【更新日:2021年7月9日 by 佐野 太一】
国連児童基金(ユニセフ)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は7月28日、『出生登録における性差別(原題:Sex Discrimination in Birth Registration)』と題した報告書を公開した。
多くの国で女性が差別によって出生登録を妨げられるケースがあり、子どもが無国籍になるリスクがあることを明らかにした。
ユニセフのデータによると、5歳未満の子どもの4人に1人が出生登録されていない。また、登録されていても、それを証明する書面やデータが管理されていないケースも存在する。
出生証明書は、子どもが生まれた国と両親の身元を証明することで、子どもが国籍を取得する資格があることを証明するもの。現在、全世界で2億3700万人もの5歳未満児が出生証明書を持っていないと推定されている。
◎日本ユニセフ協会『法的に存在しない子どもたちがいなくなるように』
父親や他の男性の家族が子どもの出生届を出す法的責任を負っている国では、男性が出生登録をしなければ、子どもは登録されないままになる可能性がある。
また、子どもの誕生に立ち会った医師、助産師、部族長などが、出生届を出す権利を持つコミュニティメンバーのリストの中で母親よりも優先されている場合もあるという。
なお、ギニア、南スーダン、モザンビーク、ネパールなどでは、法制度の改革に取り組み、女性にも出生登録ができる権利を付与する動きがあった。
ユニセフでアソシエイト・ディレクターを務めるコーネリアス・ウィリアムズ氏は、「子どもの健康と福祉を守るためには、すべての子どもが出生時に登録されることが重要です。出生証明書がないと、子どもは無国籍になり、保健・医療や教育などの重要なサービスから除外されるリスクが高まります」とコメントした。
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標10「人や国の不平等をなくそう」では、法制度も含めたあらゆる場面で性別による不平等を是正することが掲げられている。性差別による不平等が世代を超えて引き継がれるようなことはあってはならないことだ。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。