《徹底解説》今注目の脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは?|SDGsとの関係も解説

#SDGs目標13#SDGs目標7#エネルギー#エネルギー効率#エネルギー資源#パリ協定#再生可能エネルギー#気候変動#環境#発電#脱炭素(カーボンニュートラル) 2021.02.24

この記事をSNSでシェア!

【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

日本は2050年までに二酸化炭素の排出量をゼロにするカーボンニュートラルを政策として掲げ、今、急激に脱炭素社会(カーボンニュートラル)への注目が高まっています。

さまざまな企業が再生可能エネルギーの使用を開始したり、自社の二酸化炭素排出量をへらす取り組みをするなど、2021年は脱炭素社会元年とも呼べるでしょう。

脱炭素社会の到来は、国際的に注目が高まるSDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」などの達成にも不可欠です。

この記事では、脱炭素社会、カーボンニュートラルの概要から、現状、各国の取り組みをまとめた上で、SDGsとの関連性についても解説していきます。

近年注目の高まる脱炭素社会とは

脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは

脱炭素社会とは、二酸化炭素の排出が実質ゼロとなる社会のことです。温室効果ガスである二酸化炭素は、地球温暖化の原因と考えられています。そのため、二酸化炭素の排出量を可能な限り減らし、脱炭素社会を実現することで地球環境を守るための社会作りが求められています。

温室効果ガス:地球の表面から地球の外に向かって放たれた太陽の熱(赤外線)熱を吸収し、蓄え、再放出する性質がある気体。蓄えられた熱は再び地球の表面に戻り、地球の表面付近の大気を温める効果がある。主に二酸化炭素やメタン、フロン類が挙げられる。

地球温暖化による気候変動は世界共通の社会課題で、国連をはじめ各国が協力して解決することが求められています。温室効果ガスの排出量が多い国やエネルギー効率の低い国、今後温室効果ガスの排出増が予想される国が中心となって、再生可能エネルギーの導入や省エネを含めた効率化などの気候変動対策に向けた協力していくことが重要です。

特にエネルギー効率の改善は温室効果ガス削減など環境面への効用、エネルギー安全保障の強化にも繋がります。そのため科学技術協力を戦略的に取り入れ、再生可能エネルギーをより活用できる新技術の開発や導入を多くの政府や企業が行っています。

世界各国で脱炭素社会の実現を目指しエネルギー基本計画を策定し、再生エネルギーの主力電源化や原子力発電、火力発電などの今後の在り方などについて方針を立て、計画達成に向けた取り組みが行われています。

菅総理大臣による「脱炭素社会の実現」の宣言

2019年10月26日に行われた第203回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説において、菅総理より「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言されました。

菅内閣総理大臣による所信表明演説を一部抜粋します。

菅政権では、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力して参ります。我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。

このように「脱炭素社会」は政府も本腰を入れて取り組みを開始しており、私たちの住む日本においても深い関わりがあるのです。

SDGsと脱炭素社会との関係性

脱炭素社会とSDGsの各目標は密接な関係にあります。以下の図はSDGsと脱炭素社会(気候変動問題)の繋がりの関連図です。

一見すると脱炭素社会への取り組みはSDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」にのみ貢献するように受け取られますが、実際はSDGsのすべての目標になんらかの形で寄与します。

例えば、二酸化炭素の増加による地球温暖化の加速によって農作物の収穫量に悪影響が及ぼされた場合、飢餓問題をさらに深刻化させてしまいます。また、熱中症患者の増加による健康被害や、自然災害による都市への被害など、気候変動によってもたらされる被害は多岐にわたります。

気候災害による影響は直接的な被害だけに留まらず、生態系、経済活動、保健衛生や福祉に至るまで、さまざまな形で長期的に現れてくることが予測されます。脱炭素社会(気候変動問題)は、SDGsに挙げられた17の目標すべての達成に繋がる重要なテーマであることがわかります。

脱炭素社会が注目されている理由

脱炭素社会が注目されているのは、深刻な地球温暖化にブレーキをかけるために必要不可欠な考え方とされているからです。

地球温暖化により、世界各地で最高気温を年々更新し、大雨や洪水、山火事などの災害も激化しています。

地球温暖化による気候危機を食い止めるべく、2015年に制定された「パリ協定」では気温の上昇を産業革命前より1.5℃までに抑える努力を追求すると明記され、各国がCO2の削減やエネルギーの効率化を推進しています。気温上昇を1.5℃以内に抑えるには、大気中に排出される温室効果ガスを2050年には世界全体で実質ゼロにする必要があると計算されている事から、前述の通り日本においても「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」という宣言が出されました。

世界の脱炭素社会の現状

世界の脱炭素社会の現状として、温室効果ガスの排出量に関する国別の総排出量と国民1人当たりの排出量を示す表を見ていきましょう。

図:温室効果ガスの排出量の比較(森林などの吸収量は含まない)【出典:Emissions Gap Report 2019、November 2019、16ページ

 

図1は、国別の温室効果ガスの排出量の比較を、図2は国別1人当たりの排出量の比較を示したものです。図1からわかるように、国別の総排出量の第1位は中国ですが、第2位の米国以下を大きく引き離しています。

第2位の米国は横ばいであり、第3位のEU(28カ国)はやや下降気味ですが、第4位のインドは急上昇しています。以下5位のロシアはやや上昇傾向、第6位の日本は横ばいとなっています。

一方、図2からわかるように、国別1人当たりの排出量は、米国が第1位ですが下降傾向にあり、第2位のロシアは上昇傾向にあります。

第3位の日本、第4位の中国、第5位のEU(28カ国)は、2010年以降、横ばいとなっています。第6位のインドは、やや上昇傾向にあります。

日本政府の脱炭素社会に向けた取り組み

2050年カーボンニュートラル向けたグリーン成長戦略

前述の通り2020 年10月、日本は2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現すると宣言しました。地球温暖化への対応を経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、持続可能な社会への成長の機会と捉える時代に突入しました。

菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を受け、経済産業省は関係省庁と連携し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下グリーン成長戦略)」を策定しました。

グリーン成長戦略では、脱炭素社会への取り組みを経済に埋め込み、経済成長と環境保持の好循環を生み出すことを目指しています。

グリーン成長戦略の主な要点は以下です。

  • 電力部門の脱炭素化
    洋上風力発電や蓄電池産業の活性化。火力発電の技術向上とコスト低減。原子力発電の技術確立、安全性の向上など
  • 電力部門以外の電化
    家庭の電化だけでなく、運輸の電動化、バイオ燃料や水素燃料の活用促進。
  • 企業の現預金約240兆円を投資に向けるため、政策を総動員、ESG投資の推進や国際協力を推進
    基金による開発・実証の支援、規制改革や規格・標準化、民間企業の資金誘導

カーボンニュートラルへの転換イメージ(参考値)は再生可能エネルギーを主軸に、原子力を活用しながら自給率と低炭素電源比率を底上げ。電力供給を維持するのに必要な火力も確保し、炭素の回収や再利用も行う内容になっています。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

また、自治体における動きとして東京都・京都市・横浜市を始めとする191自治体(27都道府県、106市、2特別区、46町、10村)が「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明しました。

 

グリーンファイナンスの推進

グリーンファイナンスとは地球温暖化対策や再生可能エネルギーなどの環境分野への取組みに特化した資金を調達するための債券(グリーンボンド)や借入(グリーンローン)を指します。

国によるグリーンファイナンスの推進活動としては2013年、環境省による「低炭素社会の創出」「生物多様性の保全」「循環型社会の形成」のための金融を推進する「一般社団法人グリーンファイナンス推進機構」が設立されました。2014年には日本政策投資銀行が国内初のグリーンボンドを発行したことをきっかけに、発行額が増加しています。2015年には都市銀行、2017年には東京都がグリーンボンドを発行しています。

また2017年に環境省が「グリーンボンド発行ガイドライン」を制定した事で「グリーンボンド発行モデル創出事業」や「グリーンボンドの発行に要する追加的コストの補助制度」等の政策を通じ、国内のグリーンボンドのさらなる発行を促進しています。

イノベーションの推進

日本は脱炭素イノベーションを推進することにより環境・経済・社会 の諸課題の同時解決を図り、将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」を目指しています。

脱炭素イノベーションを通じた「新たな成長」へ向けた取り組みは以下です。

●IoT、AI等を活用したエネルギー・環境関連ビジネスの革新
  • IoTを活用した配車システムの構築等による運輸部門の省エネ推進
  • EVバッテリーのリユース・リサイクルシステム確立に向けた技術実証
  • ブロックチェーン技術を用いた、自家消費される再エネのCO2削減価値取引システムの実証
  • 資源生産性の向上を目指した、デジタル技術を活用した3R関連ビジネス(静脈物流の効率化等)の創成・普及
●再エネを最大限活用する地産地消型エネルギーシステムの構築
  • 自治体が関与する地域エネルギー企業の立ち上げ支援等を通じ、「地域循環共生圏」を構築
  • 環境保全と両立した風力発電の導入促進に向けたゾーニング手法の普及促進・あり方の検討
●気候変動適応策の推進
  • 適応の情報基盤整備を進め、気候変動に強靱な地域づくりや適応ビジネスの発展を実現
●エネルギー・環境産業の国際展開
  • 「日本の気候変動対策支援イニシアティブ2017」、JCM等を通じた日本の優れた脱炭素技術等の国際展開
  • 循環産業の国際展開に向け、廃棄物処理・リサイクル
  • 生活排水処理分野の制度構築と技術導入を支援

 

カーボンプライシングの推進

「カーボンプライシング」は、日本語では「炭素の価格付け」などと呼ばれます。二酸化炭素を排出した量に応じて、企業や家庭に金銭的なコストを負担してもらう仕組みです。

化石燃料を消費(燃焼)することによって二酸化炭素が排出されます。化石燃料に含まれる炭素の量に応じて価格を上乗せすることで、化石燃料が使われる量を減らし、二酸化炭素の排出を減らす効果を狙っています

代表的な制度としては「炭素税」があげられます。これは企業などに対し二酸化炭素の排出量に応じて課税していくシステムです。二酸化炭素は実際には計測できないため、石炭・石油・天然ガスなどの消費量に応じて課税します。

また、「排出量取引制度」も代表的な制度としてあげられます。企業などが排出できる二酸化炭素の上限を決める事が出来、上限を超える企業は、上限に達していない企業からお金を払って必要な分を買い取るという制度です。

日本ではこうした制度の本格的な導入には至っていませんが、前述の通り、菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」達成に向け、カーボンプライシングの検討を加速させています。

カーボンプライシングの制度設計は容易ではありません。「炭素税」であれば、税率の設定、「排出量取引制度」であれば、各企業に対する上限などに関し、効果的で公平な制度設計が求められます。

また環境省の有識者委員会で具体的な議論が始まり、経済産業省の研究会でも近く本格的な議論を始める予定で、それぞれ年内に一定の結論を出す方針です。

経済産業省と環境省が連携するとされていますがカーボンプライシングを本格的に導入することになれば、企業には新たな負担が増え、導入の効果を高めるほど負担が大きくなります。このため、産業を抱えている経済産業省は、環境省に比べ導入に慎重な姿勢が伺えます。

カーボンプライシングが脱炭素に向けた有効であり大きな核となるのか、今後の動向に注目が集まっています。

脱炭素社会に向けた各国の取り組み

2015年のパリ協定

パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、世界約200か国が合意して成立しました。

1997年に定められた「京都議定書」の後を継ぎ、国際社会全体で温暖化対策を進めていくための礎となる条約で、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃以下にし、1.5℃に抑える努力を追求することが決定されています。

2021年11月にはCOP26が開催され、パリ協定が制定されてから今までの目標達成度やこれからどのように削減目標を引き上げていくかが議論される予定です。

パリ協定に提出されている各国の目標は足し合わせても世界の平均気温を3℃もあげてしまうと予測されています。平均気温が1℃上がった現在でも大洪水や酷暑がより頻繁に発生するようになっている中、パリ協定の目標である2℃未満、可能な限り1.5℃に抑えるためにはすべての国のより一層の削減努力が必要です。そのため、2021年のCOP26会議には大きな注目が集まっています。

一方で、パリ協定では、地球温暖化防止に向けた対策の大枠のみが定められており、脱炭素社会の実現のために、各国が具体的な政策を立案し、実行していくことが求められています。

【パリ協定の要点】

  • 平均気温が上がるのを2℃未満にする
  • 各国が温室効果ガス削減目標を立て、5年ごとに見直す
  • 温暖化で起きる被害を軽減する対策を立てる

Climate Ambition Allianceの発足

2050年までのカーボンニュートラルを目指すための国際的な枠組みとして、2019年9月、国連気候変動サミットにおいて、グテーレス国連事務総長やチリなどが呼びかけ、Climate Ambition Allianceが発足しました。

これまでに121ヶ国とEU、その他都市や地域、企業団体などが参加しています。2020年10月27日には菅首相とグレーレス国連事務総長の電話会談にて、日本も参加を表明しています。

各国の二酸化炭素削減目標

日本、アメリカ、イギリス、EU、カナダ、中国の二酸化炭素削減目標は以下の図の通りです。

国名 中期目標 長期目標
日本 2030年度までに▲26%(2013年度比) 2050年排出実質ゼロ

※昨年10月26日、臨時国会の所信表明演説で菅総理が表明

アメリカ トランプ前大統領がパリ協定離脱 (旧NDC:2025年に▲26~28%(2005年比)) バイデン大統領は2050年排出実質ゼロを表明
イギリス 2030年に少なくとも▲68%(1990年比)

※2013年比▲55.2%相当

2050年少なくとも▲100%(1990年比)

※一定の前提を置いた3つのシナリオを提示

EU(フランス・ドイツ・イタリア) 2030年に少なくとも▲55%(1990年比)

※欧州理事会(昨年12月10・11日)合意

※2013年比▲44%相当

2050年排出実質ゼロ

※複数の前提を置いた8つのシナリオを分析

カナダ (2030年に▲30%(2005年比))

※2013年比▲29%相当

※昨年12月、トルドー首相が05年比▲32~40%(2013年比▲31

~39%相当)に向け努力する旨表明

2050年排出実質ゼロ

※2020年11月、関連法案を国会に提出

中国 2030年までに排出量を削減に転じさせる、

GDP当たりCO2排出量を▲65%超(2005年比)

※2020年9月の国連総会、12月の気候野心サミットで習主席が表明

2060年排出実質ゼロ(対象ガスについて不明)

※2020年9月の国連総会で習主席が表明

各国の脱炭素社会への取り組み

国名 脱炭素社会に向けた取り組み
日本 エネルギー:2030年までに2030年エネルギーミックスにおける再生可能エネルギー比率を50%へ。非効率な石炭火力発電所のフェーズアウトと新規の石炭火力発電所の建設中止。 エネルギーミックス検討における基本事項の改定。再エネ市場の活性化に向け、オフサイト型コーポレートPPAを可能とする環境整備を実施。

運輸:2030年の運輸部門のCO2排出量は約41%減。2019年8.3Gtから持続可能な開発シナリオでは1.1Gt減。さらに2050年ネットゼロ排出シナリオでは、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の増加や航空・海運のゼロエミッション化により、0.7Gt減少。

家庭など:2050年カーボンニュートラルを目指し断熱リフォーム・ZEH化と、省エネ家電への買い換えを、関係業界((一社)住宅生産団体連合会、(一社)日本建材・住宅設備産業協会、全国電機商業組合連合会、大手家電流通協会)などと連携して呼びかけ、行動変容を促す。住宅の断熱性能向上により、ヒートショックリスクの低減などにもつなげていく。

アメリカ エネルギー:2030年までに洋上風力発電を倍増。2035年までには原子量は活用しながら電力部門を脱炭素化。2050年に向けては二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)のない火力発電の大半はフェードアウト、再生可能エネルギーの活用をメインに置く。

運輸:2030年までに50万基以上のEV公共充電設備を設置、2030年までに新車バスをゼロエミッション化。2050年に向けては長距離輸送トラックや航空機などの燃費改善や新燃料の開発を行う。

家庭など:2030年までにすべての新築の商業用施設をゼロエミッション化、2035年までに国内の建築ストックからの排出量を50%削減。2050年に向けて、エネルギー効率を改善し、冷暖房や給油などを電化する。

イギリス エネルギー:2030年までに洋上風力を40GWへ(うち1GW浮体式)。2050年までに部門排出量をほぼゼロへ。バイオマスやCCUSでネガティブエミッションの可能性もあり。2050年までに部門排出量をほぼゼロへ。バイオマスやCCUSでネガティブエミッションの可能性もあり。最終エネルギー需要の半分以上を電力で賄う。 水素需要が現在の10倍以上になる可能性があり、クリーン水素の製造と利用が重要となる。

運輸:2025年までに自転車の利用率倍増加を目指す(2013年比)2030年までに全ての新車をゼロエミッション化へ。EV充電設備拡充設置。2050年までにほぼ全ての車のストックをゼロエミッション化へ。公共交通網が整備され、人々は徒歩、自転車、電車・バスで移動を目標とする。

家庭など:2020年代に、ガスグリッドに接続していない住宅における化石燃料を使用した暖房を段階的に廃止。断熱改修、省エネ改修へ。家庭用暖房を完全に脱炭素化。公共セクターの建物及び活動からの排出量をゼロに近付ける。

EU エネルギー:2030年までに最終消費に占める再エネは38%~40%へ。2030年までに石炭消費量は▲70%以上。最終エネルギー消費における電力は最大で53%へ。システム最適化 (デマンドサイドレスポンスによる電力貯蔵、相互接続、プロシューマー等) により再エネ80%以上へ。

運輸:2030年までにEV、燃料転換(バイオ燃料、再生可能燃料)燃費向上、デジタル化、道路課金へ。全ての輸送手段で電化の促進をする。電化が難しい場合は水素、バイオ燃料、e-fuelを導入。公共交通機関、ドローン等の新しい配送技術の導入、MaaSが普及、モーダルシフトの拡大へ。

家庭など:エネルギー効率改善、電化等により2030年の建築物部門の排出量を▲60%(2015年比)へ。デジタル化。(スマートビルディング/スマート機器の管理など)最高効率の機器・製品の普及、断熱材の改良。熱の燃料転換、水素や合成メタン等の利用拡大へ。

ドイツ エネルギー:電力消費量に占める再エネを2030年までに65%、約200GWへ。系統・エネルギー需要の柔軟性向上へ。(デジタル化、セクターカップリングなど)エネルギー供給を遅くとも2050年までにほぼ脱炭素化。電力需要、セクターカップリング進展により増加、スマートグリッドにより需給バランス確保へ。コジェネ等の低炭素なガス火力発電は調整電源へ。

運輸:2030年までに鉄道・内陸水運・自転車等への転換 。水素等の燃料転換 、2030年までに新規自動車(常用、貨物)の電化 •デジタル化(トラックの隊列走行等、リアルタイムデータの 活用等。2050年までに国内運輸手段の公正な競争環境の整備、モーダルシフトへ。移動距離が縮小、徒歩や自転車利用が増加、カーシェアリ ング 、デジタル化(自動化とネットワーク化) 、バイオ燃料、水素等を活用へ。

家庭など:暖房・給湯・冷房・照明のセクターカップリングの拡大。2030年までの新規建築物の、エネルギー効率向上へ。建設とリサイクルに係るエネルギーを可能な限り最小化。既築のエネルギー消費量:2050年実質気候中立。改修が困難な建物における熱部門の脱炭素化。(固形バイオ燃料)

中国 エネルギー:2030年までに一次エネ消費に占める非化石燃料の割合を2030年までに25%へ。(太陽光発電・風力発電:1.2TW以上)石炭消費量の抑制、石炭火力発電の高効率化。分散型エネルギーの大規模化とスマートグリッド構築の強化。

運輸:2030年までにNEV (EV・PHV・FCV) 販売目標を2023年18%へ。交通手段の最適化、公共交通の開発の優先順位付け。都市における歩行者・自転車専用交通システムの整備。

家庭など:2030年までに長寿命化、既存建築物の省エネ転換 •建築廃棄物の再利用促進、建物における再エネの利用促進へ。

脱炭素を実践する企業の例

企業例①:ENEOS

エネルギーを扱うENEOSグループは、気候変動問題を経営上の重要なリスク・機会と認識し、これに真摯に向き合い、解決していくことで、将来にわたり継続して利益を出すことができるという考えを示しています。

この方向性を明確に示すため、2040年に向けた長期ビジョンにおいて自社排出分のカーボンニュートラルの追求を表明しました。CO2排出削減の主な取り組みとして製油所・製錬所での高効率省エネ設備の導入推進、 装置運転の最適化、CO2-EORによるCO2の分離・回収など、環境配慮型商品の販売拡大、廃棄物最終処分率低減の主な取り組み、汚泥や集じんダストのセメント原料化 廃触媒からの有価金属回収を行っています。

企業例②:アサヒグループ

アサヒグループは持続可能な地球環境の実現を目指し、環境経営における気候変動に関する中長期目標「アサヒ カーボンゼロ」を設定しています。

「アサヒ カーボンゼロ」は、2050年にScope1,2及びScope3にてCO2排出量“ゼロ”を目指すものであり、2030年にScope1,2において50%削減、Scope3において30%削減を目標とするものです。

CO2 排出削減の主な取り組みとは、再生可能エネルギーの導入、製造工程における蒸気などの排熱回収利用、缶列常温充填化などの冷熱利用、コージェネレーション設備の導入、燃料転換、ISO14001を活用した全事業場での活動などさまざまな省エネ・環境施策を実施しています。

企業例③:積水ハウス

積水ハウスは事業全体のCO2排出量で最も大きな割合を占める住宅・建築物の居住・使用段階におけるCO2排出削減のために ZEH ZEB※の普及を推進しています。

あわせて、事業活動における省エネルギー・ 再生可能エネルギー 活用など、バリューチェーン 全体のCO2排出削減を進め、「IPCC 特別報告書」がうたう2050年脱炭素社会の実現を目指しています。

主なCO2排出削減の取り組みとして新築戸建住宅におけるZEH商品「グリーンファースト ゼロ」を市場にいち早く投入し、日本初のZEH賃貸住宅・分譲マンションを建設するなど、住宅業界のZEH化をけん引しています。

※ZEH・ZEB:省エネ・創エネなどにより、快適な室内環境を実現しながら年間の一次エネルギー収支プラスマイナスゼロを目指す住宅(ZEH)および建物(ZEB)それぞれネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略の事

 

さいごに

今回は「脱炭素社会」について詳しく学んできました。

「脱炭素社会」がなぜ近年注目が高まっていたのか、理解できましたか?

地球温暖化は私達にとって決して他人事の問題ではありません。

「脱炭素社会」を実現するためには、地球で起きている現状に目を向け脱炭素を実践する企業の情報を学んだり、その企業の商品を利用するなどの私達が出来る小さな行動が私達の生活を守り、私達の地球を守るのです。

「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を目指し、正しい情報を身に付け今、私達に出来る事を積み重ねていきましょう。

この記事をSNSでシェア!

  • ダミータイトル

  • ランキング

    サイボウズ、日経新聞に”お詫び”広告を掲載|自社と社会における多様性に問題提起

    《必見》SDGsと建築|実際の事例を建築ガイドに沿ってわかりやすく紹介

    《徹底解説》「SDGsは胡散臭い」と言われる理由|原因から解決法まで徹底解説

    新着記事

    これからPRの鍵はひとりよがりにならないこと|サニーサイドアップがPRを超えて取り組むソーシャルグッド

    SDGsの基礎知識

    《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説

    もっとみる

    おすすめ

    《SDGs基礎》目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を徹底解説

    《徹底解説》今、注目を集める再生可能エネルギーとは|SDGsとの関係性も解説