《徹底解説》SDGsをビジネスに取り入れる重要性|メリットから課題まで

#SDGsウォッシュ#SDGs目標17 2021.03.10

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【更新日:2021年9月17日 by 森あゆみ

次第にSDGsというワードが世間に浸透し、認知されるようになってきました。

SDGsの達成ラインである2030年に向けて、持続可能な社会の構築スピードはさらに加速していくことでしょう。

しかし日本ではSDGsを掲げたビジネスを導入の高い弊害や社会貢献の延長と認識している企業が未だ多く残っています。

こういった課題を乗り越え、さらにビジネスチャンスに変えるために、この記事ではSDGsとビジネスをテーマに事例などを交えて紹介していきます。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

SDGs×ビジネスの重要性|ビジネスに求められるSDGs視点

「SDGsをビジネスに導入する」という風潮が現在、強まってきています。

2015年9月のSDGsの採択から約5年が経過し、企業、NPO、行政などが協力を重ねた結果、少しずつSDGsが社会に浸透してきました。特に2021年になってからは多くのメディアがSDGsビジネスを取り上げるようになりました。

しかし2020年に発表された「Sustainable Development Report 2020(持続可能な開発レ ポート)」によると日本のSDGs達成度は世界ランキング17位という結果になっています。上位にランキングしているものの、年々順位が落ちているため対策が求められています。

SDGsで掲げられた社会課題は多くの企業にとって、将来のビジネス上のリスクに成り得ます。ビジネスを長期間に渡って継続的に成長させていくためには、ビジネスにSDGs視点を取り込み、社会課題を解決しながら収益を確保していく必要があります。

世界最大の消費財メーカーのユニリーバはSDGs×ビジネスを以下のように捉えています。

「今を社会をよりよく変えながらビジネスを成長させることのできる最大のチャンスであり、これを逃せばビジネスを取り巻く環境の不確実性は高まり、コストが大きくなるだろう」

このようにビジネスにSDGsの視点を的確に取り入れることは長期的に見据えると大切なことです。

また、環境省によるとSDGsは最大で年間12兆ドル(日本円換算約1200兆円)の市場をつくり、2030年までに最大3億8,000万人の新規雇用を生み出すと試算されています。

新規事業だけでなく既存事業も含めて、SDGs的な視点を積極的に取り入れながら収支を拡大しつつ社会問題も解決する両立が求められます。

SDGsとビジネスの関係性

私たちの社会では仕事の対価としてお金をもらい、お金を通じて生活し、その売上が企業の収益になるように、お金を軸として経済が循環しています。

SDGsの17のゴールをより確実に達成していくためには、こういった資金を軸とする経済の仕組みにSDGsを組み込んでいく必要があります。

特にヨーロッパをはじめ世界中で、ESG投資の注目が高まり、短期的な収益追求よりも持続可能な企業経営が支持されています。日本国内では、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資判断にESGを取り入れており、国内でもESG投資が急速に広まっています。

ESG投資では、「環境(Environment)」「社会(Society)」「統治(Governance)」の視点で企業が評価され、企業がより一層SDGsに取り組みやすくなってきています。

このような経緯から、投資家の中でもSDGsへの注目が高まっています。SDGsへの取り組み具合は会社の長期的な成長の判断材料として捉えられます。

加えてパッシブ投資の比率が高まっており、企業を持続的に成長させなければ投資家は儲からないような仕組みになってきています。そのため投資家は企業に対して長期軸での事業目的を明確にし、持続的に成長することを求めてきます。

この動きは日本国内でも徐々に拡大しつつあり、企業のSDGsビジネスは投資家に向けてのアピールになり得ます。

企業理念とSDGsの関係性

多くの企業では、企業理念が掲げられ、目指す社会や解決したい課題が従来から掲げられています。SDGsは全く新しい取り組みではなく、既存事業の社会的価値を見つめ直し、その価値を最大化させるきっかけと言えます。

歴史の深い企業や大企業などを中心に日本企業は「三方よし」という考えを経営理念に掲げていることが多いとされています。「三方よし」とは、商売において売り手と買い手が満足することは当然であり、社会貢献もできるビジネスを行うことが立派な会社の象徴だという考えです。

この精神はSDGsにもつながる根本的な思想といえます。

また、ベンチャー企業は、起業段階から明確なビジョンや解決したい社会課題を掲げることが多く、SDGs視点を既に取り入れていると考えることができます。

このようにSDGsは企業理念と近い存在であり、新しいSDGsの取り組みを考える前に企業理念に立ち返ってみることも重要です。

SDGsに取り組むメリット

SDGsに取り組む上でどのようなメリットがあるのか、SDGsに取り組まなかった場合にどのようななリスクがあるのかを理解することが重要です。

SDGsに取り組まなかった場合には以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 企業の評判が下がる
  • 規制が強化された際に抵触してしまう
  • 消費者が商品を購入しなくなる

以前はESG、CSRやサステナビリティに関する取り組みを先んじて行うことによりプラス評価がされており、取り組まなくともマイナスの影響は限定的でした。

しかし現在はSDGsの注目が高まり、サステナビリティに取り組む企業が増加し、取り組まないことがリスクになるように変化してきました。

SDGsに取り組むことによって以下のメリットが得られます。

  • SDGsを挑むべき事業成長の機会として捉えることができる
  • 企業が将来のマーケットを探す上で魅力的なツールとして捉えることができる
  • 新技術や新たなビジネスモデルの創出機会になる

これからはSDGsをコスト、足かせではなく企業にとっての成長機会として捉えることが重要になってきます。SDGsに真摯に向き合いビジネスに取り組むことで、長期的に大きな恩恵が返ってくるでしょう。

SDGsビジネスの成功要因

ビジネスにSDGsの視点を取り入れても、収益性が低ければ事業を継続できず経営状態が悪化してしまいます。

SDGsを絡めながら事業を開拓し、収益も拡大と両立できるようになるにはどのような工夫が必要でしょうか。

SDGsビジネスの成功要因に注目し、成功した事例の共通点を取り上げてみました。

従業員と経営のベクトル一致

従業員一人ひとりが業務内容とSDGsの17の目標がどのように繋がっているか、会社のSDGs方針と照らし合わせながら把握することが重要です。

SDGsは社内の誰か1人の行動ではなく、企業内全体の協力が求められます。

たとえSDGsを掲げた経営を行っていたとしても経営陣のみが認識しており、従業員は把握していないすれ違いの状況だと会社の一体感は小さくなり、結果として会社が達成できるSDGsの取り組みは少なくなってしまいます。

社内でのすれ違いを防ぐためには統合報告書などの事例があります。

統合報告書では企業の今後の価値創造についての方針と戦略が記載されています。。一般的に統合報告書は社外のステークホルダー向けに制作されますが、社内でも広く閲覧してもらうことで、自社の取り組みがどのような社会的価値につながっているのかの理解につながります。

産学官連携や他分野連携

SDGs視点をビジネスに取り入れる新しい価値を生み出していく上で、大学や行政との連携(産学官連携)や他分野との連携が重要です。

特に近年は産学官連携の事例が増えています。理由として企業にはない知見を持っている大学や研究機関と連携して、新たな事業を開発するイノベーションの可能性が再認識されているからです。

社外と連携していく上で、双方のメリットを共有し、波長を合わせていくことが大切です。せっかくの連携も利害関係が上手くいかないと台無しになってしまいます。

その際、SDGsは利害関係の一致を図るうえで便利な指標になります。

SDGsで掲げられた課題を連携先と共通の課題にするなどして、双方でゴールを確認し合うことで、社外とスムーズに連携できます。

SDGsを掲げたビジネスの課題

SDGsを掲げたビジネスに挑戦していると多くの課題も浮かび上がります。

ビジネスを始める前にどのような課題があるのかを把握し対策することはスムーズな事業拡大につながります。

また同じような課題を抱える同業者と助け合いから事業提携などに発展することもあるため、課題を抱え込まずに共有することも大切です。

そこでどのような課題があるのか紹介していきます。

SDGs ウォッシュ

SDGsに取り組んでいるように見てて、実態が伴わず、課題解決に貢献していないビジネスを揶揄する言葉として「SDGs ウォッシュ」という言葉も多く聞かれるようになりました。

環境保全の活動をしていながら自社の従業員に低賃金で労働を強いているなど、アピールのためだけにSDGsに取り組むケースなども問題になっています。

SDGsの達成に向けてビジネスに取り組む場合、事業領域以外でもSDGsを意識するほか、社内の環境整備などを行ったり、バランス良く課題を解決できるように調整していくことが重要です。

事業拡大の困難

SDGsをテーマに掲げたビジネスでは、社会課題の解決に重きが置かれすぎて、事業として拡大していかないケースも散見されます。

ビジネスを通してSDGsに取り組み収益をあげることで、SDGsの取り組みを自発的に拡大できるため、事業拡大の上で収益をあげることがとても重要です。

社会課題に重きを置きつつも、ビジネスモデルの設計などにも注力し、バランスの良い事業を設計していくことが求められています。

経営者に必要とされるスキル

SDGsを掲げたビジネスだからこそ、求められる経営者のスキルも出てくるようになりました。

企業内で誕生したSDGsに沿った優れたアイデアも経営次第では台無しにしてしまう可能性があります。

故に経営陣はどれほど実現性のあるアイデアなのか、挑戦する価値があるのかを判断する能力やアイデアを事業へと発展させる力量が必要になります。

詳しくどのような能力が必要なのか以下行動指針をまとめています。

  1.  変化を見定め、変革のビジョンを発信し、断行する。
  2.  効率性と創造性、2階建ての経営を実現する。
  3.  価値起点で事業を創る仕組みを構築する。
  4.  社員が存分に試行錯誤できる環境を整備する。
  5.  組織内外の壁を越えた協働を推進する。

事業の強化及び長期的な兆しがあるのか、収益化がどれほど見込めるのか経営陣に求められる重要な役割です。

国際標準を評価として使用する必要性

SDGsを掲げたビジネスで経営する場合、積極的に国際基準を使用することがおすすめです。

国際基準がある場合、その標準をクリアすることで商品やサービス提供先を世界中に拡大出来ます。

例えば ASC認証が挙げられます。

ASC認証とは養殖水産物が持続可能で環境や社会的責任に配慮して生産されたことを認証する制度で、WWF(世界自然保護基金)とIDH(オランダの持続可能な貿易を推進する団体)が支援した水産養殖管理協議会が作っています。

このように既存の評価基準をもとに事業の基準を評価することができます。もし、国際基準が無い場合は評価基準を作り、行動を始める必要があります。自社の製品・サービスが持続可能であると主張しても確証がなく信頼を得ることはできません。

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