”おもしろくて、もうかる”顔の見えるライフスタイルで実現する、みんなが楽しめる社会(前編)|みんな電力株式会社

#SDGs目標7#エネルギー#再生可能エネルギー 2021.05.17

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【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈

私たちの生活において欠かすことのできない電力。でも、その電力がどこからきて、私たちは誰にお金を払っているのか知らない。消費者として生産者にお金を支払っているはずだが、消費者側から誰の電力を買うか吟味することはできないのだろうか?

そんな疑問を解決してくれる電力会社がある。みんな電力株式会社だ。

みんな電力では顔の見える電力™をコンセプトに、誰が生産した電力なのかわかるシステムを構築。消費者と生産者が繋がって、消費者の選択を増やしてくれる電力会社だ。

また、みんな電力が扱っているのは再生可能エネルギーで発電された電気。つまり、私たちが気持ちよく消費行動を起こせるだけでなく、環境にも優しいのだ。

そこで、今回は、これからの消費のあり方、環境問題への取り組み方、そして社会問題解決のためにどのような思いで事業を行っているのかみんな電力社長である大石英司氏にお話を伺った。

顔の見える電力で、環境問題にも地方創生にも貢献

ーー自己紹介をお願いします。

顔の見える電力™』をコンセプトに、日本各地で発電した再生可能エネルギー由来の電力を供給しているみんな電力という会社の社長をしている大石と申します。

ーー『顔の見える電力™』ということですが、一体どういうことなんでしょうか?

私たちの日常では、目に見えないですが、電力にも生産者がいるんです。みんな電力では、日本各地の再生可能エネルギーの発電所の電気を利用者に顔が見える形で紹介し、販売しています。

例えば、今回の取材はzoomで行われていますが、パソコンや携帯電話を使用する際には電気を使っていますよね?その電気って湧いて出てくるものじゃなくて、必ずどこかに生産者がいるんです。つまり、あなたが今月電気代として支払った金額は、生産者に支払われているんですよ。

だとしたら、自分の故郷で作られた電気にお金を支払って買いたいと思いませんか?

そこで、みんな電力では顔の見える電力™ということで、「どこどこの誰々さんが作った太陽光です」」とか「青森の風力発電です」とか顔が見える野菜みたいに電力を紹介しているんです。顔が見えるのでコンセントの向こう側に思いを馳せることができ、電気を使う人たちが誰の電力を買うのかを選ぶことができます。

また、再生可能エネルギーの発電所にお金を払うことにもつながるので、従来の石油や石炭によって作られたエネルギーによって作られた電力に比べてCO2の排出量を大幅削減できます。

つまり、みなさんの電気代を通じて故郷の発電所を応援し、CO2の排出量を削減して気候変動にも貢献できるというのがみんな電力の1番のポイントです。

ーー電力を全然そういう観点で考えたことありませんでした。

自分が知らないうちに環境破壊をしていることに気づかないんですよね。見えないから。

でも、実は私たちの生活の中でCO2を1番排出しているのって、電気の利用なんです。

ペットボトルの飲み物を飲んだり、車に乗ったり、料理をしたり。生活の中で出るCO2のうち、実は半分が電気由来です。もし再生可能エネルギー100% に切り替えていただいたら、年間1家庭1.9トンのCO2を削減することができるんです。私たちの生活の中で1番インパクトが大きいのは電気なんです。

ーーみんな電力の強みはなんですか?

電気が何%どの発電所から購入した電気なのかを全部トラッキングできるようになっている点です。

みんな電力ではブロックチェーン技術を活用し、発電量と需要量を30分ごとにマッチングして電力の取引を見える化しています。つまり、電力にトレーサビリティを導入することで、環境破壊してない電気を購入しているんだということがブロックチェーン上で証明されるんです。

このトレーサビリティをちゃんと証明できる技術により、みんな電力の電気を使っている企業の気候変動に対する取り組みのポイントが上がって、最終的にその企業の株価が上がることも期待できます。

そうすると、企業価値を上げるためにきちんとトレーサビリティのついている電力を買いたい企業が増えてくると、売りたい人も増えてくる。だからもし、これから自分で電力を作れるようになったら自分の家のソーラーパネルで作った電気を大手の会社に売ってみようなんてこともできるんです。

このように、顔の見える電力™をブロッックチェーン上で証明できるようにトレーサビリティをしっかりつけて、生産者と消費者の電力のやりとりをうまく循環させることでより多くの人を気候変動とか社会課題の解決に巻き込んでいけるんじゃないかと思っています。

教育環境で分かれた自分と友人の人生への疑問から気づいた格差問題。格差を無くし、機会の不均衡を是正したい

ーー「顔の見える」を掲げた理由はなんでしょうか?

顔の見えるライフスタイル作っていくことによって、さまざまな社会課題を解決できると思ったからです。

今の時代、いろいろなことが業務効率化されて、生産過程でどんな人がどんなふうに関わっているのか細分化されすぎて見えなくなってきてますよね。つまり、消費者は生産者の顔が全く見えないので、価格の安さでしか商品の価値を判断しなくなってしまっているんです。

そうすると、生産者の働きにみあった対価が支払われない問題や、環境を破壊してしまうような生産方法が消費者の無意識によって選択されてしまう問題などさまざまな社会問題が発生する。僕はそんな効率化されすぎた社会にすごく課題を感じていて。

そこで、どういう生産者がどんな方法でこの商品を作っているのかを見える化することで、生産者との繋がりが見え、生産者に対する対価として公平にお金が流れていく社会を作りたいと思ったんです。

ーー電力の事業を始めようと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?

誰でも電力を作れるようになれば、日本社会の格差を是正できるのではないかと思ったのがきっかけです。

誰でも電力が作れることに着目したのは、印刷会社に勤めていた2007年くらいに、電車でソーラーキーホルダーを持った女性を見かけた経験に基づいています。電車に乗っていたら、ガラケーの充電がなくなりそうで、ちょうど隣に座っている女性のソーラーキーホルダーが目に止まったんです。「この女性からこのキーホルダーで作った電気を譲ってもらえないかな」と思いました。そう思った時に、電気って誰でも作れる時代になっているんだな、と僕はすごくインスピレーションを受けて。

電気といえば、一部の人が独占する富だったんですけど、これなら、子供からお年寄りまで誰でも電気という富を作り出して売れるのではないかと思ったんです。一部の石油会社とか電力会社とかに独占されている富が分散されて、日本全体の格差是正につながるのではないかと思い、電力事業を始めることにしたんです。

ーーお話の中で、社会課題を解決するというお話がたくさん出てきたと思うのですが、課題を解決して、どんな社会にしていきたいとお考えでしょうか?

正しく生産者が評価される社会にしたいですね。顔の見えるライフスタイルを実現することで、努力した分をきちんと評価される土壌を作ることにつながると思っているんです。それを続けていくことで最終的には格差のない社会を作りたいなと考えています。

ーー格差社会に対して課題感を持たれたきっかけなどはあるのでしょうか?

育った環境だと思います。僕が生まれ育ったのは、もともと下町で、そこで同じ小学校に通っていても塾に通えない子がいたり、家庭環境から十分な教育環境が整っていない友達がたくさんいたんです。そういう友達に大人になって会った時に「今どこに勤めているの?」と聞いたら「無職やねん」という話をしていて、別れ際に「俺、エイジくんにだけは俺みたいになってほしくないねん」なんて言われたりする。

でも、彼は別に望んでそうなっているわけじゃないんですよね。どうしても、環境とか置かれているところに人はすごく左右されるし、与えられる機会も全然違う。僕はそれが悔しかった

もしかしたら、社会の格差がなければ、彼らは十分な教育を受けて、世の中の役に立つようなことをしていたかもしれないじゃないですか。だから、格差を解消することで生まれる機会の不均衡を無くしていきたいなと強く意識していて。みんな電力の理念にも繋がっているところがあると思います。

「面白くて儲かる」面白いと思うことを追いかけ続けることが持続可能への第一歩!

ーーみんな電力が大事にしていることはなんでしょうか?

大事にしていることは「面白くて儲かることしかやらない」です。自分も、世の中も、お客さんも、会社も面白い、そして、社会的利益を作って会社の利益を作ろうという、面白くて儲かるという2つの原則以外の仕事はやめようと決めてやっています。

ーー面白くて儲かる、なおかつ社会課題の解決につながっているとは関わる人誰にとってもwin-winな関係性を構築できますね。

まさにそうですよね。まず、自分が面白くないと、周りを巻き込んでいく熱量は出てこないと思っていて。自分が面白いと思うことを主軸に考えていくことが結果的にはSDGsとか持続可能性に繋がっていくんじゃないかと考えています

そういう人が少しずつでも増えていくことが、社会全体が持続可能になるための第一歩なんじゃないでしょうか。最近は、「面白いな」という自分の興味を追っかけていくことで、結果として作り出したものの価値が認められるような時代がちょっとずつ来ているなと実感することも増えましたしね。

ーーまだまだ聞きたいことがたくさんあります!

ぜひまだまだ話しましょう!今度はぜひオフィスにいらしてください。

第2回に続く!

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