《コラム》国連とSDGs|採択の経緯から国連の役割まで

#国連#平和#情報#持続可能 2021.07.27

この記事をSNSでシェア!

【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

SDGs2015年に国連(国際連合)で採択された、世界全体の将来をより良いものにするための17の目標です。最近では、メディアや街中でも見かけることが多くなりました。

SDGsに関連する企業や自治体の取り組みがニュースで取り上げらることはありますが、国連自体の役割や、具体的な取り組みについて知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、SDGsが採択された経緯とSDGs達成に向けた国連の具体的な取り組みを紹介します。

国連とSDGs

国連とは

【引用】SDGsが採択された際の国連本部の様子

国連は正式名称を国際連合といい、第二次世界大戦を防ぐことができなかった国際連盟の反省を踏まえて1945年に設立されました。

国連は安全保障理事会をはじめとする6つの主要機関と、WHOやUNESCOなどを含む15の専門機関、そしてその他多くの関連機関によって成り立っており、2021年4月時点では日本を含めた193カ国が加盟しています。

国連には以下の4つの目的があります。

①全世界の平和を守ること
②各国間の友好関係を発展させること
③貧しい人々の生活を向上させ、飢えと病気と非識字を克服し、互いの権利と自由の尊重を促進するために共同で努力すること
④各国がこれらの目的を達成できるように助けるために中心的役割を果たすこと

各種機関では上記の4つの目的に沿った行動が行われています。

SDGsが国連によって定められた背景

ではなぜ今SDGsが採択され、注目を集めているのでしょうか。
SDGsが採択された背景には、SDGsの全身となるMDGsの存在があります。

MDGs(Millennium Development Goals)とは、2000年に国連ミレニアム・サミットで策定された、8つの目標と21のターゲットからなる2015年までに世界が達成すべき目標を掲げたものです。

当時、グローバル化の動きが各地で盛んになっていましたが、その一方で、グローバル化の波に乗れない発展途上国と先進国との間の格差も生まれていました。

この格差を埋め、貧困をなくすことを目的としていたこのMDGsですが、2015年に発表された「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」では、多くの分野で目標が達成されたことが報告されました。

主な成果としては、
・10億人以上が極度の貧困を脱した。
・子どもの死亡率は半分以下に減少した。
・学校に通えない子どもの数は半分以下に減少した。
・HIV/エイズ感染件数は40%近く減少した。
などが挙げられます。

しかし、現代の世界では、いまだに無くならない貧困格差や、紛争、そして気候変動や感染症などこれまでにないほど数多くの課題が顕在化してきました。

このような状況の中15年間にわたるMDGsの成果を踏まえて、グローバルな取り組みの重要性が再認識され、2012年にリオデジャネイロで開催された「国連による持続可能な開発会議(リオ+20)」から、ポストMDGsであるSDGsに関連する議論が始まりました。

そして、2015年9月に「誰一人として置き去りにしない」の実現を目指し、17の目標と169のターゲットからなるSDGsが採択されました。

SDGsの内容について詳しく知りたい方はこちら▼

「行動の10年」|SDGsの現状とこれから

SDGsに関する取り組みは世界各地で進展していますが、今のままの取り組みだけでは、2030年までに掲げた目標を達成するのは難しいのが現状です。

そこで国連は、2020年から2030年の間を「行動の10年」と位置付けこれまで以上に多くの市民社会、企業を動員し、地球上の全員が自分ごととして一丸となって行動していこうと呼びかけ、以下の3つの実現を目指すことが重要だとしています。

・あらゆる場所の全ての人が参加すること
・即効性のある大胆な行動を起こすこと
・新たな発想と解決策を促進させること

行動の10年で成果を出すためには、SDGsの認知度を更に向上させていく必要があります。そこで国連は、ブランディングのためにも新しいロゴを作成しました。

17の目標の各カラーが施されたSDGsカラーホイールの右に、英語で「行動の10年」と表記されています。従来のロゴよりもよりシンプルでスタイリッシュになっている印象です。

SDGsのロゴの使用に当たってはいくつかのルールがあります。

SDGsのロゴについて詳しくはこちら▼

国連の SDGsに関する具体的な取り組み

「行動の10年」にもあるように、SDGsは自分には関係ないと思わず、個人単位でできることを実践していくことが重要です。

国連が行なっている取り組みの中には、SDGsに関心を持ち親しむためのツールや、個人としてSDGsの目標達成に関われるものもあります。

それらの取り組みを実際に見ていきましょう。

SDGsメディア・コンパクト

「SDGsメディア・コンパクト」はSDGsの認知度を上げるために発足された協力推進の枠組みです。

SDGsを達成するためには、国連の力だけでは不十分であり、SDGsを世界に広く認知してもらい、世界市民一人ひとりの協力を得ることが必要です。

「SDGsメディア・コンパクト」は、各社会に対して影響力があるメディアに働きかけてもらい、SDGsの認知度を向上することを目的としています。

SDGsメディア・コンパクトの創立メンバーには朝日新聞や日本テレビ、日刊工業新聞も含まれており、現在では世界各国の100社を超えるメディアが署名しています。

国連は、この「SDGsメディア・コンパクト」でSDGsに関する取り組みや解決策などを発信することを呼びかけており、各国のメディアはSDGsの認知向上と目標達成に向けての原動力の後ろ盾となることが期待されています。

日本で参加している企業の一覧はこちら▼
SDGメディア・コンパクト 参加企業(アルファベット順)

国連SDGアクションキャンペーン

【引用】SDGグローバル・フェスティバル・オブ・アクション from JAPAN

「国連SDGアクションキャンペーン」とは、国連開発計画(UNDP)が運営しているSDGsを普及・推進することを目的としたキャンペーンのことです。

「私たち一人ひとりが行動を計画・実行し、進捗を確認することでのみSDGsを達成できる」との考えに基づいたさまざまなイベントを展開しています。

イベントの一例として、「SDGグローバル・フェスティバル・オブ・アクションfrom JAPAN」が開催されました。

これは、国連の関連機関や世界各国の著名人、さらにはお笑い芸人などが集まり、さまざまなアプローチでSDGsの認知度向上や目標達成を応援する祭典で、ローカル版としては日本が初めての国となりました。

こちらは参加無料でオンラインで開催され、当日参加できなかった人のためにも国連公式のYouTubeでアーカイブが公開されています。

興味のある方は試聴してみてはいかがでしょうか。

SDGグローバル・フェスティバル・オブ・アクションfrom JAPANの視聴URLはこちら▼
Japan Stage – SDG Global Festival of Action 2021: A Turning Point For People and Planet (25 March)

MY WORLD 2030

MY WORLD 2030とは、国連が作成したSDGs達成に向けたグローバルなアンケート調査です。

世界各国のより多くの人々の声を聞き、SDGsの認知度や達成までの進捗状況を把握するために役立てられています。

アンケートなので誰でも参加することができ、自身に関する質問(年齢・性別・国・市町村・学歴・障害の有無)の他に答える項目は3つのみなので、回答自体にそれほど時間はかかりません。

下記のURLから回答できるので、ぜひ回答してみてください。アンケートは2030年まで受け付けています。

回答URLはこちら▼
MYWorld 2030: TAKE THE SURVEY

すごろくでSDGsを学ぼう

【引用】持続可能な開発のための2030アジェンダ

国連広報センターは、自宅で楽しみながらSDGsを学べるSDGsすごろく「ゴー・ゴールズ」を作成しています。

ブリュッセルの国連地域広報センター(UNRIC)が作成した「Go Goals」の日本語版で、8歳〜10歳の子供たちを対象としているので、ご家族で遊んでみるのもいいかもしれません。

こちらも国連広報センターの公式サイトからダウンロードすることができます。

▼ダウンロードはこちらから
ゴー・ゴールズ!すごろくでSDGsを学ぼう(国連広報センター)

▼SDGsを学べるゲームについて詳しくはこちら

SDGsバッジ

【引用】MERCH-2020-SET OF 10 SDG PINS | Shop.un.org : Official Source for United Nations Books and More

国連はSDGsの認知度をあげたり、パートナーシップを強化していくために、SDGsのロゴをあしらったバッチを販売しています。

最近では日本でもカラフルなバッチをつけているサラリーマンを目にすることがありますが、これには、その企業がSDGsに関する取り組みを行なっていることをアピールすることで、企業自体への関心を高めることと、SDGs認知拡大をすることなどの効果が期待されています。

SDGsバッチについて詳しくはこちら▼

最後に

いかがでしたでしょうか。
国連が行なっている取り組みについてどの程度知っていましたか?
国連の取り組みは様々ですが、私たち一人ひとりがSDGsについて理解し行動していくことを促すものが多いです。

ぜひみなさんも、SDGs達成のために一歩踏み出してみてはいかかでしょうか。

この記事をSNSでシェア!

  • ダミータイトル

  • ランキング

    サイボウズ、日経新聞に”お詫び”広告を掲載|自社と社会における多様性に問題提起

    《必見》SDGsと建築|実際の事例を建築ガイドに沿ってわかりやすく紹介

    《徹底解説》「SDGsは胡散臭い」と言われる理由|原因から解決法まで徹底解説

    新着記事

    これからPRの鍵はひとりよがりにならないこと|サニーサイドアップがPRを超えて取り組むソーシャルグッド

    SDGsの基礎知識

    《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説

    もっとみる

    おすすめ

    《徹底解説》「SDGsは胡散臭い」と言われる理由|原因から解決法まで徹底解説