【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈】
京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)は都心から羽田空港・横浜・三浦・三崎口を繋ぐ路線を運営している鉄道会社です。
交通事業以外にも不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業などを行っており、葉山マリーナや京急百貨店もそのうちの一つです。
今回は、鉄道のユーザーだけではなく沿線地域に住む人たちの暮らしも大切にしている京急電鉄のSDGsの取り組みを幅広くご紹介していきます。
▼SDGs CONNECTでは京浜急行電鉄株式会社のインタビュー記事も掲載中!
見出し
京浜急行電鉄株式会社/ 事業
京浜急行電鉄株式会社の概要
京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)の歴史は、明治維新と日清戦争を経て進んだ近代化を背景に創立された「大師電気鉄道」から始まりました。その後は、関東大震災を乗り越えて積極的に沿線の旅客誘致やバス事業を開始しました。戦後1948年には東京急行電鉄から分離独立し、「京浜急行電鉄株式会社」を発足させています。また、戦後には観光開発や自動車・空港輸送、沿線開発など交通機関としての役割を強化させました。1979年には、自動車事業を強化し航空旅客の輸送効率を上げました。そして、1996年には京急百貨店がオープンしました。羽田駅・羽田空港駅の開業を通して、羽田空港への直通も果たし、日本の玄関として大切な役割を担っています。このように、京急電鉄は時代の進化に伴って多様な交通サービスを提供し続けています。
【引用】沿革・歴史 | 企業情報 | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
京急歴史館 | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
設立 | 1948年6月1日 |
資本金 | 437億円 |
従業員数 | 2,911人 |
事業 | 交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、その他事業 |
【引用】会社概要 | 企業情報 | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
京浜急行電鉄株式会社の事業内容
京急の事業領域は、交通・不動産・レジャー/サービス業・流通事業の4つの分野に加えて、建設やビル管理な多岐に渡ります。ここでは、主要領域の4つの事業を紹介します。
交通事業
京急は、都心から川崎・横浜・横須賀線を経て三浦半島に至る本線や空港線・大師線・逗子線・久里浜線の5つの路線を運営しています。5つの路線の運営により、都心への通勤・通学をはじめとするユーザーの移動を支えています。
不動産事業
不動産事業では、販売業と賃貸業の2軸で運営しています。販売業では、京急沿線の宅地造成を行っています。住宅事業ブランド「PRIME」をはじめとする戸建住宅・マンションの建設や販売・住み替え支援・リフォームなどを通して総合的に不動産を運営しています。賃貸業では、商業・オフィス・賃貸ビルの建設や駐車場設置など所有地や遊休地スペースの有効活用を図っています。
レジャー・サービス事業
レジャー・サービス事業では、ホテルなどの宿泊施設やレジャー施設を展開しています。具体的にホテル業では、羽田空港へのアクセス利便性を生かしたビジネスホテル「京急EXホテル」「京急EXイン」を運営しています。レジャー施設では、京急油壺マリンパーク・葉山マリーナなどです。他にも京急沿線を中心として事業を展開しています。
流通事業
京急百貨店をはじめとする百貨店業では、生活に密着した多彩な商品提供を目指して商業施設運営を行っています。運営においては、商品編集・集客企画・地域連携といったノウハウとショッピングセンター業のテナントリーシング力や効率的な店舗運営を融合して、地域の特性や消費環境の変化に対応していくことを大切にしているそうです。
京浜急行電鉄株式会社・京急グループの経営理念
京急グループに経営理念は主に3つあります。
1つ目は、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことです。そして2つ目は、「伝統のもとに、創意あふれる清新な気風をもって、総合力を発揮し、社業の躍進をめざす」こと。3つ目は、「グループの繁栄と全員の幸福との一致を追求する」ことです。
また、京急電鉄はスローガンとして、「あんしんを羽ばたく力に」を挙げています。
「あんしん」は、鉄道を中心とした事業の中で安全を守り、安心を提供していくという想いが込められています。その「あんしん」が未来へ羽ばたく力になるといいます。「羽ばたく」では京急が躍進したきっかけである「羽田」を意識させながら未来への発展の意思を表しているそうです。
【引用】会社概要 | 企業情報 | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
京急グループ総合経営計画について
京浜急行電鉄株式会社のSDGs戦略
京急グループでは、「人に、地域に、未来につなぐ。」のスローガンのもと、5つの事業が取り組むべき重要課題である「マテリアリティ」を抽出し、価値創造と社会へのインパクトの両軸から重要課題を4つの分野に分類しました。
【京急グループのマテリアリティ】
マテリアリティ | 具体的な取り組み | 対応するSDGs |
価値創造型CSR |
|
|
広義のコンプライアンス |
|
|
狭義のコンプライアンス |
|
|
社会貢献/フィランソロピー |
|
【引用】サステナビリティ | 企業情報 | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
京浜急行電鉄株式会社のSDGsの取り組み
京急電鉄のSDGsの具体的な取り組みについて、一部ではありますが社会面と環境面の取り組みを3つご紹介します。
「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を使ったバス
京急グループは、株式会社ユーグレナ社が製造した「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を臨港バスの鶴見駅から横浜市内を走るバスに使用する取り組みを行っています。ユーグレナ社が製造するユーグレナバイオ燃料は、ユーグレナなどの微細藻類と廃食油を原料としています。
この取り組みは、2020年の3月28日から株式会社ユーグレナの「GREEN OIL JAPAN」宣言に賛同し、「バイオ燃料地産地消プロジェクト」の一環として行われています。
バイオ燃料地産地消プロジェクト バイオ燃料の地産地消モデルを構築する、ユーグレナ社と横浜市のプロジェクト。2019年の7月からバイオ燃料の原料である廃食油回収とバイオ燃料の製造、使用の全てを横浜市で行う地産地消モデル。環境・経済・社会課題の統合的解決を図る横浜型「大都市モデル」を創出するため協定を締結。 |
そして、このバスには獅子ヶ谷小学校の小学生が「大人になっても残したい自然」をテーマに描いた絵がラッピングされています。地域に住む人を大切にする京急電鉄の想いが伝わってくる取り組みですね。
廃棄せず沿線地域の活動に役立てる 駅一体化売店の商品をNPO法人へ寄贈
京急電鉄は、京急沿線や神奈川県内の社会課題解決に向けて「かながわSDGsパートナー」に参画しています。特に、SDGs12番目の目標である「つくる責任つかう責任」の目標達成に向け、廃棄物の削減に取り組んでいます。
具体的な取り組みとして、2020年12月21日に駅一体化売店の京急ステーションストアが閉店したことに伴って発生した残存商品を、特定非営利活動法人「セカンドリーグ神奈川」に寄贈しました。「セカンドリーグ神奈川」は残存商品をフードバンクやこども食堂などに無償で分配する活動を実施しています。
駅一体化売店19店舗で販売していた商品をすべて廃棄するのではなく、寄贈することで次に繋げるとともに沿線地域の活性化に役立てることを目的としています。
京急東神奈川駅で傘のシェアリングサービス「アイカサ」の提供
京急線「京急東神奈川駅」のホーム階改札口付近に傘のシェアリングサービス「アイカサ」を導入する取り組みも行っています。「アイカサ」は、株式会社Nature Innovation Groupが提供するサービスです。アイカサアプリをダウンロードし、借りる場所を検索した後に在庫本数を確認、「かりる」をタップし、傘置き場にスマホをタッチする(または、QRコードを読み取る)と使用することができます。
このサービスを導入することで、急な雨や炎天下における移動での快適性を向上することができる上、プラスチックごみの削減にも繋がります。
まとめ
今回は、京急電鉄の事業内容や企業理念、そして幅広く取り組んでいるSDGsの取り組みの中で3つの取り組みをご紹介しました。
特に、SDGsへの取り組みでは「沿線地域に住む人々」を大切に想い未来に繋げていく姿勢が印象的でした。
社会生活のインフラとしての役割だけではなく、地域社会に密着する企業としての取り組みに今後も注目です!