サイバーエージェントのグループ会社であり、プログラミング教育事業を展開するCA Tech Kidsが全国規模で開催している小学生のためのプログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prix」。
このコンテストは、これからの時代を担う次世代クリエイター人材の発掘を目的とした小学生プログラミングコンテストである。小学生なら誰でも応募することができ、昨年2020年度は全国各地から2,189件のエントリーが集まった。
毎年、小学生とは思えない作品とプレゼンが話題を呼んでいる。
今回紹介するのは、その「Tech Kids Grand Prix 2020」で見事優勝に輝いた小学4年生(優勝当時)の川口明莉さんだ。
川口さんが開発したのは、AIを活用したSDGs学習アプリ「マークみっけ!for SDGs」である。
「マークみっけ!for SDGs」とは
「マークみっけ!for SDGs」は、ベルマークやマタニティマークなどのSDGsに関連するマークをタブレット端末のカメラで読み取ると、AIの画像認識技術を利用して、そのマークの解説やSDGsの17項目のどれに該当するかなどを判別し、マーク図鑑に記録していくことができる。 |
「マークみっけ!for SDGs」作品紹介動画▼
プログラミングの技術をどのように身につけたのか。また、「SDGs」に着目したのはなぜか。
今回は、川口明莉さんとご家族にインタビューを行い「マークみっけ!for SDGs」開発の裏側について伺った。
見出し
10歳の少女が切り開く未来。AIを活用して持続可能な社会へ
ーー自己紹介をお願いします。
川口:川口明莉です。名古屋に住んでいる小学5年生です。得意なことは縄跳びです。二重跳びが150回できることが特技です。
ーーAIやプログラミングだけではなく、スポーツも得意なんですね。
川口:部活はバスケ部とソフトボール部に入っています。
ーーさまざまなことに興味を持ち、チャレンジされているんですね。その中でもプログラミングに興味を持ったきっかけを教えてください。
川口:プログラミングに初めて興味を持ったのは、小学1年生のころに「Why!?プログラミング」というNHKの番組を見たことがきっかけです。
その番組のホームページに、毎月プログラミング作品の募集をしているコーナーがあったので、夢中になって毎回投稿して、いろいろな作品を作りました。
ーーお母様にご質問させていただきます。明莉さんは小さな頃から好奇心旺盛なタイプでしたか?
川口母:昔から絵本を自分で作ってみたり、工作が好きな子でした。また、物語を考えることも好きで、物語を作っては聞かせてくれていましたね。他にもスポーツなどにも興味を持って実際に部活に入ったりしているので、昔から好奇心旺盛な子ですね。
ーー好奇心を持つようになったきっかけは、普段の家庭の生活の中にあるのでしょうか?
川口母:新聞は一緒に読んでいます。勉強をするというよりも、新聞などから知識を広げていって、その知識が興味関心の幅を広げているのだと思います。
ーー明莉さんが実際にプログラミングをやってみて感じる魅力は何ですか?
川口:プログラミングをしていて一番良いなと思うのは、作品を見てもらって、喜んでもらえたり楽しいと思ってもらえることです。Scratch(ビジュアルプログラミング言語)では、自分の作品を公開すると、それをみた人から「お気に入り」されたりとか、コメント機能があって、もっと作品を作りたくなります。
ーーすごいですね。今はどのような作品を作っているのですか?
川口:今は「Tech Kids Grand Prix」で賞をもらった「マークみっけ!for SDGs」のアプリ化をしています。特に、写真を保存する機能を作ってます。
プログラミングを通して、SDGsを知って欲しい。10歳の少女がSDGsの教育アプリを開発した理由。
ーーでは、「マークみっけ!for SDGs」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
川口:学校でSDGsについて習ったり、マークを集めるゲームをしたことがきっけです。
ーーそうなんですね。実際に学校の授業でSDGsを学ぶ機会は多いですか?
川口:結構多いです。授業で学んでいたSDGsとプログラミングを組み合わせることで良い作品ができたらと思い、作りはじめました。
ーー「マークみっけ!for SDGs」はどんな人に使ってほしいですか?
川口:今、アプリ化してる理由は「GIGAスクール構想」で1人1台タブレットが配られるので、そのときに学校の友達にやってもらいたいと思って作っています。
学校でSDGsを習ったときに、友達があまり興味を持っていなかったので、このアプリならゲームのような感覚で遊んでもらうことができ、SDGsに興味を持ってもらえるといいなと思っています。
ーー「マークみっけ!for SDGs」を作るにあたって大変だったことを教えてください。
川口:身近なものについてるマークを見て、SDGsの何番に当てはまるのか調べる作業が大変でした。
Check!:GIGAスクール構想 日本全国の小中学校で、児童生徒向けの1人1台端末の配布と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させる構想のこと |
ーーSDGsについて学校以外で勉強はしていましたか?
川口:「マークみっけ!for SDGs」を使ってくれる人にわかりやすくSDGsを伝えるために、新聞やインターネットを使って勉強をしていました。
明莉さんが思い描く2030年の社会と自分自身の姿。
ーー明莉さんがSDGsで興味がある目標は何ですか?
川口:目標3番の「すべての人に健康と福祉を」が1番興味があります。
ーー興味のあるSDGsの目標は、ご自身の将来のところにもつながってくると思いますが、明莉さんの将来の夢を教えてください。
川口:将来の夢はAIを使った小児科医になりたいと思っています。理由は「人間ってナンだ?」というテレビ番組を見て、人間の力ではガンを80%ぐらいしか見つけることができませんが、AIだと98%くらい見つけることができると知ったからです。
SDGsの目標3番の「すべての人に健康と福祉を」を達成するために、AIをもっと学んで、活用していきたいです。
ーー他に、SDGsに関することで解決したいと思うことはありますか?
川口:解決したいと思うのは、目標5の「ジェンダー平等を達成しよう」です。
「CorderDojo」というプログラミングが好きな子が集まる場所に、女の子が少ないことから目標5を解決したいと思うようになりました。
もっと、プログラミングが好きな女の子が増えたらいいなと思います。
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川口明莉さんが優勝した「Tech Kids Grand Prix」の2021年度大会も実施が決定し、詳細情報が公式サイトに公開されました。
公式サイトはこちら▼
https://techkidsschool.jp/grandprix/
エントリー期間は9/24までです。
今年も多くの小学生から作品が集まることでしょう。
川口さんに続くような社会課題を解決する「テックキッズ」の登場が期待されます。
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おわりに
今回は、「Tech Kids Grand Prix 2020」優勝者の川口明莉さんに、SDGs教育アプリを開発した経緯や将来SDGsについての考え、将来の展望について伺った。
SDGsの重要性を感じ、SDGsの認知度を高めるために独自で学んだプログラミング技術を掛け合わせ、SDGs教育アプリを作成した明莉さん。
将来はSDGsの達成のために、AIやプログラミングの技術をより深く学んでいきたいと笑顔で話してくれた。
興味関心を広げ「好き」を追求することで、社会に対して「自分ができること」を増やしていった明莉さん。SDGsの達成はまさに、「好き」を追求した先にあるものだと感じた。
AIを活用した小児科医を夢見る川口明莉さんのこれからにも注目していきたい。
SDGs CONNECT副編集長。SDGsを他人事と思わず、当事者意識を持って考える「きっかけ」となる記事作成を目指しています。大学では「女性が生理休暇を取得しやすい環境を作る」をテーマに研究。