【更新日:2021年3月19日 by 佐野 太一】
引用:ユニセフ公式サイト
ユニセフは3月18日、「すべての人のための水の安全保障(原題:Water Security for All)」と題した報告書を発表した。
報告書の内容は、世界では約4億5000万人の子どもを含む約14億2000万人以上が、安全な水を使用できない地域で暮らしているとするもの。世界の子どもの約5人に1人が、日々の生活に必要な水を十分に得られていないことについて警鐘を鳴らしている。
安全な水が不足する地域の中で子どもの割合が最も高いのは東部・南部アフリカで、半数以上の子どもたち(58%)が毎日十分な水を得ることが困難な状況に直面している。次いで子どもの割合が高い地域は、西部・中部アフリカ(31%)、南アジア(25%)、中東アジア(23%)。また、特に水不足が深刻な国として、アフガニスタンやブルキナファソ、エチオピアなど37カ国が挙げられている。
このような地域で暮らす人々は、生活水を歩いて汲みに行くのに往復30分以上かかる水源に依存していることもある。生活水の確保を任されるのは多くの場合、女性や子どもだ。
ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務総長は、今回の報告書の発表にあたり、「最も影響を受けているのは子どもです。井戸が枯れてしまうと、子どもたちは学校を休んで水を汲みに行きます。干ばつで食料が不足すると、子どもたちは栄養不良や発育阻害に陥ります。洪水が起きれば、子どもたちは水に起因する病気にかかります」とコメントした。
ユニセフが2017年に発表した報告書によると、2040年には世界の子どもの約4人に1人が水源が極端に少ない地域で暮らすことになる。とはいえ、2017年時点で約22億人とされていた安全な水にアクセスできない人の数は、今回の報告書では約14億人まで減少している。
3月22日は「世界水の日」。水不足問題の現状を把握しつつ、私たちの行動次第で人を救うことができる可能性について考えてみるのはいかがだろうか。
なお、SDGsにおいてもゴール6「安全な水とトイレを世界中に」として、すべての人が安全で安価な飲み水を入手できるようにすることが目標に掲げられている。
「安全な水」の定義については以下を参照。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。