯瞰的に見ることができる「多角的な視点」です。この視点の必要性を、「SDGs社員研修」を通じて伝えることを意識しています。
「SDGs社員研修」は新入社員や30〜40代の中堅社員の方を対象に行うことが多いのですが、 学生時代にSDGsを学んでいても、環境問題を事業へ結びつけることが難しいと感じたり、環境問題に特化して考えてしまう方が多いのが現状です。
このような現状を踏まえ、「SDGs社員研修」は環境問題だけではなく、社会の課題に目を向けてもらえるように構成し、事業の一環として落とし込めるよう工夫しています。
SDGsの概要だけを述べるのではなく、SDGsとビジネスとの関係性をしっかりと理解してもらえるように構成する工夫も行っています。
SDGsへの関心は若者だけではない。求職者のニーズから読み取る世代を問わず広がるSDGsへの関心。
ーー「SDGs社員研修」の他にも、さまざまなSDGsに関するサービスを展開されていますが、 サービスの提供などを通じて、SDGsやサステナビリティへの関心はどの世代が1番高いと感じますか?
時岡:どの世代もSDGsへの関心は高まってきていると感じています。
政府が2016年に「SDGs実施指針」を策定したことがきっかけとなり、2017年頃からSDGsの取り組みについて企業の人事担当者からご相談を受けることが多くなりました。
当時は、若い世代の方々を対象にSDGsに取り組む企業が多かったですが、最近は中高年の方が非常に興味・関心を持たれていると感じます。
SDGsに関する新規事業の人材採用でご協力させて頂く際に、その対象となる中高年の求職者の方々の中で、次世代に貢献できるような仕事をしてから定年を迎えたいと考えていると実感しました。
年収が下がってしまうような場合でも、再生可能エネルギー関連のお仕事にエントリーする方も増えています。
統計などを見ると、若い世代の方々のほうがSDGsの認知度が高いとされていますが、SDGsの関心の広がりは世代を問わず広がってきていると感じています。コロナウイルスの影響もあり、今後はより一層SDGsの関心の広まりが加速するのではないかと考えています。
コロナ禍において、「働き方」が大きく変化し、テレワークを推進する企業が大幅に増えました。
テレワークが推進されることによって、求職者の方が地域に関係なく仕事を選べ、SDGsでも重要な「働きがい」に関する地方と都会の格差が解消に向かっていると感じています。
ーーマンパワーグループが、コロナウイルスの影響で事業において大きく変化したことはありますか?
時岡:マンパワーグループにおいても、テレワークが推進されたことは大きな変化だと感じています。
「SDGs社員研修」も集合型での実施を考えていましたが、コロナウイルスの影響を受けオンラインでの実施となりました。
集合型研修の良さもありますが、オンラインでは首都圏近郊だけではなく、全国の企業に同じサービスを提供できる機会が増えたことは大きな変化だと感じています。
「働く世界」を支えるマンパワーグループが描く、SDGsに関する今後の展望とは。
ーーSDGsに関連した将来の展望を教えて下さい。
桐生:マンパワーグループは、工場を持ち何かを生産していると言うわけではないので、具体的に何かを削減したなど数字として表すことは出来ませんが、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」には特に着目していきたいと考えています。
先ほどお話しさせて頂いたように、再生可能エネルギー関連やグリーン成長戦略に核当する分野の仕事をしたいと考える求職者の方々のマッチングも私たちが取り組むべきSDGsの取り組みの1つだと思います。
また、求職者の方がさまざまなスキルを身につけられる環境を形成し、支援することで定型業務に対応する働き方だけではなく「SDGs的な働き方」ができる方々を増やしていきたいです。
まとめ
今回は、日本を代表する総合人材サービス会社であるマンパワーグループのSDGsについて詳しくお話を伺った。
SDGsは若い世代の関心が高いと思われがちだが、中高年の方が年収が下がろうとも次世代に貢献するために、SDGsに関連する仕事をしたいと考えている方が増えているという話がとても印象的であった。
企業だけではなく、求職者にとっても「SDGs」は重要であり、「働く世界」を支えるマンパワー グループだからこそ出来るSDGsのサービスが今後も展開されるだろう。
今後のマンパワーグループの取り組みにも期待が高まる。
SDGs CONNECT副編集長。SDGsを他人事と思わず、当事者意識を持って考える「きっかけ」となる記事作成を目指しています。大学では「女性が生理休暇を取得しやすい環境を作る」をテーマに研究。