【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈】
イオン株式会社(以下、イオン)は、スーパーマーケット事業をはじめとした国内外で展開する日本有数の流通グループです。
お客様を理念の中心に掲げるイオンは、豊かな未来のために環境・社会の課題解決に積極的に取り組んでいます。
このページでは、イオンの事業内容からSDGsの戦略や活動まで幅広く紹介していきます。
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イオンの事業
イオンの概要
イオンは、1926年に株式会社となり1989年には「ジャスコグループ」から「イオングループ」に改名し、現在の形となった歴史ある流通グループです。
2020年末時点の出店数は、連結子会社と持分法適用関連会社を合わせて19,288店舗に上り、私たちの生活と深く結びついています。
代表的な店舗は、イオンモール幕張新都心です。延床面積約40.2万平方メートルの広さを誇り、国内最大級の広さを有するショッピングセンターになっています。
また、越谷に位置するイオンレイクタウンは東京ドーム5個分の広さとも言われていて、大規模な店舗をいくつも展開しています。
設立日 | 1926年9月 |
従業員数 | 約58万人(グループ) |
資本金 | 2200億700万円 |
事業 | ・GMS(総合スーパー) ・ヘルス&ウエルネス ・総合金融 ・ディベロッパー ・サービス・専門店 ・国際 |
イオンの主な事業
イオンは多くのグループ事業を抱えており、流通だけでなく幅広い分野で事業を展開しています。
GMS(総合スーパー)事業では、我々の生活にもなじみ深いイオンやイオンスタイルといった衣食住を支える総合商業施設を展開しています。
SM(スーパーマーケット)事業では、ミニストップやマックスバリュなどの地域に密着したスーパーマーケットやディスカウントストア、コンビニエンスストアを全国に幅広く展開しています。
さらに、ヘルス&ウエルネス事業ではウエルシア薬局をはじめとするドラッグストアや調剤薬局を展開しています。
また、銀行やクレジットサービス、住宅ローン、保険といった日々の生活をサポートする総合金融サービスも展開しています。
ディベロッパー事業では、イオンモールなどの大型ショッピングモールを開発・運営し、時代や社会のニーズに合わせたサービスの提供や施設の充実を目指しています。
さらに、さまざまなニーズに応えるための多種多様な専門店や、スーパーマーケット事業を中心としたアジア各国への進出、独自ブランド「トップバリュ」の商品開発といった事業も展開しています。
お客様を中心に見据えるイオンの基本理念
イオンは「お客さま」を原点に事業の繁栄を通じた平和、人間的なつながり、地域社会への貢献を追求し続けることを基本理念としています。
また、「イオン行動規範」が制定されており、常に大きく変動していく時代においてイオンが今後どのような方向へ進んでいくのかが明らかにされています。
「イオン行動規範」ではイオンは地域社会に密着し、発展に貢献する企業として資源の再利用やごみの排出削減など、循環型社会に対応し環境保全に取り組んでいくことが掲げられています。
イオンとSDGs
主に関係するSDGs目標
イオンが取り組む6つの課題
イオンは「AEON SUSTAINABILITY DATA BOOK」にてサステナビリティの取り組みや戦略を公表しています。
イオンは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指しています。
このサステナビリティ基本方針に基づき、イオンは「環境」と「社会」という2つの観点から6つの重点課題を設定しています。
6つの重点課題 | |
環境 | ①脱炭素社会の実現 ②生物多様性の保全 ③資源循環の促進 |
社会 | ④社会の期待に応える商品・店舗づくり ⑤人権を尊重した公正な事業活動の実践 ⑥コミュニティとの協働 |
①脱炭素社会の実現
イオンは脱炭素社会の実現を目指し、「イオン脱炭素ビジョン2050」を独自に策定しています。
さらに、中間目標として2030年までにCO₂排出量の35%削減を目標に掲げています。
具体的には、省エネ化・再エネ化を進めることで店舗・事務所運営におけるCO₂発生源の約9割を占める電力使用量を削減することを目指しています。
2019年には、再生可能エネルギーを100%使用した再エネ×省エネによる環境配慮型店舗「次世代スマートイオン」も誕生しました。
よりよい環境を未来に残すため、2050年に向けてさまざまな脱炭素への取り組みを進めています。
この取り組みはSDGsゴール7番の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、13番の「気候変動に具体的な対策を」に対応しています。
②生物多様性の保全
イオンは豊かな自然の恵みを次世代につないでいくために「イオン持続可能な調達原則」を策定し、より持続可能性の高い調達を推進しています。
特に水産物に関しては、2017年に持続可能な水産物の普及に向けて取り組む機関である「世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)」にアジアの小売業として初めて参画しています。
また、イオンは「お客様を原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念を具現化する活動として植樹活動を行っています。
植樹活動は
・イオン ふるさとの森づくり
・公益財団法人 イオン環境財団による植樹
・イオン 東北復興ふるさとの森づくり
の3つを柱としています。2020年2月末時点で、国内外に合計12,121,780本もの木が植えられ、地域の活性化や世界各国の森林再生に貢献しています。
これらの取り組みはSDGsゴールの14番「海の豊かさを守ろう」、15番「陸の豊かさも守ろう」に対応しています。
③資源循環の促進
イオンは店舗・商品における廃棄物ゼロに向けて、「使い捨てプラスチックを減らす」「森林資源を大切にする」という2つの視点で取り組みを進めています。
特に取り組んでいるのは、環境配慮型商品の拡充、パッケージフィルムの厚み低減、クラフト紙パッケージの採用などの取り組みによるプラスチック削減です。
使い捨て資源の削減のため、2020年4月からレジ袋の無料配布を終了しました。実は、イオンは10年ほど前からレジ袋削減に向けて取り組みを進めてきました。
1991年 「買物袋持参運動」開始
2007年 「イオン」の食品売り場でのレジ袋無料配布中止を開始
2008年 有料レジ袋の収益金の寄付開始
2019年 リサイクル原料を使ったマイバックと買物袋の販売開始
2020年4月現在、2256店舗でレジ袋無料配布を終了しており、レジ袋の削減枚数は約28億6996万枚にのぼります。
また、イオンは食品廃棄物の削減にも力を入れています。
食品廃棄物を発生源単位(売り上げ200万円当たりの発生量)で2020年までに25%、2025年までに50%削減することを目指しています。
全国のパートナーと連携し、地域特性に合わせた「食品資源循環モデル」を構築しているほか、10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブにもアジア唯一の小売企業として参画しています。
これらの取り組みはSDGsゴール12番「つくる責任つかう責任」に対応しています。
④社会の期待に応える商品・店舗づくり
イオンでは、循環型社会を目指し各店舗に紙パック、食品トレー、アルミ缶、ペットボトルの回収ボックスを設置しています。
さらに、地震などの災害時には電力復旧拠点設営用のスペースとして駐車場の貸与や店舗での総合防災訓練やバルーンシェルターの導入を行っており、社会インフラの役割を果たしています。
この取り組みはSDGsゴール9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」、12番「つくる責任つかう責任」に対応しています。
⑤人権を尊重した公正な事業活動の実践
イオンは基本理念である「人間尊重」の経営を実現するために「イオンの人権基本方針」を制定し、人権が尊重される社会の実現を目指しています。
商品の原材料調達から商品化されるまでのサプライチェーン全体に責任を持つため、「イオンサプライヤー取引行動規範」を制定し、国内外の生産・製造拠点の環境改善に努めています。
さらに、人事の基本理念に「国籍、年齢、性別、従業員区分を廃し、能力と成果に貫かれた人事」を掲げており、”ダイ満足”をキーワードにダイバーシティを推進しています。
この取り組みはSDGsゴール5番「ジェンダー平等を実現しよう」、8番「働きがいも経済成長も」、10番「人や国の不平等をなくそう」に対応しています。
⑥コミュニティとの協働
イオンは地域に密着した活動を通して豊かな地域社会の実現を目指しています。
「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」や「ご当地WAON」発行による寄付を通した地域貢献を行っています。
また、子供たちに体験学習の場を提供する「イオン チアーズクラブ」で、子供たちと「環境」に関する活動に取り組むなど、次世代を担う人材育成にも取り組んでいます。
さらに、「グリーン&グリーン活動」を通して店舗周辺の街並みの美化にも取り組んでいます。
これらの活動はSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に対応しています。
まとめ
イオンは国内に留まらず、海外にも展開している大規模な組織力を活かし、様々な観点から課題解決に取り組んでいることがわかりました。
多くの従業員を抱え、人々の生活や環境に大きな影響力を持っているからこそ、広い視野で課題に取り組んでいく責任感が感じられました。
ここでは紹介しきれなかった活動も多くあるので、ぜひ、イオンが公式に発表している環境・社会報告書などサステナビリティに関わる情報をチェックしてみてくださいね。