【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈】
株式会社丸井グループ(以下、丸井)はファッションビル丸井を運営する持株会社です。
創業から90年経過しており、小売・金融一体の独自ビジネスモデルを展開しています。
「OIOI」のロゴマークとともに愛されている丸井の名称は、創業者の言葉「信用はお客さまと共につくるもの」に由来します。「信用の共創」で社会が変化させるべく、さまざまな事業の改善と工夫を行ってきました。
丸井のサスティナブル活動は投資家に高く評価され、2020年には「共創経営 レポート 2019(英語版)」が、ゴールド賞を受賞し、日本の統合報告書として最高の評価を受けました。また、 同年にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する、日本株の3つの ESG 指数『FTSE Blossom Japan Index』『MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数』『MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)』 すべてに4年連続で選定されました。
このページでは、丸井の事業内容からサスティナブル戦略や活動まで幅広く取り上げていきます。
丸井のビジョン / 事業
丸井の概要
丸井は、関東を中心に、東海、関西、九州に23店舗を展開しています。
設立日 | 1937年3月30日 |
従業員数 | 5,130名(グループ合計 臨時社員は含まない) |
売上収益
※2020年3月期 |
2,475億82百万円 |
事業 | ①小売事業
②フィンテック事業をおこなうグループ会社の経営計画・管理 |
※2020年7月1日時点
丸井の主な事業
メインの事業は、小売事業とフィンテック事業の2つです。
①小売事業
丸井は、「商品を仕入れて販売する」仕入れ型の店舗から、「スペースを貸す」不動産型のSC展開を行っています。そして、収益構造も、消化仕入売上高から賃貸収入へと変化しています。今後は、モノやサービスを「売ること」を目的としない、体験やコミュニティという価値提供をする「未来の店舗」に展開していっています。
②フィンテック事業
丸井のエポスカードには、若者を中心とした約660万人の会員がいます。
新規入会の促進のため、アニメコンテンツとのコラボレーションカードの発行や、全国の商業施設との連携カードの発行を進め、連携施設数は30施設にまで拡大しています。
また、2006年以降の社会の変化に合わせて、店舗、カード事業のあり方を転換し、店舗・カードに加えてWeb事業も加えました。店舗とカードの一体化で培ってきた、IT・情報システムや物流プラットフォームがあり、2018年にはデジタルトランスフォーメーション推進本部を設置するなど、ITを中心に更なる強化を進めています。グループ一体となり、相互的に事業を拡大していくことで、お客さまの「しあわせ」を実現させていくモデルです。
経営理念
丸井の経営理念は「お客様のお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」です。
丸井は、ステークホルダーを「お客さま」「株主・投資家」「地域・社会」「お取引先さま」「将来世代の皆さま」とし、共創を通じてすべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブで豊かな社会を実現しようとしています。
丸井とSDGs
丸井が取り組むSDGs目標
丸井は、すべての人が取り残されることなく「しあわせ」を感じられる、インクルーシブで豊かな社会を目指し、2016年11月に「インクルージョン」視点で4つの重点テーマを定めました。
①「お客さまのダイバーシティ&インクルージョン」の取り組み
丸井は、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、年齢や性別に関係なく、高齢者、障がい者、外国人やLGBTの方が安心して買い物ができるように設備環境や接客の多方面で居心地の良い店づくりに取り組んでいます。
「お客さま企画会議」では、車イスをご利用されるお客様も参加し、さまざまな人の意見を聞いて、より良いお店づくりを行っています。
また、「博多マルイ」の店づくりでは、九州大学や一般社団法人 生き方のデザイン研究所とも協力し、実践的に取り組んでいます。
店づくりと同様に、商品の提供にも「安心・安全」を徹底しており、丸井独自の「丸井グループ品質基準」を策定しています。ホームページ上に「商品のお取り扱い方法」を案内するコンテンツに加え、素材の特性やお手入れ方法など、いつでも見られるように用意しています。特に取り扱いに注意が必要な商品に関しては、「商品取り扱いのご案内カード」を販売時に渡しています。
食品売り場においても同様に、「細菌検査基準」「計量管理規程」に基づいて、品質管理の徹底を行っています。
②「ワーキング・インクルージョン」の取り組み
「一人ひとりが互いの良さを認め合い、全員がイキイキと活躍できる風土づくり」の推進を目的に、全員参加型の活動として「多様性推進プロジェクト」を行っています。
2015年7月に社内公募で集まったグループ社員43名のメンバーを中心に、各事業所と連携した活動を進めています。プロジェクトの活動の一環として、2016年2月には「多様性推進月間」を開催しました。また、仕事と過程の両立支援制度を社内周知するための『ダイバーシティブック』の発行や、多様性を活かすためのマネジメントについての意見交換会など、次々に新しい取り組みをスタートさせています。
③「エコロジカル・インクルージョン」の取り組み
丸井は、自然資本に与える影響を踏まえて、「2050年目標」を策定しました。
中期目標(~2030年)を、グループ全体のScope1とScope2の合計を2017年3月期比80%削減し、Scope3を35%削減と設定しています。中期目標(~2050年)を、グループ全体のScope1とScope2の合計を2017年3月期比90%と設定しています。
他にも、小売セグメントとフィンテックセグメントに、ITや物流などグループの強みを活かして、独自のプラットフォームを活用しています。
2017年10月には、EC事業を支える株式会社ムービングの三郷Web通販物流センターで、ロボット倉庫「オートストア」が稼働しています。オートストアは、2万7,000個の専門コンテナを積み上げ、空間を無駄なく使用し、倉庫の保管効率も約3倍向上させました。また、保管棚から商品を取り出すピッキング作業も、すべてロボットが行い、人はほとんど歩くことなく行えるようになったため、作業負担が大幅に軽減されています。
他にも、多数の取り組みを行っており、ESGデータブックで細かく記載されています。
このような取り組みが高く評価され、2020年7月には、ESGに関する評価基準を満たす企業を構成銘柄とした、社会的責任投資の株式指標として認知度の高い「FTSE4Good Index Series」に4年連続で採用されています。
【その他、受賞はこちら】
④「共創経営のガバナンス」の取り組み
丸井では、サスティナビリティ部とESG推進部が中心となり、4つの重点テーマごとに活動を検証しながら、長期ビジョンの設定、サスティナビリティとビジネスの両立に向けた重点指標(KPI)の開示を行ってきました。2015年8月に初めて、「共創経営レポート2015」を発行し、多くの部署を設置しながらコーポレートガバナンス強化をしています。
参照:サステナビリティマネジメントの推進 | 重点テーマ4 | サステナビリティ
最後に
丸井は、すべての人への「しあわせ」をテーマに、様々な人との店づくりや自然資本への取り組みを行ってきました。
今後も、「お客さま」「株主・投資家」「地域・社会」「お取引先さま」「将来世代の皆さま」といった多くのステークホルダーと手を取りながら丸井は更なる飛躍を目指します。