《行動の10年》SDGs×外務省|外務省の取り組みを紹介

#外務省#持続可能#政府 2021.08.16

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

SDGsが世界的に注目を浴びる中、外務省が果たす役割が大きくなっています。

特に日本は先進国として、世界の中でもさまざまな課題を解決していくために協力していく必要があります。外務省は、各国と連携して地球規模の課題を解決していく上で、日本の窓口となる存在であり、SDGsの達成に向けて欠かせない存在になっています。

今回は、外務省がSDGsに対してどのように取り組んでいるのかを紹介します。

外務省とSDGsの関係性

外務省とは

「外務省」とは、国の利益を守るための外交・交渉を担う行政組織です。

江戸時代の終わりごろ、黒船が来航した際にアメリカのペリー提督によって開国を迫られ、日本にとって不利益な日米和親条約を締結してしまったことは、ご存じの方も多いかと思います。

この経験から日本は国益を守る重要性を学び、明治時代に入ってすぐの1869年に「外務省」が設立されました。

現在は豊かな国際社会の形成を目指して、多岐にわたる分野の課題に取り組み、文化交流を行う日本の外交の中心となっています。

外務省とSDGsの関係性

外務省が取り組んでいる課題には、核兵器・テロ・感染症・環境問題・世界経済の発展などが挙げられ、各国が協力して取り組むべきものが多くあります。

仮に1つの国がSDGsの全ての目標の達成を目指したとしても、世界が共通して持つ気候変動や、科学技術の管理・発展、経済成長などの課題を1つの国で解決することは不可能です。

よって、私たちが抱える課題と国際協力は切っても切れない関係にあり、その「国際協力」を円滑に進めるために外務省の存在が大きな役割を担うようになります。

外務省のSDGsに関する取り組み

ここでは、外務省が関連しているSDGsの取り組みをいくつか紹介します。

取り組み①SDGsアクションプラン2021

SDGsアクションプランとは

2019年9月に行われた国連SDGsサミットで、2030年までの期間をSDGs達成に向けた取り組みを拡大・加速するための「行動の10年」と定められました。

SDGsが達成された、しなやかで強靭な経済と環境の好循環のある時代のためには、社会全体の行動変容が不可欠です。

このような考えに基づき、「SDGsアクションプラン2021」には、2021年に実施する政府の具体的な取り組みの重点事項が盛り込まれています。SDGsの達成に向けて国内実施・国際協力を加速化し、国際社会に日本の取り組みを共有・展開していくとともに、広報・啓発にも引き続き取り組み、あらゆる関係者の行動を呼びかけていくとされています。

外務省はこの中で特に「国際協力」「日本の取り組みの共有・広報」の分野でなくてはならない存在であり、今後日本がどこまで国際社会のSDGs達成に大きな役割を果たすのかのカギを握っています。

SDGsアクションプラン2021の重点事項

SDGsアクションプランにはSDGsに取り組むうえでの重点事項が明記されています。

Ⅰ~Ⅳまでの中で取り上げられる具体的な取り組みをすこし覗いてみましょう。

I.感染症対策と次なる危機への備え

2020年頃から世界的に流行している新型コロナウイルスは、医療の現場に混乱をもたらし、SDGsの進捗にも大きな爪痕を残しました。

SDGsアクションプラン2021では次なる危機に備え感染症の検査体制の構築や保健所の機能強化、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた取り組みに力を入れることを宣言しています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは、全ての人が適切な医療、予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態のことを示しています。

Ⅱ.よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略

日本では、未来社会の目指すべき姿として仮想空間と現実空間の融合システムにより、経済発展と社会課題の解決を図るというSociety5.0が提唱されました。

政府はこの取り組みを継続するとともに、デジタルトランスフォーメーションを推進して、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる「新たな日常」の構築を宣言しています。

また科学技術イノベーションを加速させ、農林水産業などの生産性向上と、それを通じた経済成長の実現を推進しています。

Ⅲ.SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出

2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」への挑戦と同時に、防災・インフラの品質向上などの推進を行うとされています。

さらにSDGsを原動力とした地域創生の促進のために、SDGs未来都市、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、地方創生SDGs金融といった活動も大々的に進められています。

Ⅳ.一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

あらゆる分野において女性の参画、ダイバーシティ、バリアフリーを推進し、誰もが生きがいを感じられる包括的な社会を目指します。

すでに大学などの教育機関で導入された教育のデジタル・リモート化や、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進が求められ、次世代へのSDGs浸透も考慮された活動が続けられています。

また、あらゆる分野において一人ひとりの可能性を発見するために、国際社会から信用と尊敬を集め、世界の中でも特に不可欠とされる国を目指すこともこの事項に含まれており、今後の行動の加速の重要性が強調されています。

▼SDGs アクションプランについて詳しくはこちら

取り組み②ジャパン・プラットフォーム

ジャパン・プラットフォームとは

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は2000年に発足した緊急人道支援の仕組みです。

NGO、経済界、政府が対等なパートナーシップのもとに協働して運営されています。

多様な人々の強みや資源を生かして連携できるプラットフォーム(土台)として機能し、国内外の自然災害による被災者、 紛争による難民・国内避難民に、迅速で効果的な日本からの支援を届けています。

災害が発生した場合などは、政府からの支援金や企業・個人の方々からの寄付により、初動活動資金がNGOへと迅速に提供できるため、NGOは直ちに現地に出動、援助活動を開始できる仕組みを構築しています。

活動中のプログラム

ミャンマー避難民キャンプ大規模火災緊急対応

ジャパン・プラットフォームは、バングラデシュのミャンマー避難民キャンプで発生した大規模火災の被災者への緊急支援のため、2021年4月8日に出動を決定しました。

火災は、約86万人のミャンマー避難民のうち約60万人が居住しているコックスバザール県のクトゥパロン・バルカリ避難民キャンプで、3月22日午後に発生し、可燃性の高い竹などで造られた住居に火が引火して周辺のホストコミュニティにも被害が及びました。

住居以外にも1500以上の水道設備、50以上の教育施設、16のチャイルド・フレンドリー・スペースなども焼失や損傷のために使用できなくなってしまいました。

新型コロナウイルスの流行中でも、感染対策を徹底して必要な支援の展開を続けています。

(参照:ミャンマー避難民キャンプ大規模火災緊急対応|ジャパンプラットフォーム)

ベイルート大規模爆発被災者支援

2020年8月31日に、レバノンの首都ベイルートで発生した大規模爆発による被災者支援のためのプログラムの開始を決定しました。

レバノンの首都ベイルートの港湾地区で政府が保管していた硝酸アンモニウムが原因の大規模爆発が発生しました。爆発は広範囲にわたり、15以上の医療機関が損傷を受け、負傷者の治療に十分に対応できない状況となっています。約160の公私立学校が爆発により損傷を受け、約8万5000人の子どもの教育に影響がありました。

ジャパンプラットフォームは社会経済状況や支援ニーズの大きさに鑑みて、NGOと連携しながら、既に脆弱な人々がさらに弱い立場になってしまうことを防ぐための緊急支援を実施しました。

(参照:ベイルート大規模爆発被災者支援|ジャパンプラットフォーム)

取り組み③ジャパンSDGsアワード

ジャパンSDGsアワードとは

外務大臣が副本部長を務めるSDGs推進本部は、2017年から「ジャパンSDGsアワード」として、SDGs達成に貢献する優れた取組を行っている企業・団体などを表彰する取り組みを始めています。

これは、SDGs推進のために、国内の取り組みを「見える化」し、より多くの行動を促進する観点から行われます。

このアワードでは、普遍性・包括性・参画性・統合性・透明性と説明責任という項目で評価が行われます。企業のみならず、NGOやNPO、教育機関、地方自治体などが表彰されており、幅広い層の人々がSDGsを主導していることを物語っています。

ジャパンSDGsアワードの受賞団体を見ると、一つひとつの団体の創意工夫が日本のSDGs達成を促進する大きな原動力となっていることがわかります。

ここでは、第4回ジャパンSDGsアワードで外務大臣賞を受賞した取り組みを紹介します。

外務大臣賞を受賞した取り組み①特定非営利活動法人Support for Woman’s Happiness

1つ目に紹介するのは、東京都足立区の特定非営利活動法人Support for Woman’s Happinessです。

障がい者当事者団体と、ラオスに障がい者が働き暮らす施設を設立し、それぞれの渉外事務所が支えあって製品をつくる仕組みを確立しました。

国を超えて互いができることを組み合わせ、障がい者雇用を促進するスタイルと、伝統的に女性が主要な労働者である布製品を活動の軸にすることによる収入のジェンダーギャップの是正などが評価され、外務大臣賞を受賞しました。

<h4>外務大臣賞を受賞した取り組み②特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス

次に紹介するのは、京都府京都市の特定非営利活動法人テラ・ルネッサンスです。

アジア・アフリカでの支援と日本国内での啓発の両輪による包括的なアプローチから、主に地雷、小型武器、子ども兵等の紛争関連課題の根本解決を目指す取り組みを行っています。

受益者が自立した生活を送れるようにすることを目指し、現地の特性を活かして、持続可能性を考慮した視点で、現地と日本の両方面から「誰一人取り残さない」活動が評価されました。

第4回ジャパンSDGsアワードで外務大臣賞を受賞した団体は、どちらも非営利活動法人でしたが、過去には株式会社の受賞歴も多くありました。

SDGsを促進する取り組みとしてどのようなものが評価されているのかを知りたい!という方はジャパンSDGsアワード一覧をまとめた記事をご覧ください。

▼ジャパンSDGsアワード一覧はこちら

(参照:ジャパンSDGsアワード|外務省)

まとめ

今回は、外務省がSDGsに対してどのような取り組みを行っているのかを紹介しました。

何度も繰り返してしまいますが、SDGsの達成には各国の国際協力が欠かせません。外交を担う外務省の取り組みにアンテナをしっかりと張ってみると面白い取り組みに出会えるのではないかと思います。

みなさんがこの記事を読んで、外務省、そして政府の取り組みに関心を持ち、SDGsをより深く理解していただけけるきっかけとなれば幸いです。

SDGsとは

SDGsは「<strong>Sustainable Development Goals」の略称</strong>です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、<strong>2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成</strong>されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

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