《SDGs基礎》目標12「つくる責任 つかう責任」を徹底解説

#SDGs目標12#エネルギー#再利用#化学物質#天然資源#廃棄物#持続可能#消費#環境#生産#食品ロス#食料の廃棄 2021.02.13

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

SDGsの目標12ではつくる責任とつかう責任が謳われています。

世界の総人口の9人に1人が飢餓で苦しんでいる現状※があります。その一方で全世界で生産される食糧は40億トンあり、全人口を供給できるのに十分な量だと言われています。それでも飢餓が起きる原因には、深刻な食品ロス問題が挙げられます。(※ユニセフが発表した2018年「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書より)

目標12が目指すのは食品ロスの解決だけではありません。再生可能エネルギーの開発や商品の好循環を生むことなど、持続可能な社会を形成するために生産物を効率良く使うことも目指されています。

また、2021年1月にヤフーが2023年度までに全ての電力を再生可能エネルギーへと変える方針を発表したように、日本国内でも脱炭素の動きが広がっています。目標12は、環境問題と密接に関わるため、地球の将来を考え、直ちに変革を起こす必要があります。

この記事では、地球上に住む一人ひとりの努力が欠かせない目標12「つくる責任つかう責任」について徹底解説していきます。

SDGsとは

SDGsは“Sustainable Development Goals”の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

目標12『つくる責任つかう責任』とは

SDGsでは、生産者がモノやサービスを作る上で使う資源の無駄を最小限に抑える必要性のことを「つくる責任」、消費者が生産物を最大限に活用する必要性をり「つかう責任」としています。生産者と消費者の双方が「つくる責任」も「つかう責任」を果たしていかなければ目標12を達成できません。また、近年では、WebサイトのCSRページや年次報告書などに企業の取り組み内容の記載を求められることも多く、どの企業にとっても関係の深い目標でもあります。

目標12の重要性

目標12では、地球上の資源に限りがあることを前提に考えることが重要です。資源を有効的に活用するために、SDGsの名称にも含まれるサステナビリティ(持続可能性)について深く理解することが必要不可欠です。持続可能性とは、私たちが生きていく上で重要な環境、社会、文化のシステムやプロセスが持続可能な状態をいいます。つまり、私たち一人ひとりが有限性のある資源をどのように持続的に使っていくかを考え、社会や地球環境の持続的な形成に貢献することが大切です。

また、目標12は教育、貧困、経済の発展、環境問題など、SDGsの他の目標にも密接につながります。例えば、可燃ゴミを焼却する際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因にもなり、焼却施設の改良を目指す目標9や、環境問題に取り組む目標13に直結します。このように、目標12に取り組むと他の目標の解決策にもなります。多様な取り組み方ができるため、個人や企業、国ごとに課題を見つけ、身近なところから解決の糸口を探して実行することが重要です。

エコロジカル・フットプリントとは

エコロジカル・フットプリントとは、人間活動がどれほど地球上の資源を使い、自然に影響を及ぼしているかの指標です。よって、地球上にどれほどの資源があり、私たちの活動に資源がどれほど必要かを測ることができます。数値が高ければ高いほど人間の活動が激しく、資源を使っていることを表しています。他にもマテリアル・フットプリントなど、フットプリントには数種類あり、それぞれ地球上の資源に対しての人間活動の影響力を測る指標となっています。

エコロジカル・フットプリントは、先進国の方が開発途上国と比べ高い数値を出しており、日本は世界で38番目に高い数値を記録しています。つまり多くの先進国では、人間活動するのに必要な資源が地球上に足りない状況(=オーバーシュート)が起こり、環境に多大な負荷がかかっています。

このエコロジカル・フットプリントの活用により、普段見えない人間活動の地球への影響力を数値化することに成功しました。個人の行動が地球に及ぼす影響を把握したり、企業は環境に配慮した事業を組み立て直すことができます。また、他の国の状況とも比べることで、自国が及ぼす影響を認識し、数値を抑える取り組みに活かせます。

(参考:Ecological Footprint accounting
(参考:日本のエコロジカル・フットプリント 2017 最新版

ターゲット

目標12のターゲットには、生産者がモノやサービスを作り、それらが消費者の手に届くまでの一連の生産プロセス(=サプライチェーン)での廃棄量を減らすことや、企業への情報開示を求めることが掲げられています。また、廃棄物の再利用や資源の管理を行うことが取り組みの一例として挙げられています。

CHECK!!
「1-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています。
「1-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています。
12.1 持続的な消費と生産に関する10年枠組みプログラム(10YFP)を実施し、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案し、すべての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し、大気、水、土壌への排出を大幅に削減することにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める。
12.5 2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。
12.6 大企業や多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励する。
12.7  国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8

2030年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a 開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進する科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 持続可能な開発が雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業にもたらす影響のモニタリングツールを開発・導入する。
12.c 破壊的な消費を奨励する非効率的な化石燃料の補助金を合理化する。これは、課税の再編や該当する場合はこうした有害な補助金の段階的廃止による環境影響の明確化などを通じ、各国の状況に応じて市場の歪みを是正することにより行うことができる。また、その際は開発途上国の特別なニーズや状況を考慮し、開発への悪影響を最小限に留め、貧困層や対象コミュニティを保護するようにする。

(引用:目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する | SDGs

CHECK!!
ターゲット12.1にある「10YFP」とは、平成24年のリオ+20で採択された「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み」のことを指す。

世界各国から拠出金を出し合って作られた基金を通して、CO2排出の少ない(低炭素)社会の形成とそのシステムの確立を目指す。

持続可能な公共調達、消費者情報、持続可能な観光・エコツーリズム、持続可能なライフスタイル及び教育、持続可能な建築・建設、持続可能な食糧システムの6つのプログラムに沿った対策を講じるよう求められている。

つくる責任とつかう責任の世界の現状

人間の生活のために使われた天然資源のことを国内物的消費と言います。この値は、先進国の方が開発途上国よりもはるかに高く、2010年では72%も高い結果となりました。先進国と開発途上国とでは、同じ問題に関してでも現状や背景が大きく異なるため、状況を理解した上での取り組みを考える必要があります。

天然資源の枯渇

天然資源は別名自然資源とも呼ばれ、無生物資源と生物資源に分類されます。無生物資源には、鉱物・水・土壌・石油が、生物資源には海洋生物、動物、森林が含まれます。天然資源というと一般的には、生命のない「自然である」無生物資源の方を指します。

ここでは水資源と石油資源について解説していきます。

宇宙から見る地球は青く、水資源が豊富にあると思われますが、ほとんどが海水です。また人間活動に必要な淡水のほとんどは氷山となり、実際人間が飲んだり生活するのに使える水は、全体の0.02%ほどしかありません。そのため、水インフラの整備が必要であり、先進的な技術を有しない開発途上国では、汚水を飲まなければいけない地域もあります。世界で約7億人が水不足な生活を送っているのにも関わらず、先進国の工業地帯では水の無駄遣いが多くみられます。

▼詳しくはSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」へ

天然資源の中でも石油は、我々に大きな影響を及ぼします。産業革命を機に、私たちは、石油・石炭などの化石燃料を燃やすことで日々使うもののエネルギーを生み出してきました。それと同時に、二酸化炭素を排出し地球温暖化を促進させている現状があります。資源は有限で、いつかなくなってしまいます。このようなエネルギーにばかり頼るのではなく、持続性のある再生エネルギーを作っていくことが、私たちの将来を豊かにするために大切です。

▼詳しくは目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」へ

食品ロス

まだ食べれるのに捨てられてしまう食品のことを食品ロスと言います。この中には、賞味期限が過ぎて捨てられてしまったもの、皮の剥きすぎ等で取り除かれた可食部、奇形だとして商品規格に外れ市場に出ず廃棄されたものも含まれます。

世界で年間約40億トンの食品生産量がある一方、約13億トンが廃棄されています。大量の食品ロスがあるせいで、世界では9人に1人が食糧不足のため飢餓が起こっています。

▼詳しくは目標2「飢餓をゼロに」へ

また、食品ロスが引き起こす問題は飢餓だけではありません。食品を廃棄し焼却する際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化を引き起こす原因となります。

先進国では、開発途上国に比べて廃棄量が2倍以上多いのが特徴です。主な理由として、需要を上回る過剰な生産が挙げられます。これは、気候変動などで供給が需要を下回らないように、多めに生産してしまうためです。また、市場に出る際は「外観品質基準」で食品の見た目の良さを厳しく規格化しているのも食品ロスにつながる原因です。さらに、消費者側の問題としては、必要以上に購入してしまい、食べきれなかったものが廃棄される例が挙げられます。これは金銭的に余裕がある先進国特有の理由です。また、購入時により良い見た目の商品を選ぶことで、外観品質基準に満たした商品の中でも比較され、捨てられてしまうものもあります。

一方で開発途上国では、深刻な飢餓問題が発生しています。食物を生産しても収穫技術が乏しかったり、気候変動や紛争などで十分に食糧を収穫できないことが原因です。収穫しても貯蔵する施設がなかったり、市場での衛生管理が徹底されていないと食物は腐食し廃棄されます。さらに、インフラが整っていない地域では、収穫しても市場に出回るまでに時間がかかり、品質が落ち廃棄されてしまうケースもあります。元々の生産量や市場で販売される量が少ないため、消費者側は、食べ物を無駄なく消費し、家庭系ロスは先進国より大幅に少ない現状があります。

このように、先進国と開発途上国では、同じ食品ロス問題でも異なる原因があります。しかし問題が起こっているのはたしかです。人類が健康に生き延びるためには、食糧が欠かせません。一人ひとりが行動を改めることで食品ロスは改善されるので下記「これから私たち個人ができる取り組み」を参考に、できることを考えてみましょう。

(参照:世界の食料ロス | 中学生・高校生・市民のための環境リサイクル学習ホームページ

ゴミ問題

ゴミ問題に取り組むには、3Rを理解しなければなりません。3Rとは、Reduce(減らす)、Reuse(再使用)、Recycle(再利用)の頭文字をとったもので、循環型社会を形成するのにとても重要なコンセプトです。ファッション業界では、持続可能なファッションのための国連アライアンスが提携され、大量生産や児童労働の問題にも取り組むためにファッション業界全体の協調を求める動きが出てきました。

また、欧州委員会の設置により、ヨーロッパ圏でのSDGs意識改革が先進的に行われました。循環型事業では、1470億ユーロ(およそ18億円)の付加価値を生み出し、循環型経済のインパクトを強調しました。エコデザイン作業計画などの取り組みにより、エコな商品開発や、3RにRefuse(拒む)、Repurpose(付加価値を持たせる)、Repair(修復)を加えた6Rによる、さらなる循環機能の活性化を図っています。

さまざまな活動でゴミ問題へのアプローチは続いていますが、現状はまだまだ問題が山積みです。世界で廃棄されるゴミの量は2019年度では約21億トンだと言われ、そのうちリサイクルされたのは16%ほどでした。さらに、ゴミを焼却したり蓄積したりすると、フロンなどの有害物質がオゾン層を破壊し、地球に紫外線が届きやすくなってしまいます。ゴミを排出すればするほど、気候変動や、汚染の問題は深刻さを増し、私たちの生活への脅威となってしまうのです。私たち一人ひとりがゴミ問題や汚染物質に対して真摯に取り組む姿勢が求められています。

日本の現状

日本は、先進国の中でも再利用される資源の割合が少ないと言われています。従来の大量生産・大量消費の考えから離れ、持続可能性を追求した商品開発や消費者の意識改革が重要になってきます。

海外からの輸入に頼る天然資源

日本は、石油などのエネルギー資源をほぼ輸入に頼っています。1970年の石油危機をきっかけとし、化石燃料以外からエネルギーを作り出そうという動きが強まり、原子力発電や自然エネルギーを利用した電力共有に段階的にシフトしていました。しかし、2011年の東日本大震災で原子力発電所が停止したことを受け、火力発電に逆戻りしている傾向があります。また、年々数値は減少傾向にあるものの、2017年度のデータでは世界で5番目に二酸化炭素排出量が多い国として挙げられています。エネルギーの多くを輸入に頼る日本が安定したエネルギー源を確保するには、省エネや再生可能エネルギーの開発を急ぐしかありません。

また、土壌汚染も解決しなければいけない課題です。本来は豊富なミネラルが含まれている土壌に、農薬をはじめとした有害物質が入り混じることで土壌が汚染されます。日本での土壌汚染の発端は鉱山採掘にあると言われていますが、年月をかけて事態が深刻化しています。例えば、鉱山から発生する鉱毒は、その周辺地域や人間に多大な被害を及ぼします。それが大気に通じ、酸性雨となって広範囲に悪影響を及ぼし、土砂崩れや生物資源の枯渇にまでつながります。ちょっとした日常の行いが長期的に私たちの生活にまで大きく響いてしまうため、いち早く対策を打つことが必要です。

(参照:日本における土壌汚染の歴史!古くは明治時代から続いている | 土壌汚染対策は土壌汚染の窓口へ

600万トン以上の食品ロス

農林水産省のデータによると、平成29年度では年間約612万トンの食品ロスがありました。このうち事業系は約328万トン、家庭系は約284万トンです。1人あたり毎日お茶碗1杯分ほど捨てていると考えると想像しやすいでしょう。

CHECK!! 食品ロスの種類

  • 事業系ロス:レストランや工場から出る廃棄量
  • 家庭系ロス:家庭から出る廃棄量

日本政府は、事業系ロス・家庭系ロスともに、2030年度までに2000年度の数値から半減させようと、企業や自治体に呼びかけています。特に家庭系ロスは全体の半分近くを占めているため、私たち消費者のまず行動変革が必要です。

食料自給率が38%と先進国最下位で、食糧の大部分を輸入に頼っている日本が、これだけの食糧を廃棄してしまっていることは、他国で生産される食糧までもを無駄にしていることになります。

食品ロスを国内だけの問題だと捉えず、地球全体の人びとの暮らしや将来にへの影響を考え行動していくことが重要です。

ゴミ問題

大量生産・大量消費を主流としていた時代から、循環型社会へと転換したのは21世紀になってからです。それまでは、清掃法や廃棄物処理法の制定など基本的な対策は打っていたものの、ゴミの廃棄量は増えるばかりで公害も多発していました。有害物質の処理システムを確立させたりと対策を講じるも、バブル期に差し掛かる頃には、ゴミ処理施設が不足するほどゴミ問題が深刻化し、不法投棄による環境汚染が問題視されてきました。

20世紀まではゴミ処理への対策を中心に練ってきましたが、21世紀に入り、ゴミの排出量自体を抑える方向へ変わります。1991年には廃棄物処理法が改正され、廃棄物の削減および再資源化が追加されました。また、資源有効利用促進法や循環基本法などにより、3Rの促進が求められました。

一方で、2018年の4272万トンのゴミを処理するために、年間およそ2兆円もの税金が使われています。リサイクルの促進をしてきた日本ですが、未だ8割が焼却処理であり、リサイクル率は2割しかありません。世界の先進的な取り組みを見習い、日本でも積極的な対策が必要です。

(参考:なぜ日本のごみのリサイクル率はヨーロッパに比べて低いのか? – 循環・廃棄物のけんきゅう [環環 KannKann] – 資源循環・廃棄物研究センター オンラインマガジン
(参考:日本の廃棄物処理の 歴史と現状

世界の取り組み

地球規模で温暖化対策を講じるため、2015年にパリ協定が合意されました。パリ協定によって、国ごとに二酸化炭素排出量削減への具体的な目標を立て、長期的な戦略を練ることが求められています。

▼詳しくは目標13「気候変動に具体的な策を」へ

(参照:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~

また1989年には、国境を超えて輸出する時の有害廃棄物の移動規制を行うバーゼル条約が締結されました。2019年時点で187カ国が批准しています。2021年からは、深刻なプラスチックゴミ問題の対策として、国内で処理しきれない汚れたプラスチックを輸出する際は相手国の同意が必要との文言が条文に追加されました。海洋汚染など、環境に悪影響を及ぼすプラスチック問題は、世界全体で取り組まなければいけない課題です。

(参照:バーゼル条約とは?2019年の改正ポイントも徹底解説

国の事例:デンマーク

デンマークでは、政府だけでなく多くの自治体や企業が目標12にアプローチしています。

①デンマーク政府

デンマークの多くの企業が目標12に取り組んでいる背景として、政府が環境問題に取り組む企業を資金面でサポートする体制を整えていることが挙げられます。また、1980年代からプラスチック製品の生産・廃棄に関して制度を設けたり、2001年から年次報告書に環境保全に関する取り組みを記載することを義務付けました。

(参照:デンマークで進むプラスチック使用削減の取り組み | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報

②UN17 Village

2023年にコペンハーゲンに完成予定のUN17 Villageは、建造物を全てリサイクル素材で建設し、住む人の雇用機会を増やすだけでなく、雨水を貯蓄する装置を配置したりと、街全体でSDGsの17個のゴールの実現を目指しています。建物だけでなく、人々のライフスタイル自体も持続可能なものへと変革させる狙いがあります。

③LEGO

デンマークに本社を置くLEGOは、2025年を目処に全てのパッケージをリサイクル素材で生成します。そして2030年には、元々はプラスチックで作られている全てのレゴブロックをサステナブルな素材で代替します。新しい素材としては、環境への負荷が小さいサトウキビから作られるポリエチレンを使用しています。レゴブロックは子供を主なターゲット層としているので、耐久性と安全性を追求し、より長く使用できるように、故意に分解しにくいものにしたそうです。

(参照:Sustainable materials – About us

企業例1:Patagonia

アウトドア用品のアパレルブランドであるPatagoniaは、ビジネスとして環境問題の解決に取り組み、つくる責任を全うしています。その一例として、消費者により良質なものをより長く使用してもらうため、消費者の着用した服を修理し再び着用機会を生むWornWearという活動を行なっています。

2025年までに脱炭素を目指し、再生可能エネルギーでストアを稼働するため太陽光パネルを設置したり、環境再生型農業によるオーガニック食材の栽培・販売をも手がけています。

(参照:パタゴニア日本支社 | SDGs

企業例2:Intel

大手半導体素子メーカーのIntelでは、2030年までに完全カーボンニュートラル化によるPCの生産を目指します。PCの製造過程において使用される水の量や排出される二酸化炭素や廃棄量に問題意識を持ち、環境に配慮した商品パッケージなどの生産にも挑戦しています。2020年度のCSR報告書には、2010年と比較して、二酸化炭素の排出量を39%削減したことや、全インテル支社で再生可能エネルギーの使用率が71%に達成したことが報告されました。テクノロジーの活用により、研究開発などにおいて環境汚染の原因になる要素を取り除くことができます。インテルは、他の業種や政策決定機関と連携し、社会に影響力が大きい企業に対してテクノロジーを活用するよう働きかけています。

(参照:Intel aiming for carbon-neutral PC within the next decade Just now

日本の取り組み

日本では「もったいない」の精神がありながらも、ゴミの廃棄量や資源の無駄遣いが多い印象があります。そんな状況に終止符を打つため、政府は2050年までに脱炭素社会を目指す目標を掲げたり、環境省を中心にさまざまな企業や自治体が持続可能性のある行動に力を入れるようになりました。

自治体:石川県小松市

SDGsの取り組みを推進するため、優れた提案をした自治体に対しSDGs未来都市の選定を行なっています。特に優れている活動を提案した自治体は、自治体SDGsモデル事業として実際に取り組みを進めるための補助金を政府から受けることができます。2020年7月現在では93の都市がSDGs未来都市として選定されています。

(参照:2020年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について – 地方創生推進事務局

特に石川県小松市では、年間の一般廃棄量の資源回収率を2021年までに26%、2030年までに35%へ拡大する目標を掲げています。また、可燃ゴミ排出量も2021年までに16000トン以下へ削減することも目指しています。

取り組みの具体例として、一定枚数以上のゴミ袋を使用する場合は有料のゴミ袋を購入しなければいけない、超過従量式の計算方法でゴミの廃棄量を削減する通称「ごみダイエット」を提案しました。また、ゴミ排出量減量に伴い焼却施設を小型化したり、市内で生産量の高い麦わらを使用したストローの開発をも手がけています。さらに、フードバンクや「食べきり運動」の開催を行い、食品ロス削減にも取り組んでいます。

このように、SDGs未来都市に選定された自治体を参考にしながら、自治体ごとの強みや特徴を活かせる取り組みを創作していくことが大切です。

(参照:小松市 SDGs未来都市計画

企業例1:サントリー

「水と生きる」をビジョンの一つに掲げる飲料品メーカーのサントリーは、ペットボトルからペットボトルを再度作り出す取り組みを日本で初めて確立させました。そして2030年には全てのペットボトル製品をリサイクル素材や植物由来素材のみで作り上げることを目指しています。

(参照:【SDGsとは?】目標12「つくる責任 つかう責任」と私たちにできることを、グラレコっぽく解説!|水と生きる@リアル|サントリー

企業例2:ミズノ

スポーツ用品メーカーのミズノは、使用済みペットボトルからユニフォームを製作したり、ユニフォームを回収してリサイクルを徹底するなど、環境に配慮した取り組みを行なっています。また、Tech Feather 03と呼ばれるバドミントンシャトルの羽根を、動物保護のため従来の水鳥の羽ではなく、人工羽根から作ることに成功しました。

(参照:SDGsの取り組み | 企業概要 | ミズノ

これから企業ができること

目標12に取り組む企業が取り入れているビジネスモデルを紹介します。

①クローズド・ループ・システム

生産物を回収しリサイクルしてまた市場に出す仕組みです。その素材を単にリサイクルするだけでなく、デザインなどの付加価値を加えてより良いものへと変えるアップサイクルをしたり、素材を価値を下げて別のものへ変えるダウンサイクルなどの手法もあります。

②サーキュラー・エコノミー(循環型経済)

引用:アクセンチュア「2030年を見据えたイノベーションと未来を考える会 イノベーション・エグゼクティブ・ボード(IEB)」より

生産と消費のサイクルを考え、循環型の経済を目指して長期的な経済成長を目指すシステムです。資源を使い生産し廃棄するのではなく、また新しい原料の資源としていくことで、円状(サーキュラー)の仕組みが完成します。今までとは異なる価値のある資源を使うなど、企業のビジネスモデルを根本から変える必要があるので、取り入れる際には将来を見据えた計画を立てることが大切です。

③シェアリング・エコノミー

モノやサービスをシェアするシステムです。企業は、モノやサービスの質を高めることに注力できます。近年の市場では、モノやサービスを所有するニーズよりも使用するニーズの方があるため、このシステムが成り立っています。

他にも、製品デザインの見直しを行うことで、環境に優しい素材を使用した商品開発ができます。使用する素材の選定のみならず、生産プロセスで排出される物質等も考慮しモノづくりをすることは、資源の効率化、地球温暖化、ゴミ問題などの解決につながります。

さらに、市場マーケティングに力を入れ、必要な需要に間に合うだけの商品を生産することで無駄を削減する方法もあります。

これから私たちが個人としてできること

私たちがいまから取り組めることを紹介していきます。

例えば…

  • 外食時は食べれる量だけ頼む。食べきれなかったらお持ち帰りできるよう箱などを用意していく。
  • 消費期限に近い食材を購入し、無駄な買い物はしない。
  • 電気をつけっぱなしにしないなどの節電・節水・節約に気をつける。
  • リサイクルしやすいようにゴミは分別する。
  • そもそものゴミの排出量を抑えるため、ゴミになり得る製品(ex. プラスチック製品)の使用を避ける。
  • 洋服はメルカリ等のフリマアプリで売買したり、いらない服は雑巾にしたり、洋服としてだけでなく生地としても存分に使う。

これらは一例であり、ターゲットや課題を詳しく調べることでもっとたくさんの取り組み例が思いつくでしょう。一人ひとりのライフスタイルに合った取り組み方を考えていくことが重要です。

さいごに

目標12の解決へは生産者と消費者の双方の努力が必要です。企業は、他の企業の先行事例を真似するだけでなく、参考にしながら、自社のビジネスプランに沿った取り組みを模索することが重要です。消費者の立場からは、商品をどう買い、どう使い、どう捨てるかのサイクルに着目してつかう責任を果たしていきましょう。

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