《SDGs事例集》”じぶんごと”からはじめる。読売新聞社

#SDGs目標10#SDGs目標15#SDGs目標4#ジェンダー#教育#植林#水#障害 2021.07.08

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【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈

読売新聞は世界最大の発行部数を誇っており、140年以上の歴史がある読売新聞を発行している新聞社です。「分かりやすさ」を重視し、徹底した「読者目線」と「現場主義」で伝えている姿勢が評価されています。この姿勢をもとに、「読売KODOMO新聞」や「読売中高生新聞」「Japan News」も発行しています。

近年では、これまで培ってきた取材力やコンテンツ力をデジタルサービスでも発揮。女性の悩みの相談に乗る「OTEKOMACHI(大手小町)」や、紙面で好評を得ていた医療記事などをWeb用に整理したサイト「ヨミドクター」といったデジタルサービスも展開しています。

また、140年以上前の創刊号から現代の言葉で検索できるオンラインデータベースの「ヨミダス歴史館」は国内外の新聞協会から3つの賞を受賞する快挙を収めています。

今回は、読売新聞の事業内容からSDGs実現に向けた取り組みまで幅広くご紹介します。

読売新聞社/ 事業

読売新聞社の概要

読売新聞は1874年(明治7年)、女性や若年層の啓発を目的に創刊されました。世界最大の発行部数を有し、140年以上の歴史を誇ります。

「読売」は江戸時代の「読みながら売る」かわら版に由来しています。1923年の関東大震災や1945年の空襲による2度の本社焼失の困難を乗り越え、明治・大正・昭和・平成・令和の5代の歴史を発信し続けてきました。

充実した報道と明快な主張が最大の特徴で、今までにさまざまのスクープで国民の「知る権利」に応えてきました。また、独自の社説や説得力のある提言報道で社会を動かしてきました。現在では、少子高齢化社会の急激な進展を見据えて医療・社会保障・教育の各分野に取材専門部署を置き、読者の暮らしに寄り添った情報を発信し続けています。

【引用】読売新聞:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」
    読売新聞のDNA | Ism 読売新聞を形成するもの | 読売新聞社 採用サイト

読売新聞東京本社

創刊 1874年(明治7年)11月2日
従業員数 2921人 (2021年4月現在)
資本金 10億円
事業 新聞・デジタルメディアによるニュースコンテンツ・表彰事業・展覧会、舞台、スポーツなどのイベント事業

【引用】基礎データ:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」
    https://info.yomiuri.co.jp/読売新聞会社案内_web.pdf

読売新聞の主な事業

新聞事業

読売新聞は世界一の発行部数を誇る日刊紙であり、充実した報道と明快な主張を行っています。また、国民の「知る権利」に応え続ける日本最大の全国紙として「スクープ」「提言報道」「社説」の3つを軸にして情報発信をしています。

スクープ

読売新聞は、多くのスクープを出すことで社会に問題提起してきました。特に、2014年11月に群馬大病院で腹腔鏡を使った高難度の肝臓切除手術で8人が死亡していたという事実を報道し、2015年度の新聞協会賞を受賞しました。このように、読売新聞の記者は「真実を伝えたい」という想いを持ちながら日々の取材に励んでいます。

日本の進むべき針路を示す提言報道

これまでに安全保障・経済政策・教育・税制・医療などの国の将来像に関わるテーマに対して、多くの提言を行ってきました。現実的で説得力のある提言報道によって、現代に「なぜ」を問い続けてきました。

30年後の検証にも堪える主張 社説

読売新聞の社説では、主張を明確に伝えています。世論に揺らいでしまうのではなく、政治・経済・社会問題といった国内外の重要なニュースに意見を発信することで「30年後の検証にも堪えること」を目指しています。
【引用】https://info.yomiuri.co.jp/読売新聞会社案内_web.pdf

デジタルコンテンツ事業ー新聞とSNS の連携ー

読売新聞は、紙面だけではなくデジタルでも情報発信を行っています。「読売新聞オンライン」に加えて「OTEKOMACHI」や「ヨミドクター」など読者の暮らしに寄り添うデジタルメディアを提供しています。さらに、2017年には読売新聞に掲載された広告がTwitter上でどのくらい拡散されているかを計測することで、広告効果を「見える化」する取り組みも行っています。

OTEKOMACHI(大手小町)

【引用】大手小町

読売新聞の大手小町編集部が働く女性が気になる情報を紹介するコンテンツです。女性の悩みの相談に乗る掲示板「#発言小町」を柱に、働く女性に向けた情報を発信しています。また、OTEKOMACHIでは働く女性とSDGsに関する記事特集も取り上げられています。新聞社の取材力を生かしたインタビューコンテンツなども充実しています。

ヨミドクター

医療・介護・健康情報を提供するサイトも2009年にオープン。紙面で評価の高かった医療記事や調査データをウェブ用に整理し、豊富な医療情報を提供しています。

くらし×防災メディア「防災ニッポン」

「防災ニッポン」は、家庭の防災情報に特化したサイトです。暮らしのなかに災害への備えを位置付けたいという想いのもと、2020年に開設されました。サイト内に掲載されている記事は読売新聞に掲載している企画である「防災ニッポン」と連動しており、防災に役立つ身近な情報を届けています。

「よみバズ」新たな広告のかたち

【引用】よみバズ

読売新聞では新聞とSNS を掛け合わせた新たな広告の形を提供しています。

2017年には読売新聞に掲載された広告のTwitter上での拡散状況を分析し、その広告効果を見える化するサービスの「よみバズ」を開始しました。

2020年度にはこれを進化させ、「よみバズブースト」を開発しました。新聞広告を紹介するツイートを内容に適したターゲットを対象にして配信することで広告を“バズらせたい”という企業のニーズを達成する仕組みです。

「YOMIURI BRAND STUDIO 」

「YOMIURI BRAND STUDIO」では日本のデジタルクレイティブを牽引する複数の企業と読売新聞が連携した企業連合です。両者の連携により、企業や自治体、消費者に対して有効な新聞広告・動画・デジタル広告・オウンドメディアの制作サービスを提供を可能にしています。

【引用】デジタルで広がる新聞の未来 | Ism 読売新聞を形成するもの | 読売新聞社 採用サイト

表彰

読売新聞社は主に文化・スポーツ・国際、教育・青少年、くらし・医療の3つの分野で表彰を行っています。

文化・スポーツ・国際

文化では、1949年に設立された6つの部門から優れた文学作品を選出する「読売文学賞」や1992年に設立された作品・俳優・スタッフなどの年間最優秀賞・優秀賞を決定する「読売演劇大賞」などがあります。

スポーツでは、プロ野球において好成績を収めた先発完投型の選手に「沢村賞」が送られています。また、スポーツ界で最も活躍した人を表彰する「日本スポーツ賞」や障害者アスリートが対象の「日本パラスポーツ賞」も読売新聞社が設立しました。

国際分野では、1994年に「読売国際協力賞」を設立し、国際協力活動に尽力した個人や活動を表彰しています。

教育・青少年

子どもたちの「書く力」を育み、活字離れを食い止める目的で1951年に「全国小・中学校作文コンクール」をスタートさせました。また、1949年からは「高円宮杯全日本中学校英語弁論大会」を開催しています。これは、自分の意見を英語で発信し、その順位を競う国内最大の英語スピーチコンテストです。このように、若い世代が自分の意見を持ち発信していくための取り組みを行っています。

暮らし・医療

「医療功労賞」を設立し、途上国などの環境で献身的に活動を行う人を表彰しています。また、全国的な写真コンテストである「よみうり写真大賞」はニュース、ヒューマン&ファミリー、高校生の3部門から成ります。

イベント

読売新聞では美術展やコンサートをはじめとするイベントの開催を通して、多くの感動を届ける事業も行っています。

展覧会

1994年に国立西洋美術館で開催された「バーンズ・コレクション展」では、約107万人を動員しました。さらに、2014年の「オルセー美術館展」も71万人を動員。これらは、読売新聞が海外の主要美術館から高い信頼を得ているからこそ実現する展示となっています。

音楽・舞台

読売新聞社には、世界で唯一の新聞社が持つオーケストラである読売日本交響楽団というオーケストラがあります。読売日本交響楽団は2015年に欧州ツアーを成功させ、国内外で高い評価を得ています。

スポーツ・趣味

2016年には読売新聞東京本社がオフィシャル新聞パートナーになりました。また、プロ野球の巨人戦の開催や箱根駅伝を開催しスポーツの素晴らしさを発信し続けています。

講演・その他

啓発活動として、「読売国際会議」や「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」「未来貢献プロジェクト」など官民のあらゆる取り組みを支援するフォーラムやシンポジウムを開催しています。

【引用】Untitled

読売新聞社の経営理念

読売新聞には、報道・言論活動の進むべき方向を読者に示すため読売信条を定めています。これは戦後の1946年9月に「真実・公平・友愛」「左右の独裁思想と戦う」の4項目をもとに定められたものです。2000年に53年ぶりに自由主義・人間主義・国際主義を基本理念に掲げ一新しました。

読売信条
読売新聞は、責任ある自由を追求する。
個人の尊厳と基本的人権に基づく人間主義をめざす。
国際主義に立ち、日本と世界の平和、繁栄に貢献する。
真実を追求する公正な報道、勇気と責任ある言論により、読者の信頼にこたえる。

【引用】報道姿勢:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」

読売新聞社のSDGsの取り組み

読売新聞社は2020年6月にSDGsの達成のために「SDGメディア・コンパクト」に参加しました。「SDGメディア・コンパクト」とは、国連が世界の主要な報道機関に対して協力を呼びかけるものです。

SDGメディア・コンパクト

SDGsの達成に向けて全世界の報道機関やメディア企業が協同するメディア連合体。国連と協定を締結し、達成に向けた課題や取り組みを報道する役割を担う。

このページでは本社や読売新聞販売店が貢献しているあらゆるSDGsの取り組みの中から3つをご紹介します。

環境

古紙回収50年 再生紙率70%

新聞を発行するためには多くのパルプが必要になります。森林資源を守りながら原料を安定して確保するために、読売新聞では「読売リサイクルネットワーク」や「クローズド・ループ」といった、リサイクルシステムの構築を図りました。

読売リサイクルネットワーク

1972年に読者の要望に応える形で新聞古紙回収を開始しました。その後、読者の協力のもと読売新聞東京本社と読売新聞販売店、古紙回収業社で組織するネットワークが完成しました。

クローズド・ループ

2020年4月に新たに始まった、東京都内の読者宅から回収した新聞古紙を国内製紙会社に直接販売し、資源を100%国内で循環させる取り組みです。「読売エコシェアリング」とも呼ばれ、今後各地に拡大予定だそうです。

これらの取り組みの結果、読売新聞の用紙に使われている古紙パルプの割合は平均で70%を占めるほどリサイクルが安定しています。

次世代へ 各地に植樹

上記では読売新聞の用紙に使われる原料のうち平均70%も古紙パルプが使われており、リサイクルが安定していると示しましたが、残りの30%は木材パルプに頼ってしまっていることになります。

この課題に取り組むため、読売リサイクルネットワークは、2013年に古紙回収の売り上げの一部を使って植樹活動をする「読売の森」事業を開始しました。

【引用】読売新聞とSDGs:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」

教育

SDGsの目標の中でも、子供たちの読み書き能力を向上させることは重要なターゲットの1つです。そこで、読売新聞では教育分野でも活字の学びを増やす取り組みを行っています。

読売新聞 SDGs教材共創プロジェクト Supported by クボタ

大阪大学の生徒6人と中高生向けSDGs教材「SDGs Today」を制作する取り組みを行っています。この取り組みを通して、若者によるSDGs教育の循環を創り出し、持続可能な未来社会の実現を目指しています。

SDGsの鍵を握る「水」をテーマに制作され、関西圏の中学校・高等学校に2万2000部を配布したそうです。

【引用】読売新聞 SDGs教材共創プロジェクト

活字の学びを向上していく

読売新聞教育ネットワークを中心に「2030 SDGsチャレンジ」と題して、新聞社だからこそできる独自の学校向けプログラムを開催しています。具体的には、新聞活用学習(NIE=Newspaper In Education)について小中高校の先生や司書らが学び合う交流会である「よみうりNIE交流会」などです。

また、2009年4月からは新聞活用教材である「ワークシート通信」を作成し、週に1回配信を希望する全国の教員に無料でメール配信を行う取り組みも行っています。

このようにSDGs目標4 「質の高い教育をみんなに」の実現に向けて、学校・企業・個人に対してさまざまなアプローチをしています。

【引用】読売新聞教育ネットワークとは
読売新聞とSDGs:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」

The Valuable 500

読売新聞では、障害者の社会進出を後押しする「The Valuabe 500」に参加しています。

アイルランドの社会起業家キャロライン・ケイシー氏が2019年1月に開催された提言した、「(障害の有無に関係のない)インクルーシブなビジネスは、インクルーシブな社会を作る」という考えのもとでスタートした世界的な運動。
国連のSDGsとも深く関係していて、障害者が社会やビジネスに潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが事業をインクルーシブにする改革を起こすことを目的にしている。

参加の経緯は、経営理念でも取り上げた「読売信条」の中で「個人の尊厳と基本的人権に基づく人間主義をめざす」を挙げていることにあります。

この指針をもとに、障害を持った方々が生き生きと活躍できる社会の実現に向けて取材・報道にとどまらず、社会貢献や社員の活躍推進も含めた幅広い取り組みを推進していくそうです。

【引用】読売新聞とSDGs:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」

おわりに

世界最大の発行部数を誇っており、140年以上の歴史がある読売新聞だからこそ、幅広い分野でのSDGsに貢献できるのではないかと感じました。

特に、紙面やオンライン上で文字を通して情報を伝えている読売新聞が取り組むSDGsへの教育は、それぞれが”じぶんごと”に考えるきっかけを与えています。

「読者目線」と「現場主義」を大切にしている読売新聞が取り組む、幅広いSDGsへの貢献に今後も期待しています!

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