人間は食べ物がなくては生きていくことができず、SDGsが目指す持続的な社会の構築のためには、安定した食料供給体制を構築し、最低限の栄養をすべての人が享受できる体制を構築するする必要があります。
国内でも、貧困層がしっかりと食料を得られるようにフードバンクなどの活動が活発化し、「食品」に関わる取り組みが増加してきました。
この記事では、持続的な社会に必須の「食品」をテーマに、SDGsとの関係性などを紹介してきます。
見出し
- 1 SDGsと食品産業の関係性
- 2 SDGs17のゴールと食品産業の関わり
- 2.1 目標1「貧困をなくそう」との関わり
- 2.2 目標2「飢餓をゼロに」との関わり
- 2.3 目標3「すべての人に健康と福祉を」との関わり
- 2.4 目標4「質の高い教育をみんなに」との関わり
- 2.5 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」との関わり
- 2.6 目標6「安全な水とトイレを世界中に」との関わり
- 2.7 目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」との関わり
- 2.8 目標8「働きがいも 経済成長も」との関わり
- 2.9 目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」との関わり
- 2.10 目標10「人や国の不平等をなくそう」との関わり
- 2.11 目標11「住み続けられるまちづくりを」との関わり
- 2.12 目標12「つくる責任 使う責任」との関わり
- 2.13 目標13「気候変動に具体的な対策を」との関わり
- 2.14 目標14「海の豊かさを守ろう」との関わり
- 2.15 目標15「陸の豊かさも守ろう」との関わり
- 2.16 目標16「平和と公正をすべての人に」との関わり
- 2.17 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」との関わり
- 3 SDGsに取り組む食品企業3選
- 4 まとめ
- 5 食×SDGsの記事はこちら
- 6 SDGsとは
SDGsと食品産業の関係性
食品産業がSDGsに取り組むべき3つの理由
農林水産省のHPから食品産業がSDGsに取り組む3つの理由をご紹介します。
1:事業を通してSDGsの達成に近づくことができるから(ビジネスの発展)
食品産業は、さまざまな栄養素を含む食品を安定供給することで、SDGsが目指す豊かで健康な社会に貢献できる産業です。
特に高齢化が急速に進む中、人々の健康な生活を支えるためにどのような製品やサービスが必要か、そのために必要なイノベーションは何かを重視し、事業を通じて取り組むべき重点課題として位置づける事例が多く見られます。
また、事業活動で得た知識や技術、インフラを、バリューチェーンの上流(原料生産者)や、下流(消費者・地域社会)に役立て、ともに発展をめざすことも可能です。このことが、原料の安定確保や生産性向上だけでなく、地域社会からの信頼や新たなビジネスパートナー、将来の市場の獲得といった長期的な利益にもつながります。
2:SDGsが達成されないと事業の将来が危ないから(リスクの回避)
SDGsは社会が抱えている様々な課題が網羅されており、企業にとっても将来のリスクをチェックする指標として使うことができます。
特に食品産業は、多くの自然資源と人的資源に支えられて成立していることから、SDGsが達成されずに環境と社会が不安定になることが、ビジネス上のリスクに直結しています。
目標13の地球温暖化を例にとれば、気温上昇や自然災害の多発によって食品原料となる農林水産物の生産や、事業所の操業が脅かされています。酷暑によって売り上げが落ちた、労働環境が悪化したという声もよく聞かれます。
また、日本が人口減少と超高齢化社会を迎える中で、継続的に事業の担い手を確保するためには、目標5や目標8、目標10などに関連する多様な人材が活躍できる仕組みとイノベーションが不可欠です。
3:SDGsの達成に貢献できる企業であるか問われているから(企業の社会的価値)
消費者、従業員、株主、取引先、自治体などのステークホルダーから「選ばれる企業」となるためには、目指すべき未来であるSDGsへの取組が判断材料のひとつとなります。
特に近年は、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に配慮している企業を重視・選別して投資を行う「ESG投資」が急成長しています。投資における企業の価値を測る材料としては、これまで主に企業の業績や経営状況などの「財務情報」が使われてきましたが、それに加えて二酸化炭素排出量抑制の取組や、社員のワークライフ・バランスなどの「非
財務情報」も用いられるようになります。
また、グローバル企業を中心に、環境負荷の低さや、人権・労働環境などの社会問題への配慮を取引先の選定や購入の基準とする「持続可能な調達」が広がりつつあります。
さらに、日本でも「エシカル(Ethical:倫理的な)消費」という言葉が聞かれるようになってきました。これは、企業がバリューチェーンにおいて環境負荷を抑制し、原材料等の生産者に不当な圧力をかけていないかをチェックし、社会や環境に対して十分配慮された商品やサービスを買い求める動きです。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/
SDGs17のゴールと食品産業の関わり
農林水産省はWebページ上で、食品産業とSDGsの17のゴールの関係性について解説しています。ここでは一つひとつを紹介していきます。
目標1「貧困をなくそう」との関わり
この目標は、2030年までに、世界中で極度の貧困にある人をなくすこと、様々な次元で貧困ラインを下回っている人の割合を半減させることなどを目指しています。貧困とは、単に収入や資産がないことだけではなく、飢餓・栄養不良、教育や基本的サービスへのアクセス不足、社会的な差別や排除、意思決定からの除外なども含むものです。また、弱い立場にある人たちが、気象変動や災害などの影響をより強くうけることも防ぐ必要があります。
所得が食事の内容に影響する「食の格差」が様々な調査で指摘されています。
また、所得によって教育などへの機会格差が生じ、企業の持続的な発展に必要な人材の確保という点でも問題となります。 さらに、食品産業の多くが海外に原材料を依存する状況では、持続可能な農林水産物の確保に向けて、生産者の生活を安定させる必要があります。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_01.html#goal_top
目標1「貧困をなくそう」の詳しい記事はこちら▼
目標2「飢餓をゼロに」との関わり
この目標は2030年までに、飢餓とあらゆる栄養不良に終止符を打ち、持続可能な食料生産を達成することを目指しています。また、誰もが栄養のある食料を十分得られるようにするためには、環境と調和した持続可能な農業を推進し、生産者の所得を確保し、農業生産性を高めるための研究・投資を行う必要があります。
食品産業は多様な栄養素を含む食品の安定供給を通じて、この目標の達成に中心的な役割を果たすことができます。
一方で、どんな食品でも極端に食べ過ぎれば栄養バランスは崩れることから、正しい知識とともに食品を提供することも重要です。
国内外の原料生産者との連携により、持続可能な農業に貢献している事例も多く見られます。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_02.html#goal_top
目標2「飢餓をゼロに」の詳しい記事はこちら▼
目標3「すべての人に健康と福祉を」との関わり
この目標は、母子保健を増進し、主要な感染症の流行に終止符を打ち、非感染性疾患と環境要因による疾患を減らすことを含めて、あらゆる年齢のすべての人々の健康と福祉を確保することを目指しています。
食品産業は、食品や関連製品・サービスの提供を通じて、人々の健康に大きく貢献することが可能です。
一方で、食品による健康被害は未然に防止しなければなりませんし、「健康に悪い食品をつくる企業」と認識をされてしまうことが、大きな経営リスクとなることに留意する必要があります。
また、安定した企業活動のためには、従業員や取引先、原料生産者等の健康が維持されることが不可欠です。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_03.html#goal_top
目標3「すべての人に健康と福祉を」の詳しい記事はこちら▼
目標4「質の高い教育をみんなに」との関わり
この目標は、2030年までにすべての子供が平等に質の高い教育を受けられるようにすること、高等教育にアクセスできることを目指しています。また、働きがいのある人間らしい仕事や企業に必要な技能を備えた若者・成人の割合を大幅に増加させることもねらっています。
食生活の乱れや、3Rに関する認知度の低下等が課題となっている今日では、食品産業も、食育や環境教育などに、より深く関わっていく必要があります。
従業員はもとより、原料生産者等のステークホルダーの資質向上を図ることも、安定した企業経営には欠かせません。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_04.html#goal_top
目標4「質の高い教育をみんなに」の詳しい記事はこちら▼
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」との関わり
この目標は、女性が潜在能力を十分に発揮して活躍できるようにするため、教育や訓練の充実はもとより、有害な慣行を含め、女性と女児に対するあらゆる形態の差別と暴力をなくすことを目指しています。経済分野においても、あらゆるレベルの意思決定において女性の平等な参画とリーダーシップの機会の確保が求められています。
食品産業は他産業に比べて女性の就業率が高い産業です。今後も人手不足が深刻化する中で、将来にわたって優れた人材を確保するためには、女性が働きやすい職場環境や、その能力が育ち活躍しやすい仕組みの構築が不可欠です。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_05.html#goal_top
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の詳しい記事はこちら▼
目標6「安全な水とトイレを世界中に」との関わり
この目標は飲料水、衛生施設、衛生状態を確保するだけではなく、水源の質と持続可能性をめざすものです。
食品産業は、自らの事業で多量の水を消費するだけでなく、食品の原料となる農産物や資材の生産過程でも莫大な水を必要としています。このため、サプライチェーン全体を通じて安全な水が持続的に確保されることが、企業の将来にとって不可欠です。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_06.html#goal_top
目標6「安全な水とトイレを世界中に」の詳しい記事はこちら▼
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」との関わり
この目標は、国際協力の強化や、クリーンエネルギーに関するインフラと技術の拡大などを通じ、エネルギーへのアクセス拡大と、再生可能エネルギーの使用増大を推進しようとするものです。
今後の人口増加と世界的経済成長の下で、エネルギーの大幅な需要増加が見込まれ、石油需給のひっ迫は避けられないことから、食品産業を含む全産業が、さらなる省エネルギーの推進と、再生可能エネルギーへの転換を迫られています。(省エネ法の努力目標:エネルギー消費原単位を年平均1%以上低減)
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_07.html#goal_top
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の詳しい記事はこちら▼
目標8「働きがいも 経済成長も」との関わり
継続的、包摂的かつ持続可能な経済成長は、グローバルな繁栄の前提条件です。この目標は、すべての人々に生産的な完全雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を提供しつつ、強制労働や人身取引、児童労働を根絶することをねらいとしています。
労働力不足の中で、雇用を引き寄せるためには、食品産業においても働き方改革が不可欠です。
優れた技術や企画力を有するなど質の高い人材を食品製造業に惹き付けるためには、勤務時間の柔軟化や女性・高齢者に配慮した職場環境の改善を図るほか、IT化・ロボット化を含めた設備投資を積極的に進めるなど、働く場としての魅力や生産性を高めることが重要となります。
なお、農林水産省では、食品産業において、働き方改革を進める上で基本となる取組事項を確認していただくチェックリストや、取組事例などをハンドブックで紹介しています。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_08.html#goal_top
目標8「働きがいも 経済成長も」の詳しい記事はこちら▼
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」との関わり
この目標は、国際的、国内的な金融、技術支援、研究とイノベーション、情報通信技術へのアクセス拡大を通じて安定した産業化を図ることを目指しています。
技術開発により多くの新商品を生み出してきたことが日本の食品産業の強みの一つです。超高齢化社会の到来により、機能性、健康、介護などに配慮した製品づくりへのニーズがいっそう高まっています。
人材確保がますます困難になる中、機械化やIoTを活用した省人化の取組の重要性も増しています。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_09.html#goal_top
目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」の詳しい記事はこちら▼
目標10「人や国の不平等をなくそう」との関わり
この目標は、国内および国家間の所得の不平等だけでなく、性別、年齢、障害、人種、階級、民族、宗教、機会に基づく不平等の是正も求めています。また、安全で秩序ある正規の移住の確保を目指すとともに、グローバルな政策決定と開発援助における開発途上国の発言力に関連する問題にも取り組むものとなっています。
食品産業は女性就業比率、高齢者の就業割合、非正規労働者やパートタイム労働者の就業割合率が高く、多様な人材が差別を受けることなく活躍できる環境づくりが必要です。
また、近年、サプライチェーンにおける人権・労働問題に注目が集まっており、自社と直接取引のある一次サプライヤーだけではなく、その先の2次、3次サプライヤーの人権・労働問題についても、配慮が必要な状況になっています。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_10.html#goal_top
目標10「人や国の不平等をなくそう」の詳しい記事はこちら▼
目標11「住み続けられるまちづくりを」との関わり
この目標は、コミュニティの絆と個人の安全を強化しつつ、イノベーションや雇用を刺激する形で、都市その他の人間居住地の再生と計画を図ることを目指したものです。
街の安全と賑わいが維持されることは、顧客の獲得や労働力の確保などの観点から、事業の継続性に不可欠な要素です。
災害の多発が、顧客の生活の安全だけでなく、食品産業の操業や原材料の調達にも大きなリスクとなっていることから、それに備えたBCP(事業継続計画)の策定や、強靱な事業体制を整える必要があります。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_11.html#goal_top
目標11「住み続けられるまちづくりを」の詳しい記事はこちら▼
目標12「つくる責任 使う責任」との関わり
この目標は、環境に害を及ぼす物質の管理に関する具体的な政策や国際協定などの措置を通じ、持続可能な消費と生産のパターンを推進することを目指しています。
食品産業の事業活動により、エネルギー・資源の消費、温室効果ガスの発生、廃棄物の排出など、環境に対して様々な負の影響が生じています。エネルギー転換や資源の循環利用など、この目標に主体的に取り組むことで、SDGsに掲げられた他の目標に寄与するだけでなく、企業にとっても中長期的なコスト削減や、企業評価の向上につながります。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_12.html#goal_top
目標12「つくる責任 使う責任」の詳しい記事はこちら▼
目標13「気候変動に具体的な対策を」との関わり
気候変動は開発にとって最大の脅威であり、その広範な未曽有の影響は、最貧層と最も脆弱な立場にある人々に不当に重くのしかかっています。気候変動とその影響に対処するだけでなく、気候関連の危険や自然災害に対応できるレジリエンスを構築するためにも、緊急の対策が必要です。
地球温暖化により、食品の原料となる農林水産物の供給に大きな影響が生じるとともに、災害の多発による操業等への影響が懸念されています。
他方で、食品産業は、事業活動を通じて温室効果ガスの発生源のひとつとなっています。各業界団体では、「低炭素社会実行計画」として自主的に削減目標を設定し、その実現のための対策を推進することが求められています。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_13.html#goal_top
目標13「気候変動に具体的な政策を」の詳しい記事はこちら▼
目標14「海の豊かさを守ろう」との関わり
この目標は、海洋・沿岸生態系の保全と持続可能な利用を推進し、海洋汚染を予防するとともに、海洋資源の持続可能な利用によって小島嶼開発途上国(太平洋・西インド諸島・インド洋などにある、領土が狭く、低地の島国)とLDCs(後発開発途上国)の経済的利益を増大させようとするものです。
世界的な水産資源の漁獲量増加や海洋環境の悪化により、需給のひっ迫が懸念される中で、多くの水産資源を利用する日本の食品産業において、その持続性の確保は喫緊の課題です。
また、海洋プラスチック問題が国際的にも大きな注目を集めており、様々なプラスチック製品を利活用している食品産業も、その対策に取り組んでいく必要があります。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_14.html#goal_top
目標14「海の豊かさを守ろう」の詳しい記事はこちら▼
目標15「陸の豊かさも守ろう」との関わり
この目標は、持続可能な形で森林を管理し、劣化した土地を回復し、砂漠化対策を成功させ、自然の生息地の劣化を食い止め、生物多様性の損失に終止符を打つことに注力するものです。これらの取組をすべて組み合わせれば、森林その他の生態系に直接依存する人々の生計を守り、生物多様性を豊かにし、これら天然資源の恩恵を将来の世代に与えることに役立つと考えられます。
豊かな森林は水源涵養やCO2 の吸収に大きな役割を果たすだけでなく、そこで暮らして農林漁業を営む人々の生活を支えるものであり、食品産業の持続性にとってきわめて重要です。また、多様な生物資源は、将来の資源不足を解決するイノベーションの核となるものでもあります。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_15.html#goal_top
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目標16「平和と公正をすべての人に」との関わり
この目標は人権の尊重、法の支配、あらゆるレベルでのグッド・ガバナンス(良い統治)、および、透明かつ効果的で責任ある制度に基づく平和で包括的な社会を目指すものです。
食品産業にとって、消費者からの信頼を高めていくためにはコンプライアンスの徹底が重要です。ひとたび企業の信頼を揺るがすような事案が生じると、その回復は容易ではありません。
また、近年では、サプライチェーンの上流に至るまで、人権や労働環境などの社会問題への配慮が求められています。常に企業を取り巻く社会環境の変化に適切に対応し、法令や社会規範を遵守し、社会倫理に沿った企業活動を進めていくことが不可欠です。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_16.html#goal_top
目標16「平和と公正をすべての人に」の詳しい記事はこちら▼
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」との関わり
持続可能な開発アジェンダを成功へと導くためには、政府、民間セクター、市民社会の間のパートナーシップが必要です。人間と地球を中心に据えた原則や価値観、共有されているビジョンと目標に根差すこのような包摂的パートナーシップは、グローバル、地域、国内、地方の各レベルで必要とされています。
食品産業の多くが地域性の高い中小企業であり、地域社会に支えられて経営が成立しています。地方自治体や他企業、市民団体等と連携して行動することで、一社ではできない社会への貢献や地域での信頼獲得につながります。また、取組を通じて新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出なども期待されます。
出典:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_17.html#goal_top
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の詳しい記事はこちら▼
SDGsに取り組む食品企業3選
企業① 森永乳業株式会社
森永乳業では、「輝く”笑顔”のために」のコーポレートスローガンに基づき、7つの重要取組課題を策定しています。
7つの重要課題とは、「健康・栄養」「環境」「人権」「供給」「次世代育成」「人財育成」「コーポレート・ガバナンス」です。
最も食品産業との関りが強いのは「健康・栄養」です。
森永乳業では、社会のニーズが高く「栄養価の高い商品」「嗜好性の高い商品」に対する研究と、中長期的には高齢社会が加速することを見越した研究が行われています。
森永乳業独自の研究開発力で、心身ともに健康な社会生活の実現に貢献することをめざします。
また、人口減少・高齢化が進む中、商品力だけでなくライフスタイルを変革する技術やサービスの創造・提供をめざしています。
参考:https://www.morinagamilk.co.jp/csr/materiality/
企業② ハウス食品グループ本社株式会社
ハウス食品では企業の責任として、①お客様への責任 ②社員への責任 ③社会への責任の3つの責任を掲げています。
その中の社会への責任の1つとして「食品ロス」への対策を実施しています。
その中でも最も代表的な活動は、賞味期限の表示変更です。
ハウス食品2019年に、自社製品の賞味期限を「年月日」から「年月」表示に切り替えると発表しました。
賞味期限の表示方法を変わったのは、同グループのハウス食品とハウスウェルネスフーズが生産する製品で、ハウス食品では家庭用のカレールー「バーモントカレー」など約1000品目が、ハウスウェルネスフーズでは飲酒対策飲料「ウコンの力」や炭酸飲料「C1000ビタミンレモン」など約60品目が対象となっています。
賞味期限の表示方法を変えることで、小売店などで廃棄される製品の量を減らすことが目的で、倉庫や運送業者などは出荷時に日付を細かくチェックする手間が省けます。
参考:https://note.com/sdgs_media/n/n36df67a48e6d
参考:https://housefoods-group.com/csr/guideline/index.html
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46293660Z10C19A6000000/
企業③ 株式会社湖池屋
湖池屋では、ポテトチップスができるまでに発生するいろいろな廃棄物の再生利用に取り組んでいます。
2020年4月から2021年3月までの再利用率は97.3%でした。
ポテトチップスのできるまでとその過程のリサイクルは以下の図のようになっています。
また湖池屋では、サステイナブルアニメの制作を行なっています。
2021年10月3日から毎週日曜日にTOKYO MXにて放送予定です。
『湖池屋SDGs劇場 サスとテナ』 予告編はこちらから▼
湖池屋SDGs劇場 サスとテナ 予告動画 – YouTube
参考:https://sustotena.koikeya.co.jp/
まとめ
今回は、食品産業とSDGsの関わりについて学んできました。
食品ロスの問題やこども食堂の運営など、食とSDGsは切っても切り離せない関係にあります。
これからスーパーやコンビニで買い物をする時に、少しSDGsについて考えながらお買い物してみては?
食×SDGsの記事はこちら
こども食堂の記事について詳しくはこちら▼
フードバンクの記事について詳しくはこちら▼
フードロスの記事について詳しくはこちら▼
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
▼SDGsについて詳しくはこちら