《必見》CSRとは| ESGやSDGとの関係性から企業事例まで徹底解説

#持続可能#環境#経営 2021.08.05

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

CSRの意味は知っているけど、具体的な活動は知らないという人も多いと思います。

2015年に国連でSDGsが採択されて以降、CSRの重要性はますます高まっています。

この記事では、そんなCSRについてSDGsとの関係性や事例を交えながら、わかりやすく説明していきます。

CSRとは

まず、CSRの言葉の意味と具体的な活動例を解説します。

CSRとは

CSR(シーエスアール)とは「Corporate Social Responsibility」という言葉の頭文字をとった言葉です。
日本語では「企業の社会的責任」といいます。
「企業の社会的責任」とは、社会や環境に配慮・貢献しその企業が関わる全ての人や団体、そして社会に対して責任のある行動をとるということです。

企業が自分の利益だけを追求し、無責任な行動を取らないようにするためにも、CSRは非常に重要です。

CSR活動の代表例

CSRに積極的に取り組むことをCSR活動と言いますが、具体的にどのような行動がCSRに当てはまるのでしょうか。

まず最も一般的と言えるのは、ボランティアです。
地域のゴミ拾いや、植林など環境保護のためのボランティアに取り組んでいる企業は多いです。

次にあげられるのは、募金などの寄付活動です。
具体的には、地域の文化財を保護するための募金や災害で被害を受けた住民に対する寄付などが挙げられます。

この他にもリサイクルや CO2排出を抑えるなどの環境に配慮した活動地域住民への教育プログラム情報セキュリティ対策など様々な活動があります。

これらの活動は、必ずしも企業の利益に直結するわけではないということも重要です。

CSRに取り組む企業の割合

では一体どのくらいの企業がCSRに関する取り組みを行なっているのでしょうか。

JETRO(日本貿易振興機構)が行なった2017年度の調査によると、CSR方針を策定している、またはする予定がある企業は全体の65.6%を占め、半数以上の日本企業が CSRの方針を策定し取り組んでいることがわかりました。

CSRに関する方針の有無 引用:JETRO

企業規模別に見ると、CSRに取り組んでいる中小企業の割合が、大企業と比べて低くなっていることがわかります。

企業規模別CSRに関する方針の有無 引用:JETRO

CSR方針が定まっていないということは、取引先や顧客、地域などの企業に影響を受ける利害関係者であるステークホルダーに対し、社会的な責任を果たしていることの証明ができません。

大企業はもちろんですが、特に中小企業がいかにCSRに取り組んでいくかが重要な課題です。

CSRが注目されるようになった背景

CSRが広まった背景には主に3つの要因があります。

①企業の不祥事

1つは企業の不祥事が挙げられます。
不祥事とは具体的に、違法なレベルの時間外労働や、個人情報の流出、不正会計や産地偽装などの行為のことです。

近年こうした不祥事がニュースで取り上げられることも多く、企業の信頼が失われ、ステークホルダーは各企業に以前よりも厳しい目を向けるようになっています。

②環境問題の深刻化

環境問題が深刻化しているのも1つの要因です。

森林伐採や公害問題などは、企業と全く関係が無いわけではありません。
高度経済成長期には、四大公害事件といわれたイタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜん息、熊本水俣病などが発生し人々に被害が及びましたが、これらは主に企業活動による産業廃棄物が原因となっています。

このような背景もあり企業の環境に対する意識が高まり、環境問題に取り組む企業が増えてきました。

③グローバル化

グローバル化に伴い、企業は続々と海外進出を始めました。
企業の規模が拡大し、組織が複雑化していく中で企業の社会や地域に与える影響はますます大きくなります。

このような状況の中では、利潤を追求することが優先され、社会に与える影響を配慮しないという問題が起こりやすくなります。そこでCSRが重要視されるようになりました。

CSRとSDGsの関係

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。

2030年までに世界の諸問題を解決し持続可能な社会を作るため、SDGsには17項目の目標が設定されており、2015年に国連で採択されました。

SDGsは貧困や紛争、気候変動などといった世界規模の問題に対応するためのグローバルな指標として、最近では各国の政府だけではなく、企業や自治体などの団体も取り組みを強化しています。

CSRは利益に直結しない社会貢献活動のことですが、SDGsはビジネスに取り入れることもでき、利益にもつながります。

社会の持続性という面では共通しているようにも思われがちですが、実際は異なる概念です。

しかし、SDG達成への取り組みには節電や節水など、利益に直結しない取り組みも多くあります。ゴミ拾いや植林などは想像しやすいかと思いますが、CSRへの取り組みは、SDGs達成に向けた取り組と共通している事例が多いことも事実です。

そのため、CSRに積極的に取り組んでいる企業はよりスムーズにSDGへの取り組みを行うことができます。

CSRに取り組むメリット

CSR活動をすることは企業にとっても大きなメリットになります。主なメリットを3点紹介します。

①企業価値の向上

1つ目は、CSRを通して積極的に社会貢献することで、世間の企業に対するイメージが向上することです。
実際に東京商工会議所が実施したアンケートによると、中小企業の79.7%、大企業の98.3%がCSRに取り組んだメリットに「企業イメージの向上」を挙げています。

CSRに取り組むことで、企業イメージが向上し、製品の売り上げが伸びたり出資を多く得られたりするという好循環が得られ、企業価値の向上につながります。

②ステークホルダーとの関係性強化

また、1つ目のメリットとも関連しますが、企業はCSR活動を行うことで取引先や株主などのステークホルダーからの信頼を得ることができます。
消費者から信頼されている企業と接するだけでも、取引先もイメージの向上というメリットを享受することができるため、取引先との関係もより強固なものとなります。

また、消費者や取引先から信頼されている企業は、将来性も高いと考えられるので、投資家の注目も集まるのです。

前述した東京商工会議所のアンケートによると、中小企業の56.7%、大企業の44.1%がCSRに取り組んだメリットに「販売先・納入先との関係強化」を挙げています。

③従業員の満足度向上

企業のステークホルダーの一部でもある、従業員の満足度向上もメリットとしてあげることができます。

満足度が向上する理由としては、CSRに取り組んでいる従業員の社会的イメージが向上することはもちろん、従業員自体も社会貢献をしているという実感が湧きやすいことが1つ挙げられます。

従業員の満足度が向上することで、離職率が下がり生産性も上がるため、企業にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

東京商工会議所のアンケートでは中小企業の52.9%、大企業の72.9%がCSRに取り組むことのメリットとして「従業員満足度の向上」を挙げていることからも、CSRが従業員の満足度向上に直結することが理解できます。

CSRに取り組むデメリット

CSRに取り組むことによるデメリットも存在します。デメリットをしっかりと理解することもCSRに取り組む上で重要です。

①コストの増加

1つ目はコストの問題です。CSR活動は短期的な収益には直結しないため、CSR活動にかかる費用は短期的な損失になります。
長期的に見るとメリットにつながるのですが、規模の小さい企業や業績が悪化している企業にとっては取り組む余裕がないという問題もあります。

②人材の不足

2つ目は人材の不足です。CSR活動にはその分の人材が必要になるため、本業に取り組むための人手を削減することになり、本業が疎かになってしまう可能性があります。
東京商工会議所のアンケートでは、約半数の企業が、人材不足をデメリットとして挙げています。

参考:「企業の社会的責任(CSR)」についてのアンケート調査結果概要 東京商工会議所

CSRに取り組む企業事例

ここからは、CSRに積極的に取り組んでいる企業の取り組み事例を紹介します。

KDDI

KDDIは、東洋経済新報社が毎年発表している「CSR企業ランキング」において、2年連続で1位を獲得しました。

国内通信事業者として初めてCO2排出量削減目標を掲げるなど、CSRに積極的に取り組んでいます。

KDDIは「安心・安全な情報通信社会の実現」「 安定した情報通信サービスの提供」「地球環境保全への取り組み」「多様な人財の育成による活力ある企業の実現」の4つをCSRに取り組む上での重要課題としています。

主な活動として、携帯電話やインターネットを安心・安全に利用するために必要なルールやマナーを理解し、自らの判断でトラブルに対処する能力を身に付けるための「KDDIケータイ教室」を開催したり、快適なインターネット通信を利用可能にするために「au Wi-FiSPOT」のネットワーク構築と利用可能スポットの拡充に努めたりしています。

このほかにも高尾山での森林保護活動や沖縄での珊瑚礁保護活動など、さまざまな取り組みを行なっています。

NTT・日本電信電話

NTTはCSRに取り組む上で、「人と社会のコミュニケーション」「人と地球のコミュニケーション」「安心安全なコミュニケーション」「チーム NTTのコミュニケーション」の4つのテーマを掲げています。
具体的な取り組みとして、自然災害による被害者の生活再建に必要不可欠となる、「り災証明書」の発行の手間を削減することを目的とした「被災者生活再建支援システム」では、迅速な証明書発行を実現し被災者支援に貢献しました。

また、 NTTグループによるIoT技術とクラウドを活用した「地域食品資源循環ソリューション」では、地域の食品関連企業から排出される食品廃棄物をリサイクル事業者が回収し、それを堆肥に変換した後、農作物の生産者に提供するというリサイクルループを実現しています。

他にも、ウェアラブルIoTサービスである「みまもりがじゅ丸®」によって、企業において働く人の安全と健康を見守る制度を整えるなど、幅広い分野でCSRを推進しています。

富士フイルムホールディングス

富士フイルムホールディングスは、2013年〜2019年の間でグループによるCO2排出量を30%削減することに成功しています。

自然保護をテーマとした民間企業による公益信託としては日本初の「公益信託富士フイルム・グリーンファンド(FGF)」により、多くの活動や研究に対して助成をしたり、写真技術を生かして国立公文書館でも重要な公文書である「聖語蔵経巻」をカラーマイクロフィルムにより複写・保存したりしています。

東日本大震災の時には、泥まみれになった写真プリンターの洗浄方法やポケットアルバムを提供してまわるなど、さまざまな活動を通して社会貢献をしています。

ダイキン工業

ダイキン工業の「Re:エアコンプロジェクト」は非常にユニークな活動です。
「Re:エアコンプロジェクト」機能が搭載されたエアコンでは、エアコンを省エネモードで運転することで、ポイントが溜まりリモコン画面上の木が育ちます。1本の木として育てあげることで、同社が行なっているインドネシアの森林再生プロジェクトに貢献できるという仕組みです。

消費者は、ダイキンの製品を通して環境保護に貢献していることをより身近に感じることができるため、非常に画期的なプロジェクトとなっています。

株式会社ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とのグローバルパートナーシップを通して、世界の難民やホームレスなどの服を必要としている人々に服を寄贈する活動を行なっています。
この取り組みにより、服をゴミとして廃棄してしまうのではなくまた新しい服として再利用することが可能になり、多くの貧しい人々がこの恩恵を受けています。

そのほかにも、難民に職業訓練や技術習得の機会を提供し、彼らの自立を支援する活動にアジアを中心に取り組むなど、ファーストリテイリングのCSR活動は日本国内のみにとどまらず、世界へと広がっています。

まとめ

今回はCSRについて徹底解説しました。
CSRは、企業が社会に対して責任のある行動をすることで、ステークホルダーからの信頼を得ることができ、未来の顧客を創造できる可能性もある、企業には必須の概念です。

これからもより多くの企業がCSR活動を推進し、より良い社会を作り上げていくことに期待したいですね。

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