《必見》北九州のSDGsの取り組み|SDGsモデル都市の取り組みを徹底解説

#SDGs未来都市#持続可能#環境 2021.07.29

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

近年、SDGsの認知度も向上し、世界各地でSDGsに対する取り組みが広がっています。そんな中、日本政府から「SDGs未来都市」として選定されたり、OECD(経済協力開発機構)によりアジア地域で初めて「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選ばれたりと、頭角を表しているのが北九州市です。

北九州市は、SDGs達成に向けて一体どのように取り組んでいるのしょうか。具体的な取り組みを知らない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、福岡県北九州市のSDGsに対する取り組みを紹介します。

北九州とSDGsの関係性

それでは、本題である北九州市とSDGsについて解説・紹介していきます。

【引用】住みやすいから、住みたい街【北九州市】 | イエモア

SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業に選定

北九州市は福岡県にある政令指定都市です。北九州市は、持続可能なまちづくりのために、地方創生にSDGsを取り込んだ「地方創生SDGs」に早くから取り組んできました。そうした北九州市の取り組みは国内外で高い評価を受けています。

まず2017年には外務省が主催する「ジャパンSDGsアワード」で、応募した280団体以上の中から特別賞を受賞しました。その翌年にはアジア地域で初めて、OECDにより「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定されています。

さらに2018年6月には、国より「SDGs未来都市」と「自治体SDG sモデル事業」に選定されました。

SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業とは

SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業についてみなさんはご存知ですか?

SDGs未来都市とは、持続可能なまちづくりのためにSDGsに対して積極的に取り組んでいる都市のことで、内閣府創生推進室が2018年より毎年30件程度選定しています。

この取り組みの背景には地方創生の実現があり、選定された都市が模範となりほかの都市とも切磋琢磨しながら、より多くの都市でSDGs推進を目指すということが目的の1つにあります。

また、自治体SDGsモデル事業には、SDGs未来都市の中でもより評価の高い都市の取り組みが選定されます。SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定された都市には国からの支援が出るため、選ばれた都市はより先進的な事業を展開することができます。

SDGs CONNECTではSDGs未来都市について徹底解説した記事を公開しています。

▼SDGs未来都市について詳しくはこちら

北九州市がSDGs未来都市に選ばれた理由

では、北九州市はなぜSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選定されるなど、評価されているのでしょうか。理由を2つ紹介します。

1. 高度経済成長期の公害問題
まず1つ目の理由として挙げられるのが、北九州市の公害問題です。

北九州市は、日本の四大工業地帯の1つとして高度経済成長期をリードしていました。その一方で、当時「ばい煙の空」と呼ばれた国内最悪の公害問題が発生していました。ひどい時には、市民から家の中がざらつくなどといった苦情を受けたこともあるそうです。この問題に対して真っ先に声を上げたのは地域住民であったといい、住民と市が一丸となってこの公害問題を解決しました。

【引用】北九州市HP

このような歴史もあり、北九州市全体の環境問題に対する意識は非常に高く、SDGsへの取り組みもスムーズに行われたのです。

2. 独自の「北九州市SDGs未来都市計画」
北九州市は、SDGs未来都市へと発展していくために2030年までに達すべき独自の目標である、「北九州市SDGs未来都市計画」を策定しました。

SDGsに沿って、環境問題以外の要素も取り込んだ独自の目標設定をするという熱心さも、選定された理由の1つと言えるでしょう。

北九州市のSDGs戦略

では北九州市はどのようにSDGsに対して取り組んでいるのでしょうか。そこで参考にしたいのが、北九州市がSDGs未来都市に選ばれた理由の1つとしても紹介した、「北九州市SDGS未来都市計画」です。

「北九州市SDGS未来都市計画」に記載されている北九州市のSDGs戦略のスローガンは下記のようになっています。

「真の豊かさ」に溢れ、世界に貢献し、信頼される「グリーン成長都市」

日本だけではなく世界に貢献するという北九州市の熱い思いが伝わってきますね。

そして、より具体的なビジョンが図によって示されています。

【引用】北九州市HP

北九州市は「北九州市SDGS未来都市計画」をSDGsを推進していく上での指標としており、これに沿って優先的に解決すべき課題と目標を掲げています。優先すべき目標と2030年までに達成したい目標は以下の通りです。

【経済】

目標 2018年時点の現状 2030年の目標
市内の従業者1人あたりのGDP 約800万 約930万
再生可能エネルギー導入量 約28万 約70万
就業率 52.8% 56.7%

【社会】

目標 2018年時点の現状 2030年の目標
北九州市の附属機関等の女性委員の参画率 平均で50% 全ての機関で50%
市民の健康寿命 男性72歳 女性74歳 男性74歳 女性76歳

【環境】

目標 2018年時点の現状 2030年の目標
家庭ゴミ量 約16万4千t 約15万9千t
アジアの環境人材育成のための研修員受入数 約9千人 1万人

北九州市の代表的な取り組み事例

ここからは北九州市のSDGsに対する具体的な取り組みを紹介します。

魚町銀天街SDGsプロジェクト

魚町銀天街とは、日本最古のアーケード街として知られている商店街です。この商店街は、2018年にSDGsを推進すると宣言し、積極的にSDGsに取り組んできました。

商店街の店主らが企画し、講師となってその店の専門知識などを教え、街を勉強の場に変えようとする「うおゼミ」や、SDGsに関するアートフェスタや講演会など、SDGsに関するさまざまな取り組みを商店街全体で行なっています。

その結果、SDGs達成に向け優れた取り組みを行なっている企業や団体が表彰される、第3回「ジャパンSDGsアワード」の最高賞、「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」に選定されました。商店街がSDGsに取り組む特異性もありますが、実績を積み上げてきたことがこの受賞に至った理由です。

ウーマンワークカフェ北九州

ウーマンワークカフェ北九州は、女性のキャリアを支援する施設です。

具体的には、女性の「就職支援」「子育てとの両立支援」「創業支援」「キャリアアップ支援」の4つを中心に女性のはたらくを総合的にサポートしています。

定期的にセミナーなどを開いており、2016年から2019年までの4年間で、利用者数は1万3千人を超え、就職決定者数は3500人以上となっています。

北九州SDGsクラブ

北九州SDGsクラブとは、SDGsに積極的に取り組んでいる、またはSDGsに興味関心がある企業が集まるクラブで、企業同士の交流・マッチングを促進し、SDGsへの取り組みを活性化させていく目的で創設されました。

交流会や勉強会、セミナーなどの活動を行っており、会員になると事業内容のPRもできます。

2020年に行われた交流会では、SDGsに積極的に取り組んでいる企業の事例が共有され、企業の現在の活動がどのようにSDGsと関わってくるのかを再考するなどの取り組みが行われました。

このような北九州市の取り組みは全国でも初の試みだそうです。

まとめ

今回は注目されている北九州市のSDGsについて紹介しました。

深刻な公害問題を乗り越えた北九州市が、その経験を生かして国内でも先陣を切ってSDGsに取り組んでいます。

今後、SDGsの取り組みを通して、北九州市がどのような街に変化していくのか、とても楽しみです。

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