【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈】
第一生命保険株式会社(以下、第一生命)は国民の生活を保証する生命保険事業を展開している保険会社です。生命保険とはわたしたちが安心して安全に日常生活を送るために必要不可欠なものです。
第一生命は、生命保険事業や資産運営事業を行っている子会社やグループ企業が多く、国内最大級の企業規模を誇ります。また、子どもの成長や旅立ちを表現したテレビCMが放送されていることで有名です。
第一生命は持続可能な社会づくりを重要視しています。そのため、SDGsを通してさまざまな企業活動を行っています。
国民の生活に常に寄り添う生命保険会社の強みを活かした第一生命のSDGs戦略とはどのようなものでしょうか。
このページでは、第一生命と第一生命グループの事業内容をはじめ、SDGs戦略や企業活動、外部からの評価まで、幅広く紹介していきます。
見出し
第一生命のビジョン/事業
第一生命は、1902年に第一生命保険相互会社の名前で誕生しました。日本で最初の相互主義による保険会社として設立されました。
1923年の関東大震災や昭和の高度経済成長期、バブル崩壊などの社会の変化に合わせて、さまざまな保険を展開しました。今日では、平均寿命の延長や高齢化に伴い、生涯設計をサポートする保険も多く取り扱っています。
このような、生命保険事業としての基本的な業務である保険の引受け、資産運用、投資信託の他にも機関投資家としての活動なども行っています。
同社は機関投資家としてESG投融資にも大きく力を入れています。数多くの資産運用を行う上で、幅広い資産や証券に分散投資を行っている投資家である「ユニバーサル・オーナー」として、多様なステークホルダーを意識する必要があるからです。
▼ESGについて詳しくはこちら
また、生命保険会社としての社会的役割も踏まえ、地域・社会の課題解決に貢献していくことも使命と考えています。
2020年4月には、持続的な社会の実現に向けたESG投資の更なる推進を目指し、「第一生命のESG投資の基本方針」を策定しています。
ESG投資の推進態勢
設立年 | 1902年9月15日 |
従業員数 | 56,151名 |
資本金 | 600億円 |
事業 | ①生命保険事業②損害保険事業③がん保険事業 |
第一生命の主な事業は、①生命保険事業②損害保険事業③がん保険事業に分けられます。
生命保険事業
生命保険事業では、大きな怪我や病気などのさまざまなリスクを保障するるサービスを展開しています。
幅広い年代や生活様式に対応できるように、それぞれのニーズに合う商品を用意しています。
事業事例:一人ひとりに最適なオーダーメイドな保険
第一生命ではより多くの人に自分らしい生活を送れるように、「ジャスト」という商品を展開しています。
特徴としては、複数の保険を組み合わせてパッケージ契約として加入することができたり、1つの保険だけで加入することもできるという点があげられます。
三大疾病と呼ばれるような、がん・急性心筋梗塞・脳卒中や、その他にも介護・身体障がいなどの6つのリスクに同額で備えることのできる保険でもあります。
第一生命は日本だけでなく、海外事業も展開しており、海外生命保険事業を今後の大きな成長分野であると位置づけています。
第一生命グループの海外生命保険事業の歴史を振り返ると、1980年代にロンドンおよび香港、1990年代にニューヨークに現地法人を開設し、保険事業に関する調査や一部の金融業務を開始しました。
損害保険事業
損害保険事業では、損害保険ジャパン株式会社との包括業務提携によって損害保険商品を提供しています。提供している商品は多岐に渡り、自動車・バイク・自転車・歩行中の保険や火災・地震の保険、海外旅行の保険などがあります。
事業事例:車を手放した方のために。すべての移動リスクに備える保険「UGOKU」
今日では、車を手放す方や、移動方法の多様化により、事故に合うなどのリスクが高まっています。そこで第一生命は「UGOKU」というインターネットで加入できる移動リスクに備えた保険を用意しました。
賠償リスクや怪我の保障に幅広く対応でき、通学通勤などの日常に潜む危険から守ってくれます。
がん保険事業
がん保険事業においては、アフラックとの業務提携により、アフラックのがん保険を提供しています。 がんは日本人の三大疾病にも含まれており、だれにでも起こりうる病気です。
第一生命とアフラックのがん保険は、がんで入院や通院、所定の手術を受けた場合に、安心してがんと闘うために必要な費用に備える保険です。
第一生命の経営理念
ミッション:「一生涯のパートナー」お客さま第一主義
第一生命は、1902年の創業以来お客さま本位(お客さま第一)を経営の基本理念に据えて、生命保険の提供を中心に地域社会への貢献を目指してきました。
“一生涯のパートナー”として、グループ各社全体で人々の安心で豊かな暮らしと地域社会の発展への貢献を掲げています。
ビジョン:安心の先にある幸せへ。
さらに、第一生命はミッションとしている経営理念をより確実なものにするためにビジョンに「安心の先にある幸せへ」を掲げています。
笑顔、夢、希望があふれる毎日と未来のために、生命保険の枠を超えて一人ひとりの「クオリティ オブ ライフ(QOL)」の向上に貢献することを目指しています。
第一生命とSDGs
直接関係するSDGs
第一生命はSDGsの17の目標に寄与した取り組みを行っています。
その中でも第一生命が重要としているSDGsを紹介します。
8.働きがいも経済成長も
「保障」という存在を社会的価値として提供し、保険普及等による生活の安定を重要課題としています。
目標8番についての詳しい記事はこちら
1.貧困をなくそう
現代社会は人生100年時代と言われています。その中でも安心した老後を過ごせるように「お金」の面で価値提供を目指しています。
目標1番についての詳しい記事はこちら
3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる人々に健康を提供することは生命保険の使命でもあります。
第一生命はSDGsと「健康」を紐づけた社会づくりを重要視しています。
目標3番についての詳しい記事はこちら
11.住み続けられるまちづくりを
持続可能な社会であるためには安心で安全に生活できることが必要不可欠です。人と人との「つながり」を大切にしながら地域づくりをすることを目標としています。
目標11番についての詳しい記事はこちら
第一生命のSDGs戦略
第一生命は、2021年3月31日に2021~2023年度の中期経営計画「Re-connect 2023」を発表しました。
この中期経営計画「Re-connect 2023」で目指す方向とは、第一生命が将来にわたって、全ての人々が世代を超えて安心に満ち、豊かで健康な人生を送れる well-being(幸せ)に貢献し続けられる存在であることです。
そのため、事業領域を4つの体験価値(保障・資産形成、承継・健康、医療・つながり・絆)へと拡げることで、より顧客に寄り添ったサービスを展開していくことを目指しています。
また、第一生命が追求する「全ての人々の幸せ」は、持続的社会(サステナビリティ)があってこそ実現するものであると考えています。
この社会的目標を達成するために、持続的社会の実現を事業運営の根幹と位置づけ、地域・社会の持続性確保に関する重要課題に積極的に取り組むことを掲げています。
第一生命のSDGs取り組み
一部ではありますが、第一生命のSDGsの取り組みを紹介します。
取り組み事例:①気候変動への取組み ~TCFDへの対応~
▼対応するSDGs
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
目標13「気候変動に具体的な対策を」
第一生命は、生命保険会社および機関投資家として、気候変動に対して事業のレジリエンスの強化を図ることが環境問題への取り組みとして重要であると考えています。
第一生命グループ全体として、金融市場を含む社会全体のレジリエンス向上を促しています。
第一生命は具体的な事業としての指標・目標を掲げており、グループ全体では、CO2排出量の前年度比1%削減を目標に取り組んでいます。
2019年度の排出量は、約13万8,900t(Scope1:10,800t、Scope2:128,100t)と、対前年約10%削減しました。
CO2排出量について、中長期的な削減目標として2030年度40%削減、2050年度70%削減(ともに2013年度比)を設定しており、2019年度も当目標の達成に向けて着実に進捗しました。
取り組み事例:②LGBTへの理解促進
対応するSDGs
目標8「働きがいも経済成長も」
第一生命はLGBTフレンドリーな企業を⽬指し、LGBTの理解者・⽀援者であるALLYの輪の拡⼤に向けたセミナーや⼈権啓発に重点を置いた研修を継続的に実施しています。
相談窓⼝の設置をはじめとする体制整備を推進し、企業全体での理解促進に取り組んでいます。
▼LGBTについて詳しくはこちら
上記のように、第一生命は持続可能な社会をつくりあげるために、地球環境を守る取り組みを行っており、特に気候変動に対応しています。
地球環境以外にも、人権の尊重などにも目を向けて、「誰ひとり取り残さない」というSDGs目標を多方面から達成しようとしています。
外部からの評価
日本生命は、さまざまなサスティナビリティ関連の表彰を受けています。一部ではありますが、いくつかご紹介します。
①「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において金賞受賞
第一生命は2020年に環境省が主催した「ESGファイナンス・アワードジャパン」において金賞(環境大臣賞)を受賞しました。
気候変動を重点テーマとしたESG投資の積極的な取り組みが評価されました。
気候変動関連情報の体系的な総合評価手法の構築に加えて、ESG金融の発展に関しても同様に評価を受けています。
②「FTSE Blossom Japan Index」に4年連続選定
第一生命は、「環境、社会、ガバナンス」のESG投資について優れた対応を行っている日本企業を選定する「FTSE Blossom Japan Index」にも4年連続で選定されています。
まとめ
生命保険とは人生を支えるものであり、SDGsのテーマでもある「誰ひとり取り残さない社会」と密接に結びついた事業でもあります。
社会全体として、一人ひとりの生活を豊かにするために考えることが重要な課題になっています。
「一生涯のパートナー」として第一生命がどのような未来を見せてくれるのか期待が高まります。