【更新日:2021年5月17日 by 佐野 太一】
引用:環境省「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」
環境省は5月13日、「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」を公表した。
日本政府は2019年6月に開催されたG20大阪サミットで、2050年までに海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案している。
マイクロプラスチックを削減する技術は、世界的にも確立していないものが多い。環境省は、マイクロプラスチックの発生抑制や流出抑制、回収に資する技術・ノウハウを国内や国外に普及していくべく、日本企業による12の取り組みをグッド・プラクティス集として取りまとめた。
1.繊維くず流出抑制効果を高めた洗濯ネット(アダストリア) 一般的な洗濯ネットの網目が0.7mm程度であるのに対し、0.05mmの網目でより微細な繊維くずをキャッチすることができる仕様にした洗濯ネットを開発。 2.セルロースによる化粧品用代替素材開発(ダイセル) 3.バラスト水処理装置を使用したマイクロプラスチックの回収(JFEエンジニアリング) 4.船外機のマイクロプラスチック回収装置(スズキ) |
5.人口たんぱく質繊維の実用化開発(Spiber) 主な原材料を化⽯資源に依存せずに⽣分解性も⾼く、アミノ酸の割合や並び⽅をコントロールすることでさまざまな性質を付与できる⼈⼯タンパク質繊維の実⽤化開発を進めている。バイオプラスチックの一種として世界の注目を集めている。6.人工芝の流出抑制実証実験(住友ゴム工業) ⼈⼯芝レイアウト(バリア&メンテゾーン設置)、防球フェンスへのバリア(メッシュネット・不織布)設置、排⽔溝内へのバリア(専⽤⾦物・フィルター)設置などの対策を⾏い、経年使⽤によりゴムチップや破断した⼈⼯芝が場外に流出するのを防ぐ実証実験を実施。 7.繊維くずを抑制する機能性衣料用繊維構造体(帝⼈フロンティア) 8.繊維くず測定試験方法の国際標準化(日本化学繊維協会) |
9.被覆肥料殻を圃場外へ流出させない対策(日本肥糧アンモニア協会) 水田や畑で使用されている被覆肥料には、プラスチックを含む殻が流出する可能性が指摘されている。同協会は、殻を流出させないよう注意表⽰を肥料の袋に記載することを各社に呼びかけ、流出を抑制する使⽤⽅法を周知している。10.樹脂ペレット等の流出抑制活動(日本プラスチック工業連盟) 1992年から産官及びNGO(JEAN)との連携により樹脂ペレットの漏出調査を開始し、「樹脂ペレット漏出防⽌マニュアル」の作成・配布やアンケートの実施で、業界に対する漏出防⽌の啓蒙活動を推進している。 11.海洋生分解性プラスチックによる水耕栽培用培地の開発(プランツラボラトリー) 12.セルロースによるマイクロプラスチックビーズの代替(レンゴー) |
SDGsでは、ゴール12「つくる責任 つかう責任」として天然資源の持続可能な管理および効率的な利用が重視されている。既存素材と同様の効果を発揮できる代替素材が普及すれば、製造企業が大きなコストをかけた業態転換を迫られることもなくなる。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。