大学でSDGsに取り組むには?国内外の大学の取り組みを徹底解説

#SDGs目標4#包摂的#教育 2021.05.27

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【更新日:2021年6月18日 by 佐野 太一

2020年に実施された調査によると、大学生の中で「SDGs」という言葉を聞いたことがある人は52.1%、そのうちの25.2%がSDGsの中身も知っていることが判明しました。
(参考:【お知らせ】SDGsに関する調査 | リサーチ・市場調査ならクロス・マーケティング

大学生の認知度が年々上昇傾向にあるSDGsですが、SDGs達成期限まであと9年を切るなか、まだ半数の大学生はSDGsの名称すら聞いたことがない状況にあります。
そんな大学生にSDGsを浸透させる場として、大学はどのようにSDGsを取り入れれば良いのでしょうか。

すでにSDGsを取り入れている国内外の大学を例に挙げながら、大学でSDGsを学ぶ必要性、これから大学や大学生ができる取り組みを解説していきます。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

大学でSDGsを学ぶ重要性

『いかにSDGsを推進し、自分たちが主役となる時代をどのような社会に変革していくかを考え、持続可能な社会の創り手として、多様な人々と協働しながら行動し、国内外に対して提言・発信していくことが期待されている。』
(引用:SDGs実施指針改定案(骨子)(PDF形式:847KB)

SDGsの採択から4年が経過した2019年に、採択当時からの現状変化を踏まえた今後のSDGsへの取り組み方針を改訂版SDGs実施指針としてSDGs推進本部が発表しました。改訂版SDGs実施指針において、次世代の若者は上記のように位置付けられています。次世代を担う若者へSDGsを広め、2030年以降の社会でも持続可能性を追求するために、大学はどのような存在になるのでしょうか。

産学官の連携の促進

SDGs CONNECT編集部作成

グローバル化やデジタル化が進む今日、企業や行政には、時代の変化に迅速に対応する力が求められています。また、時代の変化に対応し、企業と行政、大学が連携し、新たな価値を創出する産学官連携の事例が増加しています。SDGsに根ざした産学官連携が増えれば、SDGsの解決に一歩近づくことができるかもしれません。

また、約半数の若者が大学に進学する今、大学は研究をするだけでなく、社会で活躍する人材を育成することが求められます。

大学でSDGsを学ぶ若年層が増えることで、SDGsの知識を持った人材がさまざまな分野に広がり、社会がより一体となってSDGsに取り組めます。

このような背景を踏まえ、大学は学生に十分なSDGs関連の教育を提供し、より実践的に社会課題に取り組める人材の育成が求められています。

学生に社会問題に触れる場を提供

1990年後半から2012年頃までに出生したこれからの社会を形成する若者世代を、Z世代と呼びます。
Z世代には、デジタルネイティブとも呼ばれるほどインターネットと密に関わり、たくさんの情報に触れている中で社会問題に関心を持つ若者が多くいます。このように社会問題に関心を持ち、自ら取り組みを行なったり情報をSNSなどで共有していく人のことをSDGsネイティブと呼ぶこともあります。
(参考:【大学のSDGs事例】大学とSDGsの関係と全国11大学の事例

しかし、全てのZ世代がSDGsネイティブではありません。大学生の半数近くがSDGsという言葉を聞いたことないように、SDGsの浸透率は未だ低いのが現状です。そのため、社会に出ていく前に大学でSDGsや社会問題に触れる機会をつくることで、社会問題に興味を持ったり、日常の行動を少しずつ改めることにつながります。また、その興味をより深く学べる場として大学が位置付けられるように、大学側も研究や他機関との連携に力をいれるよう求められています。

社会問題を解決する人材を育成

大学生は、これからの社会を形成していく非常に重要な存在です。
学生が社会に出てから個人でも団体でもSDGsに積極的に取り組むことのできるよう、大学では、社会問題を解決する人材を育成することが必要です。

社会問題を解決するには、まず一人ひとりが問題意識を持つことが大切です。そして、考える力を育成することが大事になってきます。そのためには、従来の一方向で答えを教える教育方法ではなく、問題提起しながら何が問題なのか、どのような背景があるのか、どう解決できるのかをみんなで考えていく教育方法が、これからの学校教育に求められます。

産学官連携が強化されている中、大学はさまざまな研究を通して社会で活躍する人材を輩出する立場にあります。未来の日本を支える人材を抱えている大学の研究成果や提言は、企業や行政に大きな影響をもたらします。今後より良い社会を作っていくためには、SDGsや社会問題の裏にある背景を教えるだけでなく、解決に向けて何ができるかを大学生のうちに考える機会を提供することが大切です。そのために他の機関などと共同研究したり、学生が考案した政策や意見を発表する場を設けることで、自分で考え行動する力を学生に身につけさせることができます。

国内大学での取り組み例

日本の大学の中には、すでにSDGsに取り組んでいる大学が多くあります。ここでは、世界的に取り組みが評価されている大学や、SDGsに特化した授業が開講されている大学など6つの国内大学を厳選して紹介していきます。

大学がどのくらいSDGsに取り組んでいるかを表す指標として、大学インパクトランキングがあります。大学インパクトランキングとは、Times Higher Education(THE)が2019年より毎年発表している、大学の社会貢献度を計ったランキングのことを指します。目標17のスコアの他に、SDGsの目標のうちの3つの分野で優秀なスコアを有した大学順に選定されていきます。

第2回目の発表となる2020年度は、世界85ヶ国から768大学がエントリーしました。そして、日本の大学のエントリー数は63大学と、2年連続最多を記録しました。
(参考:Impact Rankings 2020

北海道大学

北海道大学は、大学インパクトランキングで世界第76位、国内では1位に輝きました。
SDGsの目標別では、目標2、目標9、目標12、目標14、目標15、目標17の6分野で全体の100位以内にランクインしました。特に目標2では世界第10位、目標17では世界第63位でした。

世界第10位であった目標2の取り組みとしては、JA北海道グループとの連携によるセミナーの実施や北海道の地域農家向けの食糧安全保障に関わる知識共有が挙げられます。さらに、
筑波大学や北海道を拠点とするコンビニエンスストアチェーンの株式会社セコマなど、他大学・他機関とともに、『食と健康の達人(COI)』拠点をつくりました。例えば、野菜の鮮度保持の研究をしたり、自宅で自分の健康状態を測れる『健康ものさし』の開発を手掛けたりと、より良い食と健康の在り方を追求しています。

また、フードロスの削減にも力を入れ、2020年9月にはフードロス削減コンソーシアムを設立しました。ロバスト農林水産工学プログラムでは、環境問題や人口増加などの食糧に影響のある外的要素への対応策として、持続可能な食糧生産を目指し、多方面からの研究を進めています。

他にも、新入生向けの一般教育演習で生命科学の観点からSDGsを学ぶ講座を設けていることが特徴的です。また、アフリカのザンビア共和国と連携して鉛汚染解明プロジェクトを実施したり、北海道大学が日本とロシアの架け橋になるようモスクワ大学との交流も積極的に行っています。さらに、気候変動を深刻に捉え、北極域の生態系の調査や私たちへの影響の予測など先進的な研究を進めています。このように、大学内だけでなく他の大学や機関と連携をすることでより幅広い研究が実現します。
(参考:北海道大学 x SDGs

東京大学

東京大学は、北海道大学に次いで大学インパクトランキングで世界第77位、国内では2位を記録しました。SDGsの目標別では、目標2、目標9、目標14、目標17の4分野で全体の100位以内にランクインしました。特に、目標9では世界第1位、目標17では世界第40位でした。

東京大学では、SDGsに関連したプロジェクトが年々増え続け、2021年3月5日現在206講座登録されています。東京大学の学生のSDGsの認知度が2020年では87%であったことは、SDGsに着目した授業が学生に浸透していっていることを根拠づけます。世界第1位を誇る目標9の取り組みプロジェクトとしては、災害対策トレーニングセンターを設置したり、通信ネットワークによるイノベーションの拡大を目指した「5G! Pagoda」をフィンランドの大学との共同受託研究が挙げられます。多くの調査機関と連携している東京大学では、SDGsの解決に必要なデータを多く収集し、より現実的なアプローチに向けて研究を続けています。
(参考:SDGs登録プロジェクト
(参考:東大生のSDGs認知度は87%に上昇)

また東京大学には、東京大学未来ビジョン研究センターや、「未来社会協創」国際卓越大学院(WINGS CFS)が設立されています。東京大学未来ビジョン研究センターでは、研究部門に派生した形で持続可能な社会を形成するために必要な取り組みを促進する研究ユニットを数多く発足しています。そしてWINGS CFSでは、社会問題に取り組むのに適した人材を育成するプログラムを多数用意しています。カリキュラム内容などの詳細は、下記のリンクをご参照ください。
(参考:About | WINGS CFS | 「未来社会協創」 国際卓越大学院 | 東京大学 | World-leading Innovative Graduate Study Program “Co-designing Future Society” | The University of Tokyo
(参考:研究部門持続可能な開発目標(SDGs)

東北大学

東北大学は、大学インパクトランキングで世界第97位と、国内で3位になりました。SDGsの目標別では、目標8、目標9、目標12、目標13で世界100位以内にランクインしました。特に、目標9では世界第9位でした。

東北大学では、2011年3月11日に起きた東日本大震災をきっかけとし、「安心・安全で持続可能な社会の構築」に力を入れてきました。震災発生の1ヶ月後には、災害復興新生研究機構を設置し、2015年3月の国連世界防災会議においては、仙台防災枠組に貢献、さらに2017年には世界防災フォーラムを隔年開催しています。東北大学の目標9への取り組み順位が高いことには、このように震災の復興に注力した背景があるからなのではないでしょうか。

また、「社会にインパクトある研究」を掲げて研究プロジェクトに取り組んでいることもSDGsとつながります。東北大学では、7つの大きな枠組みで社会問題をグループ化し、他大学他機関との連携を果たしながら、長期的に研究成果が社会に役立つことを目標としています。

(参考:東北大学版SDGs活動 | 社会にインパクトある研究

国際連合大学

国際連合大学は、渋谷に拠点を置く、日本に唯一ある国際連合機関です。
SDGsを提唱した国連本部の大学ということで、国連大学ではSDGsの目標に関わる授業や研究を行なっています。国連大学では、他国の国連機関や、研究者と連携することでグローバルネットワークを確立しています。日本に拠点を置く大学ではありますが、研究員は世界各地の研究所に在籍するため、多様な価値観や背景を持った研究員のもとでSDGsについて学ぶことが魅力だと言えます。
(参考:国連大学と知るSDGs ー Sustainable Development Explorer

慶應義塾大学

慶應義塾大学は、大学インパクトランキングのSDGsの目標9で世界第61位にランクインしています。慶應義塾大学には、ジャパンSDGsアワードやSDGsを日本語翻訳した蟹江憲史氏が政策・メディア研究科(湘南藤沢キャンパス)の教授として在籍しています。

湘南藤沢キャンパスでは、幅広い分野の授業が開講されており、デザインやテクノロジー、地方創生など多方面からSDGsを絡めて学びを深めることが可能です。特に蟹江教授を代表に、SDGsに関心のある大学生・大学院生・教授によって構成されているxSDGラボという研究会では、SDGsについて知見を深める以外にも、他大学や企業、自治体との連携・研究を実践的に行なっています。2019年には、xSDG所属の学生がハイレベル政治フォーラムを見学したり、地方自治体での現地調査など、学外での活動の幅を広げています。また、数々の企業と共同研究を進めており、2020年には、株式会社東京ガスのスマートエネルギー構築がSDGsとどうつながり、どれほど社会に貢献するかを共同研究しました。
(参考:慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボ

2015年に採択されたSDGsの認知度を高めるために、2016年にSDGsの目標が描かれたステッカーを学内中に貼る、キャンパスSDGsプロジェクトが発足しました。日常的で使うゴミ箱やトイレなどに貼ることで、SDGsをより身近なものに感じさせる目的があります。プロジェクト開始当初2割にしか及ばなかった学生のSDGs認知度は、8割まで上がり、プロジェクトを通してSDGsを知った学生は6割強であったことから、ステッカーの効果は大きかったと言えます。このように、小さなコミュニティでの認知度を上げることからはじめ、学生個人が社会課題に興味を持ったら行動に移せる環境づくりが、大学側には必要なのかもしれません。

(参考・引用:慶應義塾大学:文部科学省

岡山大学

岡山大学は、大学インパクトランキングのSDGsの目標11で世界第83位にランクインしています。

学内では、環境問題や人権問題をはじめとした社会問題の解決を促進し、優秀な研究成果においては表彰も行なっています。また、SDGsに取り組む人材を育成するEducation for Sustainable Development (ESD)に力を入れ、岡山ESDプロジェクトを発足し、2016年にはユネスコ/日本ESD賞を受賞しました。さらに、2017年には、第1回ジャパンSDGsアワード特別賞を受賞し、SDGsが採択された早い段階からSDGsの取り組みが評価されていることがわかります。

岡山大学教授かつ大学内SDGs推進企画会議議長である狩野光伸氏は、持続可能な発展ソリューションネットワーク(SDSN)の文書『大学でSDGsに取り組む』を日本語翻訳しました。なぜ大学でSDGsが着目されるべきなのか、大学がどうSDGsに貢献するかなど大学として何をできるかを解説しながら、日本の大学でどうSDGsにアプローチできるか考察することを目指しています。
(参考:大学でSDGsに取り組む
(参考:岡山大学×SDGs

海外の大学の取り組み

海外でもSDGsに取り組んでいる大学が数々あります。ここでは、2020年のSDGs大学インパクトランキングで上位に選定された海外大学を3つ紹介していきます。

オークランド大学(ニュージーランド)

オークランド大学は、大学インパクトランキングで2年連続世界第1位を獲得しています。

(画像引用・参考:No.1 in global University Impact Rankings

オークランド大学では、SDGsについて学ぶ授業が展開されています。Sustain 100、Sustain 200、Sustain 300の3つの授業では、持続可能性について学んだり、SDGsの中の2つの目標に取り組むグループプロジェクトを行います。さらに、大学内だけでなく他国のトップ大学と連携して持続可能性を追求しています。

また、新型コロナウィルスの影響でロックダウンを強いられた生徒の健康や生活を管理し、食べ物などの日常必需品を送り届けるサポートも行っています。オンライン授業を受講するためにパソコンやWiFi環境をも整えたりと、急なパンデミックの中でも生徒が安心して過ごすことのできるよう工夫しています。

大学インパクトランキングのSDGs目標別で世界第2位であった目標14「海を守ろう」では、海洋環境の音の研究をしています。海洋生物は、音や音の周波数で仲間とコミュニケーションをとったり危険を察知します。海洋生物にとって音は生きる上でとても重要ですが、その音の伝達に人間が悪影響を及ぼしていることも懸念されています。そのため、人工的な音を排除し、海洋生物が暮らしやすい環境づくりを目指し研究しています。
(参考:Meet the reef whisperer

さらに、大学インパクトランキングのSDGs目標別で世界第9位であった目標5「ジェンダー平等を実現しよう」では、大学の副総理長に女性が就任したり、生理の貧困に直面する女性への対応策として、キャンパスで生理用品を無料配布するといった取り組みが行われています。またニュージーランドでは、女性で起業する割合が世界的に高く、国全体の女性起業家の半数近くがオークランド大学出身です。オークランド大学では、女性起業家の輩出に向けての支援システムが確立されていたりと、積極的に女性の社会進出を促進しています。

(参考:The University’s Sustainable Development Goals Report 2019
(参考:ANSWERING THE WORLD’S CALL

シドニー大学(オーストラリア)

シドニー大学は、大学インパクトランキングで世界第2位でした。ちなみに、オーストラリアの西シドニー大学は世界第3位、ラ・トローブ大学は世界第4位であり、オセアニア地域の大学がランキングの上位を占めていることがわかります。

オーストラリアでは、アボリジニなどの先住民族と非先住民の間に様々な格差ができてしまっています。その解決策の一つとしてシドニー大学では、先住民族の大学への進学を促すため、大学生活を体験できるプログラムを夏季と冬季に用意しています。
(参考:Aboriginal and Torres Strait Islander programs

また、自然が多いことで有名なオーストラリアですが、度々起きる森林火災による生物多様性や生態系の崩壊のリスクにさらされています。シドニー大学では、シドニーにあるタロンガ野生動物保護施設と連携して、野生動物の研究や保護を実践的に学ぶことができます。さらに、海に囲まれているオーストラリアは、海洋環境の研究を長年行なってきました。シドニー大学は、One Tree Islandと呼ばれる場所で気候変動や地下学、海洋の栄養分の推移などを研究しています。

これらの他にも、SDGsの各目標あたりに関連して開講される授業が数多くあります。詳しくは以下をご参照ください。
(参考:UN Sustainable Development Goals update

アリゾナ州立大学(アメリカ)

アリゾナ州立大学は、大学インパクトランキングで5位にランクインしました。

アリゾナ州立大学のプログラムの一つであるInstitute for the Future of Innovation in Societyでは、エネルギーやスマートシティ、STEM教育についてなど持続可能な社会を形成する要素を幅広く研究しています。さらに、人間や自然環境への悪影響をもたらすイナゴに着目したGlobal Locust Initiativeは、アメリカだけでなく発展途上国地域でもイナゴの生態研究活動を続けています。他にも、乾燥地帯のアリゾナにある自然や食物の持続可能性を研究するプログラムもあります。

アリゾナ州立大学は、三菱ケミカルホールディングスとの共同研究で、人、社会、そして地球のKAITEKI(快適)を追求しています。また、アメリカのGlobal Development Labと他6大学と連携することで、生徒が積極的にSDGsに関して学び、実践する場を提供しています。
(参考:Programs for a Sustainable World

大学とSDGsの今後

これからの社会を担う若者が集う大学でどのようにSDGsを取り入れることができるでしょうか。

他大学や機関と連携してSDGsに取り組む

すでにSDGsを取り入れている大学を見ると、他の大学や自治体、研究機関と連携していることがわかります。大学内だけに収まらず、大学の外の環境と関わることで、取り組みや研究の幅が広がり、より多くの資源を有効活用することができます。さらに、大学というコミュニティとして外とつながりを持つことで、日本でSDGs達成度の低い目標17の解決にもなります。SDGsの目標は相互に関係しているため、他の目標との関連性をも考えながら連携を図ることが大切です。

SDGsは一人や一団体で解決できる問題ではありません。探究心を持って、他と協力していく体制を整えましょう。

大学生ができる取り組みを考える

大学で取り組みを行う以外に、大学生としてできることを考えることも重要です。例えば、サークル勧誘時のチラシ配布を廃止しオンライン媒体を用いたり、キャンパスでペットボトルの飲料水を購入せずにマイボトルを持ち歩くことが挙げられます。また、大学生自身でSDGsの解決を促したり、SDGsの知識を広めるような商品やサービスの開発を行うこともできるでしょう。

さらに、SDGsについて大学生としての意見や活動を発信することも、社会に変革をもたらす方法の1つです。例えば、若者をSDGsの前線に置くことを目標とした団体であるSDSN Youthは、2020年までに100カ国以上にわたって450以上の大学機関と関わりを持ってきました。まだ日本での本格的な活動はないため、これから他の国や地域と連携して社会問題に取り組みたい日本の若者にとって絶好の機会ではないでしょうか。
(参考:SDSN Youth

また、朝日新聞主催の大学SDGs Award Action!への参加することもできます。大学SDGs Award Action!は、自分の研究活動や、問題意識を持っている社会問題への解決策を発表しあう場となっています。2021年度は、静岡大学の『日本のBOSAIを世界へ 教職を目指す学生たちによるSDGsへの挑戦』がグランプリを受賞しました。
(参考:大学 SDGs ACTION! AWARDS 2021 最終選考会(オンライン) SDGsワークショップ参加者募集中(無料)!:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル

大学自体がSDGsに取り組む

次世代を担う子供たちの学び場である大学は、SDGsを研究としてだけではなく、大学全体として実践する場としてもあるべきです。

これまで大学でのSDGs教育の重要性を解説してきましたが、世界中でも日本でも、大学へ通えない子どもたちがいることも事実です。そのため、奨学金などの教育費支援体制をより充実させることで、貧困を理由に大学へ通えない子供たちを減らす一手となるでしょう。また、教える立場である教授のワークライフバランスや住居環境を整えることも、質の高い教育の実現に重要となります。さらに、目標5のジェンダー平等の実現に課題が山積している日本では、大学での教授や生徒の受け入れ人数のジェンダーギャップをなくすことも求められます。

大学のキャンパスをSDGsを実践する一つのコミュニティとして位置付けることも大切です。SDGs実践ウィークなどのイベントを開催することも学生にとってSDGsを身近に感じるきっかけになるでしょう。

さいごに

大学でSDGsを学び、研究し、実践することは、これからの未来を背負う大学生の成長する場として彼らの人生に大きく影響します。

大学でSDGsに触れる機会を作ることは、大学生として何ができるか、将来どう社会を良くできるかなど、学生がSDGsを自分ごと化して捉えるきっかけになるでしょう。

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